トランプが「JAPの本音」に気づく日。石破・ネトウヨ・パヨクどれがバレても日本終了!? ゼレンスキー以上の窮地に陥る訳

20250304_trump-zelenskyy_eye
 

激しい口論の末に決裂した米ウ首脳会談(2月28日)。これに関して「トランプ大統領は『決裂と怒号の映像』というアウトプットを得ることが当面の目的だった」と分析するのは米国在住作家の冷泉彰彦氏だ。トランプ氏は「極端な劇場型政治」を逐次投入する必要に迫られており、日本としても決して対岸の火事ではない。わが国の“本音”がトランプにバレてしまったら、それこそゼレンスキー氏以上の窮地に追い込まれる恐れは十分あるという。(メルマガ『冷泉彰彦のプリンストン通信』より)
※本記事のタイトル・見出しはMAG2NEWS編集部によるものです/原題:西側同盟流動化と日本外交

西側同盟流動化と日本外交~世界が目撃した恐怖の瞬間

2月28日にホワイトハウスで発生した「トランプ=ゼレンスキー会談の決裂」は、どう考えても恐ろしい瞬間でした。戦争が継続し、もしかしたらウクライナの領土がより侵害されるかもしれないという恐怖があり、NATOの枠組みが揺らぐ恐れもあります。

けれども、最も恐ろしいのは2つの事実でした。1つは、少なくとも28日に期待されていた「レアアース採掘権と今後のウクライナの安全保障」に関しての合意というのものは、事務方の折衝や関係国、国連などの調整を経て練り上げられては「いなかった」ということです。

つまり、国際社会において非常に重要な合意もしくは不同意ということが、組織ではなく首脳の「中の人」つまりは、「タダの人」に任されていたのです。

これは怖いことです。東欧史、戦後史、戦史、国際法史、そして各国際法と国際機関の実務的な制度の知識、そして関係国の経済力、兵力など、とにかくウクライナ和平に必要な情報は膨大です。

そうした情報に必ずしも接していない、元コメディアンのゼレンスキー氏と、元ギャンブル産業親方のトランプ氏という「ド素人」に重要な調整が丸投げされた――これは本当に怖いことです。

飛んで火に入るゼレンスキー

2つ目は、少なくともゼレンスキー氏には「彼なりの落とし所」はありました。つまりウクライナという国の国家意思として受容できるオプションというのはあったのだと思います。一方で、トランプ氏には「落とし所」はなかったという点です。トランプ氏はゼレンスキー氏に対して「お前は何のカードも持っていない」などと吠えていました。ですが、実際にカードを持たないのはトランプの側でした。

そして、恐らくトランプ側としては、このような「決裂と怒号の映像」というアウトプットを流すことが、当面の目的であったのだと思われます。

どういうことかというと、会談の4日後、3月4日の火曜日には上下両院合同会議における大統領演説が予定されているからです。少なくとも、この演説は多くの、つまり賛成反対の双方の議員たちが明確にリアクションをする機会になります。

ということは、この間「様子見」を決め込んで、「凍結」されていたトランプへの批判の動きが、この議会演説を契機に「自由に解き放たれる」、そんなターニングポイントとなる可能性があります。

ただでさえ、全国で連邦政府職員のリストラに対する激しいデモが起きているのが現状です。トランプとしては、「快調に自分のプログラムを遂行」しているという手応えの一方で、「いつモメンタムが逆転してもおかしくない」という警戒はしているはずです。

そう考えると、「極端な劇場型政治」を追加投入することが必要なタイミングは「今だ」という感触があり、そこへ「まんまとゼレンスキーが来た」ということなのでしょう。

こうした思考パターンにはミクロの合理性はあります。ですが、実際に戦争が進行しており、また実際にNATOの抑止力が大きく揺らいでる中では、「人命や大戦争のリスク」を賭けてギャンブルをしているのは、トランプ側だとも言えます。

とにかく、外交や安全保障に関する膨大な情報処理によって成り立つ、実務的な政治、経済、歴史と国際法によって「練り上げられた」政策というのが、根本の部分で欠落している、最大の問題はそこにあると思います。

print
いま読まれてます

  • トランプが「JAPの本音」に気づく日。石破・ネトウヨ・パヨクどれがバレても日本終了!? ゼレンスキー以上の窮地に陥る訳
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け