日本の本音がトランプにバレたら大変なことになる
この構図は、幸運なことに米国の一般世論には知られていません。
80年代の昔からあるのは、日本が武装に消極的なら、軍事大国化して米国に再挑戦することもないので結構なことだと捉える印象論の親日派と、必要なコストを負担しないのはズルいという反日派です。そのような理解が、まあ一般的にはあると思います。
そうなのですが、友軍であるにもかかわらず、ヘリが水田に不時着しただけで非難轟々となるような実態がバレてしまうと、早晩大問題になる可能性はあると思います。例えば、堂々と議会承認されてアメリカの諜報機関のボスになった、トリシ・ギャバード情報長官などは、「日本の防衛費倍増はハワイ再侵略のためだ」などと非常に怪しい発言をしています。
とにかく、危険が一杯なのです。そんな中で石破総理の言う「戦後80年談話」などというものが、何らかの線で成立するのか、私には非常に難しく思えます。下手なことを言えば、
「米軍駐留費をフルで全額出せ」
「核武装してもいいので、核兵器を買え」
といった過去のトランプ氏の日本に対する暴言に加えて、
「カネを渋るのなら沖縄と小笠原を返せ。奄美は勘弁してやる」
ぐらい言いかねないと思います。
最後の沖縄と小笠原に関しては、現時点でトランプは分かって言わずにいるのではなく、もしもこの3島の返還の歴史を知ったら言い出す危険性はあると思います。
グリーンランドとパナマ運河とカナダ全土を「よこせ」と言っているトランプです。「あれだけ兵士が死んだイオウジマを返したのはバカだ。アメリカが取り戻すべきだ」とか、言うかもしれません。それ以前の問題として、平和国家とか非核などというのは、たぶん全く理解されないでしょう。
もちろん、平和国家、軽武装、非核というのは日本の国是であり、それを日本人が誇りに思い、それを守るためにも自衛隊が練度を維持しているのは当然です。そうなのですが、とにかくトランプ主義という全く異質の文化がトレンドを支配している中で、「戦後80年談話」というのは副作用が心配ですし、その危険性が必要性を大きく上回っていると思います。
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※本記事は有料メルマガ『冷泉彰彦のプリンストン通信』2025年3月4日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。Q&Aコーナー「日本の自主防衛に大事なこと」「親王の成年会見をめぐって」もすぐ読めます
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