トランプ支持者男性「お前の身体は俺が決める」「女は男の寄生虫」女性蔑視発言で米国に広がる“もう一つの分断”

Washington,,Dc,–,August,03,,2023:,A,Scene,Outside,The
 

分断を煽る手法を巧みに用いて大衆を扇動し、大統領への返り咲きを果たしたトランプ氏。しかし彼の蒔いた種は米国にさらなる溝を生み出しているようです。今回の『きっこのメルマガ』では人気ブロガーのきっこさんが、アメリカで進む「男女間の分断」の実態を詳しく紹介。その上で、トランプ氏の大統領就任がこの分断をさらに加速させるとの予測を記しています。
※本記事のタイトル・見出しはMAG2NEWS編集部によるものです/原題:MY BODY MY CHOICE

「YOUR BODY MY CHOICE!」 ハリス支持者女性に嫌がらせの言葉を浴びせ始めたトランプ男性信者たち

先週のこのコーナーの「アメリカの選択」で、あたしはNY在住のジャーナリスト、津山恵子氏がラジオで伝えてくれた現場からの報告として「トランプ支持者の大半がトランプの垂れ流す嘘の情報を信じ込んでいる」「そのためアメリカ人同士でもトランプ支持者と不支持者ではコミュニケーションが取れず真っ二つに分断している」「家族間でも分断が始まっている」「今後はさらに分断が広がるだろう」ということを書きました。

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そして、この「分断」に関して、引き続きアメリカを中心に海外メディアの報道を追っていたところ、アメリカでは「男女間の分断」にまで発展していることを知りました。

今回の選挙戦で、民主党の候補者がバイデン大統領からハリス副大統領に代わったとたん、トランプ氏は集会などで「女が大統領になってもいいのか?」など、ミソジニー(女性蔑視)の発言を続けて来ました。そのため、トランプ氏の言うことはどんなデマでも信じ込んでしまう支持者らは、男性だけでなく女性までもが「女は大統領になるべきでない」という考えに洗脳されてしまったのです。

そして、トランプ氏の勝利が報じられると、SNS上では多くのトランプ支持者の男性が、ハリス支持だった女性に対して「YOUR BODY MY CHOICE!(お前の身体は俺が決める)」と嫌がらせの言葉を浴びせ始めたのです。

キリスト教徒の多い欧米では、半世紀ほど前まで女性の妊娠中絶が許されず、法律で禁止している国も数多くありました。しかし、妊娠はすべてが歓迎されるものではなく、レイプや近親相姦による妊娠など、中には望まないものもあります。そのため、1970年頃の欧米で「中絶は女性の権利である」というフェミニズム運動が巻き起こったのですが、その時に女性たちが掲げたスローガンが「MY BODY MY CHOICE(私の身体は私が決める)」でした。

そして、1973年1月、米テキサス州の女性と医師が原告となって起こした「中絶手術を禁止したテキサス州法は違憲である」という訴訟の上訴に対して、連邦最高裁の9人の判事のうち7人が「違憲である」と判断しました。これが有名な「ロー対ウェイド判決」であり、この歴史的な判決により、それまでアメリカの大半の州が州法で禁じていた中絶手術が「女性の権利」として認められるようになったのです。

しかし、アメリカ人の4人に1人は、今も「聖書に書いてあるから」という理由で中絶に反対する「キリスト教福音派」であり、トランプ支持者なのです。そして、公明党における創価学会のような位置づけの「キリスト教福音派」の絶大な支援を受けて、2017年1月、共和党のドナルド・トランプ氏が第45代大統領に就任しました。トランプ大統領は「キリスト教福音派」への見返りとして、最高裁の判事に3人の保守派を捻じ込み、これにより判事9人のうちリベラル派3人、保守派6人と、保守派が多数となりました。完全に「安倍晋三方式」ですね。

その結果、2019年から各州で中絶を禁止する法案が次々と可決され、現在では主に「キリスト教福音派」が多い南部の14州が「中絶禁止」、7州が実質的に「中絶禁止」と同様の制限を設けることとなったのです。その上、2022年にはトランプ氏が在任中に指名した最高裁の保守派の判事らによって、1973年の「中絶は女性の権利」とした判例が覆されてしまったのです。

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