台風とカムチャツカ地震津波の到達で麻痺した上海の都市機能
一方で、8月に入り、南の上海には台風8号(コーマイ、コメイ)が襲来しました。こちらの被害も甚大です。
上海、広州、舟山、を中心に、28万人を超える人々が避難を余儀なくされました。
時速170kmの暴風が木々を薙ぎ倒し、小屋を吹き飛ばし、人間まで吹き飛ばしてしまいました。3時間に207mmを超える豪雨が上海を襲い、道路を川に変え、ショッピングモールの階段を滝に変え、地下街は水族館に変わりました。排水設備の老朽化した上海は、一日で水に沈んだのです。
奇しくも、この日、カムチャッカで発生したマグニチュード8.8の大地震の津波が上海にも到達し、高潮と相まって、さらに混乱に拍車をかけました。インフラが崩壊、停電が発生、交通と物流は止まり、都市機能は完全に麻痺しました。もちろん、職場も学校もお休みです。
周囲の市や村の被害状況も少しずつ明らかになりつつあります。土砂崩れや河川の決壊による浸水の規模は想像を絶します。
また、この台風の影響で、所によっては、ゴルフボール大の氷の固まりが空から降り注ぐ「雹(ひょう)嵐」に見舞われたのです。まるで、この世の終わり。あんな氷玉が頭を直撃したら、即昇天です。車はボコボコ、窓ガラスは割れ、雹が止んだ後も、積もった氷の山で気温は冬のように低くなったそうです。
軍などによる救援も、とても追い付いてはいないようです。劣悪な環境で物資も滞る中、家や家族を失い避難所で過ごしている被災者の心の裡を思うと、何ともお気の毒で、胸が張り裂けそうです。
水に呪われた中国で習近平が恐れる「帝国崩壊の予兆」
この一連の「水害」に先立ち、7月の初めには長江(揚子江)上流地帯で大雨が続いたため、有名な「三峡ダム(2009年に完成した世界最大のダム)」の水位が高くなり、決壊を防ぐために放流するという事件?!が起きました。
なぜ「事件」なのかと言うと、夜中にこっそり放流し、影響を受ける下流域の村や市に事前に報告をしなかったため、下流の村々にとっては文字通り「寝耳に水」となり、避難する余裕も無く、多くの犠牲者が出たからです。
生物化学兵器の開発疑惑(いわゆる新型コロナウイルスのことです)で世界的に注目を集めている「武漢ウイルス研究所」のあるあの武漢市などもダムの下流に位置するため浸水してしまいました。
そして、同様の水害は、毎年のように中国を襲いつつあります。
かつて、改革開放の掛け声の下、龍の如く世界に躍り出た中国の経済力を背景に、続々と建設が推進された大規模ダム。それは中華人民共和国の明るい未来を象徴していました。しかし、バブル経済が崩壊した今、それらのダムは充分に機能しなくなっただけではなく、むしろ、新たな形の災害を生み出しつつあるのです。
それに加えて「天変地異」、近年の中国は水に呪われているかのようです。
こうした水の恐ろしさを最も強く感じているのは習近平主席でしょう。これは、明らかに帝国崩壊の予兆なのですから。
この記事の著者・富田隆さんのメルマガ









