トランプ支持者男性「お前の身体は俺が決める」「女は男の寄生虫」女性蔑視発言で米国に広がる“もう一つの分断”

 

トランプ支持者による女性蔑視発言のオンパレード

日本の約20倍、年間15万件近くものレイプ事件が発生している現在のアメリカでは、レイプによる妊娠というさらなる悲劇も後を絶ちません。そのため、今回の大統領選では、若者を中心に多くの女性がカマラ・ハリス副大統領を支持しました。そして「中絶禁止」の州のうち10州では、大統領選に合わせて中絶の是非を問う住民投票が行なわれました。連邦レベルでは失われてしまった「女性の権利」を、州の憲法で保障してもらうための住民投票です。

その結果、アリゾナ、ミズーリ、ネバダ、モンタナ、コロラド、ニューヨーク、メリーランドの7州で可決され、これらの州では以前のように、女性は自分の意思で中絶手術を受けられるようになりました。しかし、フロリダ、サウスダコタ、ネブラスカの3州では否決されてしまいました。一例を挙げると、フロリダ州では「賛成」が57%でしたが否決となりました。何故なら、可決には「60%以上の賛成票」が必要だからです。

日本では、例えば「憲法改正の是非を問う国民投票」が実施された場合、可否決のラインは「過半数」です。「賛成」が50.1%、「反対」が49.9%でも、憲法は改正されます。しかしアメリカでは、あまりにも僅差の場合は反対票を投じた住民の意思が尊重されないと考え、10%ほどハードルが挙げられているのです。日本のプロ野球のCS(クライマックス・シリーズ)で、両リーグの1位のチームに「1勝」のハンデが与えられるようなシステムなのです。

で、話を戻しますが、トランプ氏が大統領に就任した2017年から、アメリカではトランプ大統領の差別発言や女性蔑視発言に抗議するデモ行進「ウィメンズマーチ(Women’s March)」が、3月の「国際女性デー」に合わせて各地で開催されるようになりました。日本でも2017年から東京で行なわれて来ました。そしてアメリカでは、トランプ大統領の就任によって「中絶禁止」の州が増え始めたことで、半世紀前のスローガン「MY BODY MY CHOICE」のプラカードを掲げる女性が増えて来ました。

特に今年は、女性の権利を守ろうとするハリス氏と、女性蔑視発言を続けるトランプ氏との選挙戦だったため、大統領選と10州の住民投票の直前の11月2日に、全米各地で「MY BODY MY CHOICE」のプラカードを掲げた「ウィメンズマーチ」ならぬ「ウィメンズノーベンバー」が開催されたのです。しかし、結果はトランプ氏の勝利でした。ちなみに、18歳から29歳までの若い世代の男女別の投票先は、男性の56%がトランプ氏、女性の58%がハリス氏でした。

そして、各メディアがトランプ氏の勝利、ハリス氏の敗北を報じ始めると、トランプ支持者の男性たちがハリス支持者の女性たちに対して、SNS上で「YOUR BODY MY CHOICE!(お前の身体は俺が決める)」という嫌がらせのメッセージを送り始めたのです。もちろん嫌がらせの言葉はこれだけでなく「女には選択の権利などない」「女は永遠にアメリカの大統領にはなれない」「女は男の寄生虫だ」など、トランプ氏さながらの女性蔑視発言のオンパレードです。

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