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あっさり寝返ったPayPayに失望。通信キャリア大手がメガバンクに足を向けて寝られぬ裏事情

ソフトバンクが三井住友カードとタッグを組むことを発表しました。このことで「PayPayカードがあるのにナゼ?」という疑問が出てくるのは当然かもしれません。メルマガ『石川温の「スマホ業界新聞」』の著者でケータイ/スマートフォンジャーナリストの石川さんは、「PayPayカードは諦めたのか?」という質問を宮川社長に率直にぶつけたときの回答を紹介しながら、あっさりメガバンクの軍門に下った通信キャリア大手の現状を嘆いています。

PayPayとOliveがキャッシュレス決済でタッグ—-「PayPayカードは諦めたのか」

ソフトバンクと三井住友カードは5月15日、デジタル分野における包括的な業務提携を実施すると発表した。スマホ決済サービス「PayPay」と総合金融サービス「Olive」がシームレスに連携し、より使いやすいサービスになるという。

ただ、現場で取材していたメディア関係者の間では「ソフトバンク側のメリットが見えない」というのが共通した感想であった。PayPay側がOliveと組む意味が見いだせないというわけだ。

今回の提携、どちらかといえばPayPayとOliveの連係をはかり、キャッシュレス決済市場で有利に立つというよりも「ソフトバンクが三井住友カードから案件をとりたかった」というのが起点にある。

提携の発端を聞かれた宮川潤一社長は「そもそも、三井住友カードの大西氏にヘルスケアサービスのセールスをしにいったのがきっかけ」と語っている。結果、Oliveにソフトバンク系のヘルスケアサービスが搭載され、さらにソフトバンク系のAIによって、三井住友カードのコンタクトセンターにAIエージェントが導入されるという流れになっている。

その見返りとして、QRコードで圧倒的に強いポジションのPayPayを、少額決済に弱いOliveがタッグを組んだということなのだろう。

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今回の提携で三井住友カードは「PayPayと最も相性の良いカード」と言い切っている。PayPayカードがあるにもかかわらず、だ。

そこで宮川社長に「ソフトバンクとしてPayPayカードは諦めたのか」と聞いてみた。宮川社長は「諦めたわけではなく、契約者数を増やしたい。ただ、PayPayカードが三井住友カードの規模になるには20~30年の戦いになる」とした。

ただ、PayPayユーザーとしてみたら、PayPayカードと三井住友カードが同等に扱われるのであれば、わざわざPayPayカードを持たなくても、という気になってくる。いまのところはPayPayステップやソフトバンク/ワイモバイルの最大10%ポイント付与などの特典は生き残っているが、他キャリアユーザーでPayPayを使っているユーザーとすれば、PayPayステップぐらいしかメリットがなくなってくる。

個人的にはソフトバンクがPayPay経済圏でメガバンクを脅かすような影響力を期待していたのだが、今回、メガバンクにあっさりと寝返ったようで失望してしまった。

その点でいえば、KDDIはauカブコム証券を三菱UFJ銀行に渡してしまったし、楽天もみずほフィナンシャルグループに取り込まれつつある。

結局のところ、どんなに通信キャリアが非通信分野を強化し、金融事業に注力しても、最終的にはお金を持っているメガバンクには足を向けて寝られないということなのかもしれない。

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image by:slyellow / Shutterstock.com

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日経トレンディ編集記者として、ケータイやホテル、クルマ、ヒット商品を取材。2003年に独立後、ケータイ業界を中心に執筆活動を行う。日経新聞電子版にて「モバイルの達人」を連載中。日進月歩のケータイの世界だが、このメルマガ一誌に情報はすべて入っている。

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