いま大地震が起きたらどうなる?コロナ対応が進まぬ避難所の実態

shutterstock_677488261
 

新型コロナウイルスの感染拡大に対し、政府・自治体のさまざまな対応が後手を踏み続ける日本。災害発生時の避難所の感染症対応についても、進んでいない自治体が多いことを1月4日の毎日新聞が伝えています。メルマガ『uttiiの電子版ウォッチ DELUXE』著者でジャーナリストの内田誠さんは、震災を経験した神戸市の対応と比べると格差がかなりあると指摘。昨年5月には国会で避難所を増やす必要性についてのやり取りがあったことを紹介し、それなりの時間が経過しても進んでいない実態を危惧しています。

避難所のコロナ対応の問題を新聞はどう伝えてきたか?

新年最初は、《毎日》から。どうしても、正月はデータを使った記事が多くなりますが、そうした記事の1つ。《毎日》は1面から2面の「検証」に続く記事で、避難所のコロナ対応の問題を取り上げています。コロナ下で、台風や地震など、別の災害が発生した場合に、感染防止対策のできる避難所がどれだけあるかという問題は、かなり重要な問題の1つ。

問題を提起してくれた《毎日》には申し訳ないですが、「コロナ対応」と「避難所」で《東京》の検索を使うと、10件にヒットしました。まずは《毎日》1面と2面の記事の見出しから。

(1面)
コロナ対応 避難所増えず
政令市・特別区 4分の3未達成

(2面)
避難所 コロナにもろく
公的施設頼み「限界」
広域避難 輸送に課題

1面記事はリード的な内容。アンケート調査の対象は全国の政令市と特別区、合わせて43自治体。その中で、新型コロナウイルス感染拡大後に避難所保管施設を追加できたのは、神戸、堺、新潟市など11自治体(全体の4分の1)に止まるという。増加施設数は総計で約430施設。「17自治体は施設追加を検討しているが拡大は頭打ちの状態で、特に東京と大阪で難しさが浮き彫りになった」とする。

2面はアンケート結果の詳細を含む。新型コロナの感染防止対策を採った場合、避難所での人と人との間隔を広げなければならないため、収容人数は大きく減らすことになる。災害の大きさにもよるが、大都市では定員オーバーの心配があるとする。コロナ禍前でさえ、大阪や浜松など4市と東京の足立区など8区の収容者数は「地震の最大想定避難者数」を下回っており、コロナ対応が必要になると避難所不足が深刻な問題になる可能性があると。

●uttiiの眼

11自治体が避難所補完施設を追加したというが、2面記事に付いている一覧を見ると、11自治体間の“格差”はかなり激しい。例えば千葉市は、物流施設を車中泊用に使わせてもらう協定を結んだという例のみ。東京都文京区もホテルを1か所押さえただけと寂しい。反対に、神戸市は地域福祉センター193カ所を押さえたようで、阪神淡路大震災の経験がこうした動きにつながっているのかもしれない。それでも、現段階での確保数で十分なのか、記事の中からは確認できなかった。

print
いま読まれてます

  • いま大地震が起きたらどうなる?コロナ対応が進まぬ避難所の実態
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け