日本メディアの不正確な情勢判断。トランプが「ウクライナ戦争の仲裁を投げ出す」という大ウソ

 

米ニューヨーク・タイムズの報道も「戦争の終結」を示唆か

さらには、フィナンシャル・タイムズのスクープと同時期に、米ニューヨーク・タイムズが、ウクライナ軍の指揮命令系統は米軍が握っていて、米軍の許可がないとウクライナ軍は動けないことを暴露しています。ニューヨーク・タイムズは、この戦争を推進してきた民主党系のメディアですから、そのメディアがこのようなことを明言すること自体、戦争の終結を示唆しているといえます。

他にも、4月25日に、トランプ政権のウィトコフ特使が再度ロシアに行ってプーチン大統領と会い、停戦に向けての話し合いが持たれましたが、その直前に、モスクワでロシア軍参謀本部幹部が爆殺されました。ロシア側はウクライナの特殊部隊による犯行だと言っていますが、実際にはロシアの諜報機関であるFSBの自作自演とも言われていて、そうであれば、プーチン側からの戦争終結に向けたメッセージではないかとする見方もあります。

そして4月28日、プーチン大統領は、「5月8日から11日まで3日間停戦する」と一方的に宣言しました。ロシアは、5月9日に対ドイツ戦勝80周年の記念日を迎えます。

このような一連の流れを見ていくと、ウクライナ戦争は事実上終結の段階を迎えていると解釈するのが正しいように思います。

ただ、まだ正式な完全合意に至っていない以上、戦闘は続くでしょうし、今後状況が変わらないと断言することはできませんが、ロシア側に圧倒的に有利な条件での和平に向けた最終局面を迎えていることはほぼ間違いないと思います。

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本稿を書き上げて配信設定する直前に、ウクライナのスビリデンコ第1副首相兼経済相が、4月30日に自分のSNSで、米国とウクライナが、鉱物資源の権益に関わる合意を柱とした復興投資基金設立の協定に署名したと発表し、米国側からも同様の発表があった旨の報道がありました。以下は同氏のXへのポストです。

https://x.com/Svyrydenko_Y/status/1917695985507053772

やはり、ここに書いた通り、ウクライナ戦争が終結までもう一歩のところまで来ていることは間違いないようです。早ければ前述した5月9日がX dayとなるかもしれません。

(本記事は『『グーグル日本法人元社長 辻野晃一郎のアタマの中』~時代の本質を知る力を身につけよう~ 』2025年5月2日号の一部抜粋です。このつづきに興味をお持ちの方はぜひご登録ください)

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辻野 晃一郎(つじの・こういちろう):福岡県生まれ新潟県育ち。84年に慶応義塾大学大学院工学研究科を修了しソニーに入社。88年にカリフォルニア工科大学大学院電気工学科を修了。VAIO、デジタルTV、ホームビデオ、パーソナルオーディオ等の事業責任者やカンパニープレジデントを歴任した後、2006年3月にソニーを退社。翌年、グーグルに入社し、グーグル日本法人代表取締役社長を務める。2010年4月にグーグルを退社しアレックス株式会社を創業。現在、同社代表取締役社長。また、2022年6月よりSMBC日興証券社外取締役。

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