参院選敗北「最大の原因」。野田佳彦という“自民の手先”をそのまま代表に留任させる立憲民主党「人事刷新」の奇々怪々

th20250916
 

今夏の参院選で事実上の敗北を喫した立憲民主党。この結果を受け同党は9月11日に執行部の刷新を発表しましたが、代表は野田佳彦氏の留任となりました。この人事に異を唱えるのは、ジャーナリストの高野孟さん。高野さんは自身のメルマガ『高野孟のTHE JOURNAL』で今回、野田氏の代表据え置きを「間抜けな人事」としてそう判断する理由を解説。さらにかような決定を下した同党の先行きを絶望視しています。
※本記事のタイトルはMAG2NEWS編集部によるものです/メルマガ原題:真っ先に刷新すべきは野田佳彦代表自身だというのに、そこは触らない立憲民主党の奇怪な人事

プロフィール高野孟たかのはじめ
1944年東京生まれ。1968年早稲田大学文学部西洋哲学科卒。通信社、広告会社勤務の後、1975年からフリー・ジャーナリストに。同時に内外政経ニュースレター『インサイダー』の創刊に参加。80年に(株)インサイダーを設立し、代表取締役兼編集長に就任。2002年に早稲田大学客員教授に就任。08年に《THE JOURNAL》に改名し、論説主幹に就任。現在は千葉県鴨川市に在住しながら、半農半ジャーナリストとしてとして活動中。

野田代表をそのまま留任させたのは一体どういうことなのか。立憲民主党の奇怪な執行部「刷新」

立憲民主党は先の参院選での敗北を受けて、9月11日人事を刷新して新執行部を選んだ。

幹事長に百戦錬磨のベテラン=安住淳を据えたのはいいと思うし、近藤昭一を代表代行の1人とし彼の率いる党内最大グループ「サンクチュアリー」のリベラル派を各所に登用し、若手をそこそこ抜擢したのも悪くはないと思うが、肝心の代表については野田佳彦をそのまま留任させたのは一体どういうことなのか。

私に言わせれば、昨年9月に彼を代表に選んだことが同党の敗北の最大の原因であるというのに、そこに触れない「人事刷新」など成り立つわけがない。奇々怪々としか言いようのない有様である。

参院選の敗因をまったく理解していないがゆえの「間抜けな人事」

本誌が一貫して主張してきたように、昨秋の石破茂政権成立から今も続く政治局面の中心テーマは、安倍政治とその追随者による悪政の数々の負の遺産を徹底的に暴き立てて1つ1つ清算し、第2次安倍政権が始動した2012年から13年間も国政を歪めてきた呪縛からこの国を救い出すこと――「脱安倍化」にあった。

その12年間のほとんどを党内非・反主流の立場を保ち、保守リベラル的な観点から安倍に批判的な言辞を突きつけたこともある石破は、その「脱安倍化」という時代的課題を担いうるのではないかという期待が高まり、それが官邸前の「石破辞めるな」デモという形でも表れたのだった。

しかし石破はその期待に応えられず、「党内融和に努めてきた結果、石破らしさを失ってしまった」(2日両院議員総会での発言)が故に、参院選に大敗した。

その状況で、野党第一党である立憲民主党がなすべだったのは、自民党と「脱安倍化」の徹底性を競い合って、一面では石破を批判しつつ一面では励ましつつ、「立憲ならば脱安倍化をもっと徹底的にやってくれそうだ」という印象を広く生み出して参院選を迎えることだった。

しかし、同党は選りに選ってその時に、この局面に最も相応しくない代表を立ててしまった。なぜなら野田は、安倍の追随者であるどころか、勝てるはずのない無謀な選挙に打って出て第2次安倍政権の誕生を促した、いわば「産みの親」であり、政策面で言っても、安倍が行った悪行の多くは、何と、野田政権時代にすでに準備されていたものだった。

だから彼に安倍批判などできるはずがなく、従って石破のその不徹底さを批判することもできなかった。だから参院選に負けたのである。そのことを野田自身も立憲全体も、全く分かっていないからこういう間抜けな人事になるのである。

つまり、「石破辞めるな」デモに象徴される国民感情の深い意味合いを、石破も野田も全く理解できなかったために、自民党も立憲民主党も負けたのである。

この記事の著者・高野孟さんのメルマガ

初月無料で読む

print
いま読まれてます

  • 参院選敗北「最大の原因」。野田佳彦という“自民の手先”をそのまま代表に留任させる立憲民主党「人事刷新」の奇々怪々
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け