「プーチンの思う壺」報道は見当違い。トランプ大統領「ウクライナとの交渉」がどちらに転んでも損はない理由

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米トランプ大統領とウクライナのゼレンスキー大統領の関係が悪化しています。今まで巨額の支援を続けてきた米国は、ウクライナにどんな「要求」をしているのでしょうか? 今回のメルマガ『在米14年&海外販路コンサルタント・大澤裕の『なぜか日本で報道されない海外の怖い報道』ポイント解説』では著者の大澤さんが、米有力紙ニューヨーク・タイムズのオンライン版の報道を引用しながら、米とウ国の「交渉」内容について解説しています。

ウクライナ戦争に見るトランプ大統領の凄さ

トランプ大統領とゼレンスキー大統領の亀裂が表面化しています。

これからどう進むでしょう?

今はウクライナの鉱物資源と米国のウクライナ支援の交換の交渉をしています。

そもそもウクライナ側からの話にトランプ大統領がのったという流れです。

米国の第一案はゼレンスキー大統領に蹴られましたが、第二案が出されます。

ニューヨーク・タイムズ、2月22日オンライン版をみてみましょう。

記事抜粋

米国の新たな提案文書によると、ウクライナは鉱物、ガス、石油などの天然資源からの収益の半分、および港湾やその他のインフラからの収益を米国に譲渡することが求められている。

この合意案は、ウクライナ戦争における米国とウクライナの3年間にわたる同盟関係を、商業的な基盤へと大幅に転換するものである。

トランプ大統領は、ウクライナの鉱物資源へのアクセスは、アメリカがロシアとの戦争を続けるためにキエフに提供した数十億ドルの返済として必要だと考えている。

この新しい文書では、ウクライナの資源からの収益は米国の基金に充当されること、そして、米国からの支援と引き換えにトランプ氏が要求した金額である5000億ドルに達するまで、ウクライナは同基金に拠出することが明記されている。

この文書は、米国が今後、ウクライナにさらなる支援を行う可能性を示唆している。

解説

トランプ大統領らしい非常にビジネスライクな交渉です。

そしてウクライナに対する要求は厳しいです。

しかし金額的な条件の問題です。まとまる可能性は高いでしょう。

そして、その合意をもって、トランプ大統領はプーチン大統領との交渉に臨むでしょう。

ロシアが停戦合意しなければ「ウクライナ支援を続ける」という強いカードをもってです。

交渉においては、決裂した場合の代替案があることが非常に大事なのです。

それがロシアへの強い姿勢の後ろだてになるのです。

一部に「ロシアにとって思うつぼ」といった報道ありますが完全に見当違いです。

これをトランプ大統領の立場から見ると次のようになります。

まずロシアとの停戦に合意した場合は世界の賞賛をえられるでしょう。短期的には無理でも長期的にはです。また米国はウクライナへの復興に強い立場で関与できるでしょう。

ロシアとの停戦に合意できなかった場合は、軍事費をむしろ増やしても議会から文句も言われず、公約違反にも問われないでしょう。ウクライナの鉱物資源を担保にとっているからです。

どちらに転んでも損はないのです。「ディールの達人」を自認するだけの事はあります。

トランプ大統領は、今、ウクライナとの関係で叩かれています。

彼がロシアと停戦合意の代替案を(非常に米国に有利な形で)作っているのが見えない人ばかりだからです。

「トランプ大統領はバカだ。で、さらにバカで単純な米国人を騙している」と思っている人、そろそろ認識を変えた方がよいです。

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・株式会社ピンポイント・マーケティング・ジャパン 代表取締役社長  ・情報経営イノーベーション専門職大学 客員教授 ・法政大学大学院イノーベーションマネジメント研究科 兼任講師 慶應義塾大学を卒業後、米国バンカーストラスト銀行にて日本企業の海外進出支援業務に従事。カーネギー・メロン大学でMBAを取得後、家業の建築資材会社の販売網を構築するべくアメリカに子会社を設立。2000年、ピンポイント・マーケティング・ジャパンを設立。海外のエージェントとディストリビューターを使った販路網構築・動機づけの専門家として活動を行っている。2015年「中小企業が『海外で製品を売りたい』と思ったら最初に読む本」を、2017年「海外出張/カタログ・ウェブサイト/展示会で 売れる英語」をダイヤモンド社から上梓。

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【著者】 大澤 裕 【月額】 ¥330/月(税込) 初月無料 【発行周期】 毎週 日曜日

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