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AIの進歩で「動物との会話」が可能に。もう「人間中心の世界」は終了してしまうのか?

AI技術の進化により、動物の鳴き声や動作を解析し、言葉として理解するという驚きの試みが進んでいます。フューチャリスト(未来予測士)で、16万人超のフォロワーを誇る公式YouTube「2030年の未来予測チャンネル」を運営する友村晋さんが、7月に新創刊したメールマガジン『友村晋の「読むだけで年収が変わる!?」週刊メルマガ』の創刊号では、動物との会話が実現した際に生じるメリット・デメリットと、その未来に生まれ得る新しい職業や社会の在り方を考察しています。

AIが動物同士の会話を学び、いつか人間も動物と話せるようになる可能性

今日の創刊号では「人間以外の生物とのコミュニケーションの未来」を取り上げました。

実は、このようなニュースは特別珍しいわけではなく時々日本でも報道されています。

(例)10億超の鳴き声分析、ネコ語を翻訳するAIアプリの実力

このニュースを取り上げた理由は、もちろん、「AI翻訳がペットの鳴き声を言葉に変換してくれる未来が来たら、会話ができて楽しいね!」なんて単純な話ではないからです。

それでは、AIの力を借りて動物とコミュニケーションがとれる未来がきた時の、人類にとって(生物全体にとってではなく、人類にとって)のメリットとデメリットを考えてみます。

メリット1:楽しい

まず思いつくのは楽しいという感覚だと思います。大好きなペットと会話ができれば、これまで以上に家族としての絆が深まり、信頼関係を気づくことができるでしょう。

メリット2:畜産の生産性が上がる

牛や豚が「このエサを食べたら気分が悪くなった」「最近は小屋の温度が高すぎて暑くてつらい」など教えてくれたらストレスが減り、繁殖の効率が上がったり、肉質も良くなるかもしれません。

※ストレスホルモン「コルチゾール」が分泌されると、肉は硬く乾燥し、不味くなります。

メリット3:犯罪の検挙率が上がる

その辺を歩いているノラ猫に「今走ってきた怪しい男はどっちの方向に逃げた?」と警官が聞いたりできますし、放火事件の現場付近にいた野良犬に「この男がやったか?」と写真を見せると答えてくれるかもしれません。

実際は、「イマ、ニンゲン、ドコイッタ?」とか「コノヒト、ヒ、ツケタ?モエタ?」みたいな単語の羅列による会話になるのか、それともちゃんと文章での会話になるのかは分かりません。

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では次にデメリットを考えてみましょう。

デメリット1:気を遣う

自分がハンバーグを食べながら、ペットの犬にもエサをあげた時に「おれもたまには、あんたが食ってるヤツ食いたい、もうこのエサは飽きた」と言われたら気を遣います。

または膝の上で子猫をナデナデしながらオナラをしたら、「クッサ!マジかコイツ!ナニ食ったらこうなるんな?ぶち臭いじゃんか、最低~」とにらみつけられるかもしれません。

デメリット2:家畜に情がうつる

屠殺(とさつ、と読みます。食べるために家畜を殺すこと)の際に、「痛いから殺さないで!」「殺す前に一目でいいから家族に会わせて!」と言われるかもしれません。が「このエサを食べたら気分が悪くなった」「最近は小屋の温度が高すぎて暑くてつらい」など教えてくれたらストレスが減り、繁殖の効率が上がったり肉質も良くなるかもしれません。

よく小学校で命の教育と題して、みんなで育てた豚を最後に食べるという教育がありますが、子供たちはもしも豚が「これまで一緒に楽しく暮らしてきたじゃん!なんで殺すの!」という声を聞くと、もう食べることはできなくなるでしょう。

デメリット3:ウソをつくかも?

