日本が今「絶対にしてはならないこと」
さて、日本の場合は、とりあえず先月初頭の石破総理の訪米で、関税や企業買収の問題に「目を逸らす」作戦が成功しています。
その上で、ヨーロッパとは違って、当面は大問題と格闘する必要はなさそうです。ですから、この時間を使って、この「軍事外交の実務が欠落した」危険マックスの時代において、日本の外交をどうやって進めるのか、冷静に考えて準備する必要があると思います。
この点では、例えば全くの野党ですので外交政策の本質とは接点は薄いのですが、立憲民主党関係者の発言について検討してみたいと思います。
まず、野田代表ですが、大分市で会見した際に、アメリカとウクライナの首脳会談の決裂を巡り、「石破首相は明確にメッセージを出していない。日本の姿勢が見えない」と指摘したそうです。
その上で「大局的にアメリカと欧州の分断は、本当に良くないことだと思うが、そうなりかねない」として、「トランプ氏を説得するには時間がかかるかもしれないが、欧州と協調して対応していくという基本的姿勢を示すべきではないか」との考えを示したそうです。
これは、不要な発言ですし、野田氏はいい加減に気付くべきだと思います。国際社会というものは、立派な言論の応酬で動く時代ではないのです。例えば、野田氏が総理大臣時代にやった大ミス、尖閣国有化のことが思い出されます。
野田氏にはまだ反省はなく、「石原慎太郎が尖閣を買ったら中国が激怒して、取り返しのつかないことになるので自分は正しかった」と言い続けています。ですが、結果的に自分のやった国有化でも、中国は思いきり反応して日系企業への不買運動や、日本車の打ち壊し暴動が起きました。
どういうことかというと、まず中国が政権交代期であったので、当時の胡錦涛政権にはそれほどの権力はなかったこと、ならば分かりやすい反日カードで、求心力の補強をすることは予想し得たということです。また、どうしても国有化をしたいのなら、慎太郎がこういう動きをしているので、日中関係のためにこれを防止する目的で国有化する、というメッセージを秘密裏に外交裏ルートで先方の中枢とコミュニケーションすべきでした。
秘密裏というのは、別にコソコソやれとか、やましい行動だというのではありません。どの国にもいる「過度なナショナリズムを栄養ドリンクのように思っている層」を刺激しては、誰もトクをしないからです。ですが、野田氏はそうした手続きを怠りました。その結果があのようなイヤな事態となったのです。
今回も全く同じです。欧州に寄り添う、ウクライナに寄り添うということは、石破内閣としてちゃんとやっています。つい先日も、岩屋外相はウクライナを訪問しているのです。これで十分です。このトランプがカッカして、トランプ支持者が「欧州がきれい事にこだわって醜態さらしてるの面白えや」となっている現時点で、燃料投入のような行動をする必要はないし、すべきではありません。このような人物に、国家の枢機を託すのは難しいと言わざるを得ないと思います。









