誰も報じない「安倍外交」の崩壊。米中直接取引に舵を切ったトランプと、まだ踊り続ける高市首相の末路

th20260427
 

トランプ政権が『自由で開かれたインド太平洋(FOIP)』構想から静かに手を引き始めています。米国防省はインド太平洋司令部の名称を元の太平洋司令部へと戻し、米中の直接取引を優先する姿勢を鮮明にしました。それは安倍晋三元首相の遺産とされる戦略の臨終を意味します。『高野孟のTHE JOURNAL』では、著者でジャーナリストの高野孟さんが、米外交専門誌の論説を手がかりに、FOIPとQUADが葬られていく実像と、いまだ古い枠組みの上で踊り続ける高市早苗首相の姿を鋭く読み解いています。
※本記事のタイトルはMAG2NEWS編集部によるものです

プロフィール高野孟たかのはじめ

1944年東京生まれ。1968年早稲田大学文学部西洋哲学科卒。通信社、広告会社勤務の後、1975年からフリー・ジャーナリストに。同時に内外政経ニュースレター『インサイダー』の創刊に参加。80年に(株)インサイダーを設立し、代表取締役兼編集長に就任。2002年に早稲田大学客員教授に就任。08年に《THE JOURNAL》に改名し、論説主幹に就任。現在は千葉県鴨川市に在住しながら、半農半ジャーナリストとしてとして活動中。

米外交専門誌が断言する「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」という安倍晋三の遺産の臨終

米国のトランプ政権は、「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」という奥歯にモノが挟まったような言い方をしながら、実際には米国を盟主とし日豪でその両脇を固め、インドをも巻き込んで「中国包囲網」を形成しようとする外交・軍事戦略を、廃棄した。

本誌は、米国防省が「インド太平洋軍」の呼称を元々の「太平洋軍」に戻すと発表したとの6月18日付読売ワシントン支局発の短い記事に着目し、先々週号(No.1371)でこれをいささか先走って全面展開してFOIP概念の臨終について論じた。が、その後、米国の権威ある外交政策・国際問題専門誌『フォーリン・ポリシー(FP)』が「なぜトランプのペンタゴンは”インド太平洋”〔概念〕を遺棄するのか」と題したデレク・グロスマン=南カリフォルニア大学教授の論説を掲載したので、本誌の論調が決して先走りでなかったことが裏付けられた。

翻って、この大事な第一報を載せた読売新聞自身はこれの重大性についてそれ以後全くフォローしておらず、私の目配りの限りでは他紙はどこもこの問題を取り上げることさえしていないため、高市早苗首相のインド訪問についての報道・論評も底の浅いものになり終わっている。そこで、以下にFP記事の要旨を紹介する。

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