多くのメディアが「未だ終結が見通せない」と報じるウクライナ戦争。しかしそれらの報道とは全く逆の見方もあるようです。今回のメルマガ『『グーグル日本法人元社長 辻野晃一郎のアタマの中』~時代の本質を知る力を身につけよう~』では『グーグルで必要なことは、みんなソニーが教えてくれた』等の著作で知られる辻野晃一郎さんが、「戦争は終結の目途が立ったと解釈するのが妥当」として、自身がそう判断する理由を解説。その上で、間近に迫ったという「終戦のXデー」を予測しています。
※本記事のタイトル・見出しはMAG2NEWS編集部によるものです/原題:ついにウクライナ戦争は終結か?
プロフィール:辻野晃一郎(つじの・こういちろう)
福岡県生まれ新潟県育ち。84年に慶応義塾大学大学院工学研究科を修了しソニーに入社。88年にカリフォルニア工科大学大学院電気工学科を修了。VAIO、デジタルTV、ホームビデオ、パーソナルオーディオ等の事業責任者やカンパニープレジデントを歴任した後、2006年3月にソニーを退社。翌年、グーグルに入社し、グーグル日本法人代表取締役社長を務める。2010年4月にグーグルを退社しアレックス株式会社を創業。現在、同社代表取締役社長。また、2022年6月よりSMBC日興証券社外取締役。
流れをたどれば一目瞭然。ついに終結を見るウクライナ戦争
日本のマスメディアは、「米国がウクライナ戦争の仲裁を降りるかもしれないと言い出し、結局トランプ大統領は、公言したウクライナ和平の実現をあきらめて投げ出すのではないか」などと報道されていますが、正確な情勢判断としては、そうではなく、米国の働き掛けが功を奏して、ついにウクライナ戦争は終結の目途が立ったと解釈するのが正しいように思います。
その根拠としては、まず4月22日に、英フィナンシャル・タイムズが「プーチン大統領が現在の前線に沿って侵攻を停止することを提案した」という情報をスクープし、その直後に、トランプ大統領が「クリミアをロシアの領土として認める」と発言したことにあります。
もちろん、この発言を欧州や日本のマスメディアは強く非難していますが、既にこの戦争ではロシアが実質的に勝利していますから、ロシア側からすればクリミアの領有に妥協の余地はありません。加えて、ドネツク、ルハンシク、ザポリージャ、ヘルソンの南東部4州の領有についても譲れないでしょう。
そして4月26日、ロシアは、ウクライナに攻め込まれていたクルスクの完全奪還に成功したと宣言しました。
また翌27日、バチカンでの教皇フランシスコの葬儀から米国に戻ったトランプ大統領は、葬儀の前にゼレンスキー大統領と会談したことを踏まえて、ロシアによるクリミア領有については、ゼレンスキー大統領もこれまでの態度を一転して承諾したと記者団に伝えました。
フィナンシャル・タイムズは、現在は日経新聞の傘下にありますが、英諜報機関MI6との関係が深く、ロシア情報についてはその正確性でも定評があります。
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