これには当時のウィドド大統領も面食らったに違いありません。
なぜなら、この国家プロジェクトを担当するパンジャイタン大臣によれば、「ソフトバンクは首都移転計画に対して300億ドルから400億ドルを投資する」とされていたからです。
しかし、孫氏は現地をたびたび訪問して実態調査を行った結果、「実現の可能性は低い」と見切りを付けてしまいました。
というのも、インドネシアは世界第4位の人口大国で、資源も大量に眠っているのですが、経済や技術力が乏しく、孫氏に対しては「首都移転計画の実現のために相当額の投資」が求められていたのです。
利に敏い孫氏は当初、乗り気だったようですが、後から進出に名乗りを上げた中国やロシアの企業が相当な裏金をばら撒き、“美味しいとこ捕り”に走ってきたといいます。
結果的に、孫氏は「採算が合わない」と結論付けたのでしょう。
当然、インドネシアからは「裏切り行為」とそしられました。
しかし、孫氏は「自分は誤解されやすい。イエス・キリストがそうだったように」と奇妙な言い逃れをしています。
ソフトバンクとすれば、インドネシアの汚職体質は看過できないと判断したのかも知れません。
とはいえ、名誉回復を狙いインドネシアは大阪万博の「ナショナルデー」の場を活かし、「インドネシアから日本、そして世界へ」と銘打った、特産品のコーヒーを切り札にしたキャンペーンを展開しています。
ぶっちゃけ、どこまで逆転効果が得られるものか、孫氏ならずとも気になるところです。
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