前回ここで取り上げた就労継続支援B型事業で「チンドンパフォーマンス」を提供している「トンカラポンガ」楽団の公演を事例に紹介した。
特に頭のてっぺんにプロペラが付いた帽子を被り、韓国の伝統楽器であるチャンゴを改良した太鼓をたたくタクちゃんの「対話」事例である。
公演前の控室では私にウルトラマンの図鑑を見せて、繰り返し「ウルトラマン」と話してきたタクちゃんは、公演後、舞台を降りて太鼓を観客に見せながら「これ太鼓」と言って、説明しようとする。
太鼓は、タクちゃんにとって仕事の道具であると同時に、自分の役割が社会とつながるツール、メディアであるとし、この道具が共在感覚を可能とすると指摘した。
ウルトラマンも対話のツールではあるが、それは外在したものと位置付けられる。
一方の太鼓は自分の仕事の道具である、自己表現の拡張機能を持つ他者とのツールである。
これは、共在することを活性する。
社会や他者との対話をどちらかに偏ることのない状態でと変容していく瞬間でもあろう。
この発表に先立ち、大内さんは、繰り返しの言葉が多い知的障がい者との対話にその変化に気付き、そこからほかの利用者の対話が変化したことを事例にしながら、その解釈を示し、関係性にも着目して整理。
司会兼まとめ役を担っていただいた松熊先生には、これらを情動調整という言葉を使って整理した。
それは「人々の行動や活動は探索的につくられるものであり、達成のメカニズムや形成のプロセスが同じとは限らない」とした上で、大内先生と私の事例を「共在感覚」としたときには、「心地よい 状態を 達成できたときに生まれる身体感覚」ではないかと投げ掛けている。
発表者3人でその後、話していくと3人の考える対話への感覚のずれや、そもそもの成立する前提となる視点の違いも浮き彫りになりまだまだ議論する必要性を感じている。
とはいえ、3人の共同研究は面白い展開になりそうだ。
私自身は障がい者の対話はもちろんであるが、対話するべき関係性における社会での機能不全の状態にも対応可能な議論へと鍛えられたらうれしい。
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