「いじめ防止対策推進法」が定めるところの「重大事態いじめ」と認定された事案であっても、被害者が必ずしも守られるとは限らない現実。その背景には、教育現場や行政組織が抱える深刻な課題も存在しているようです。今回のメルマガ『伝説の探偵』では、現役探偵で「いじめSOS 特定非営利活動法人ユース・ガーディアン」の代表も務める阿部泰尚(あべ・ひろたか)さんが、埼玉県白岡市で発生した事例を取り上げ、学校や教育委員会、市側の対応を詳しく検証。その上で、被害者支援や再発防止を巡る問題点について考察しています。
※本記事のタイトルはMAG2NEWS編集部によるものです/原題:さいたま白岡市重大事態いじめ公的隠ぺい事件
被害者は適応障害を発症。白岡市重大事態いじめ公的隠ぺい事件
2021年、埼玉県白岡市の市立小6年だったA子さんは、同級生から「死ね」などの暴言や筆箱をゴミ箱に捨てられる等の壮絶ないじめを受け、適応障害を発症。この事案はのちに「いじめ重大事態」に認定された。
しかし学校側は、いじめの訴えを「お互い様」と軽視して加害児童への指導を怠ったなど、事実の矮小化を図った。
さらに被害者を絶望させたのは、その後の行政の対応である。2024年3月、誠意ある対応を求める保護者に対し、白岡市の教育長は面談の席で「日本全国、いじめはずっとなくならない」「教育委員会がゼロにするなんてことはできない」と言い放った。教育現場のトップによる開き直りとも取れる発言は、A子さんをさらに深く傷つける結果となった。
事件から数年が経過した現在も、A子さんは後遺症に苦しんでいる。本件は、教育機関がいかに被害者を守れず、逆に「二次被害」を与えて追い詰めるかという、組織の構造的な問題を浮き彫りにしている。
私はこの件をあまりに酷い件として、朝のラジオに出演した際に解説した。
その縁で、被害側から連絡があり、今の思いを聞くことができた。
議会で公然と嘘をつき涙まで流す芝居を打った教育長
白岡市教育長 横松伸二氏 「今後につきましても、文科省のガイドラインに基づき、的確且つ誠実に、対応していきたいと考えております。私は被害者と直接、1回だけお会いしました。その場では、被害者の気持ちをお聞きしました。しかし、ご理解いただけなかったこともあります。一部被害者の望み通りの対応ができないことに対しましては、大変申し訳ないと思っています。1つだけ大変印象に残っていることがあります。お話をした後の帰り際に、本人から、今日はありがとうございました、お礼を言われたことです。いじめの被害に遭ったことは、忘れることはできないと思いますが、将来に向かって前向きに、様々な困難を乗り越え生きていただきたいと思っています。以上答弁とさせていただきます」
これは、白岡市議会で教育長が発言した内容をそのままテープ起こししたものだ。
いっけん、これのみを聞けば、普通の教育者、教育行政のトップだと思う人も多い事であろう。
しかし、現実は違うのだ。
第三者委員会の報告書を読む限り、当該学校においてはいじめ防止対策推進法で定められ、学校が自身で作成したいじめ防止基本方針で定めたいじめ対策の組織が動いていた形跡がないと明記している。つまりは、国のガイドライン以前の問題で、自ら定めたルールすら守らず、隠ぺいをはかったわけだ。
もはや教育長、どの口がそれを言うのだ。なのだが、それだけではない。
被害当事者は教育長との面談をしたことは事実だが、教育長は冒頭の概要の通り、いじめはなくならないと発言して被害当事者を追い詰め泣かしてしまっているのである。
さらに、「今日はありがとうございました」と言ったのは、教育長本人であり、被害当事者は絶望して声を発していないのだ。
つまり、議会の場で、公然と嘘をつき、自ら涙するという三文芝居まで披露していたことになる。すでに録音もある事だから、仮に事実であればではない、明白な事実だ。
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