提言書には「すべての社員が2.5人称の視点を持って行動することが高い安全性を持つ組織につながる」と明記した。
柳田さんは
合理的で客観的な「3人称」の視点や分析は必要だが、「自分や自分の家族がこの状況に放り込まれたらどうなるのか」という2人称の感性や当事者意識も忘れてはならない。
どちらか一方ではなく、両方を併せ持った「2.5人称」の視点が大切だという思いを込めた。
(日経新聞8月11日)
と話す。
2.5人称で物事を考えることを、提言書は「安全の層」の厚みが増す、と表現する。
これは、安全にかかわるすべての人への提言として、社会に広く浸透させるべき視点であろう。
災害が日常に迫る日本においては、私たちが2.5人称で考え、準備する、もしくは対応する時はいつか発生するのだ。
さらに提言書は「コミュニケーション文化」を説く。
大事なこととして、コミュニケーションの「場」を意図的に作り出すことだという。
「社員同士が対面して肉声で情報を共有し、情報を相手の血肉として伝えること」とし、各自の思いを語れる場を設けることを奨励している。
コミュニケーションを語るのは簡単だが、場を設ける、相手に血肉として、となると、より能動的な行為が迫られる。
修理の確認、というコミュニケーションを怠ったことで500人以上の命が奪われたことを思うと、やはり能動的なコミュニケーションは必然化する。
40年、日航は多大な犠牲を負わせた十字架を背負いながら自問を繰り返し、今後もそれを続けながら、今後は広く社会に「血肉として」伝える役割も担ってほしいと思う。
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