私たちは、人間はウソをつく生き物だと知っているので用心します。しかし、動物とコミュニケーションがとれたら、その感動が勝ってしまい、すべて信じてしまうでしょう。

でも、ひょっとしたら一部の頭が良いとされる動物(イルカ、象、カラス、チンパンジー、犬など)はウソをつくかもしれません。

人間がウソをつくときは、表情、目線、声の裏返りや手の震え具合などから判断できることがありますが、動物がウソをつくときの特徴なんて誰も研究していません。ましてや種ごとにウソをつくときの特徴が違っているかもしれないので、見抜くことはほぼ不可能でしょう。

人間中心とした世界観が崩壊する

このニュース記事の最後はこう締めくくっています。
私たちが、地球が中心(天動説)じゃないと知った時と同じように、人間が中心じゃないと分かり、地上の全てとの関係性が変わるでしょう。

このしめくくりをみて、今日の創刊号で取り上げよう!と決めました。

つまり先ほど挙げたデメリット3つをまとめて一言で言うと気を遣う相手が人間だけじゃなく地球上のすべての生物になるということです。

いや、ひょっとしたら生物だけじゃないかもしれません。植物も会話しているかもしれません。

参考:植物は「会話」している、ストレスで超音波を出すことも判明

人間同士のコミュニケーションでさえ、これだけ精神をすり減らしている現代人の僕たちが、さらに地球上のあらゆる動物、さらには植物や昆虫、菌類までも!?コミュニケーションの輪の中に入ってきたら、いったいどんな世界観になるのでしょう!?

宮崎駿さんの映画の世界観のようになるかもしれませんね。
少なくとも、人類中心の地球ではなくなるでしょう。まさに天動説から地動説になったインパクト以上のことが起こると思います。

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では、なぜ動物と会話をしたいのか?

動物と会話するための大規模言語モデル(LLM)を開発している非営利団体Earth Species Projectの代表Katie Zacarian(ケイティ・ザカリアン) 氏は、環境保護活動家であり、AI研究者としても活躍しています。

公式サイト: https://www.earthspecies.org/team/katie-zacarian

つまり彼女の組織が実現したいことは、人間のご都合主義の環境保護ではなく、他の生物の意見も尊重しながら本質的な環境保護を目指していることが公式サイトから読み取れます。

そう考えると、この組織が動物と会話するためのAI研究に注力する理由も納得です。

人間が中心になっていくら環境保護を訴えても、なにも進まないから、実際に他の生物も議論に巻き込もう!という考えは、僕は至極当然だと感じました。

メンバーも学者だけでなく、ちゃんとAI研究者も多数いるみたいです。

https://www.earthspecies.org/about-us

新たに生まれる仕事は?

僕はフューチャリストとして、このようなニュースをみると「へ~楽しそうな未来」という感想で終わらず、どんな仕事が生まれ、どんな産業が伸びるかな?と考えるようにしています。

皆さんも今日は一緒に考えてみましょう。

たとえば以下のような仕事が生まれそうです。

ペット心理療法士・・・ペットと深く会話をするプロで、ペットと飼い主の間に入りコミュニケーションをとりお互いの生活の質をあげるアドバイスをします。

盲導犬育成士・・・既にあるお仕事ですが、会話ができるようになると盲導犬の活躍の場が増え、さらに需要が高まりそうです。屋内でも立ち入りOKの場所が増えることが予想されます。

家畜ヘルス管理士・・・家畜のメンタルヘルスをモニタリングして最適なコンディションを保ためにアドバイスする(ただし、先述の通り「殺さないで!」と言ってくることが予想されるので相当タフなお仕事になりそう)

倫理・哲学・法律分野・・・既存の概念がすべて壊れるので、動物に寄り添った倫理や哲学をもった人の付加価値が上がることが予想されます。たとえば裁判の証言台に動物が立つ日がくるかもしれませんね(笑)。

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image by: Shutterstock.com

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フューチャリスト(未来予測士)。米アマゾン本社の無人コンビニ、シリコンバレー、中国深セン、DXが進んでるエストニア、幸福度の高いフィンランドなど現地を訪問し、自ら「最新テクノロジー・ビジネス・学校教育現場」を学ぶ。

公式YouTube「2030年の未来予測チャンネル」は16万人超のフォロワーを誇る。著書「生成AIに仕事を奪われないために読む本」「2045 不都合な未来予測48」は、AIに代替されない仕事術の社員研修教材として多くの企業に利用される。

現在は、フィリピン→カリフォルニア移住を経て帰国。全国のビジネスマン・教職員向けに、ポスト生成AI時代を生き抜くためのスキルについて講演活動中。

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