旧統一教会と、解散命令が下された過去2つの宗教団体との違いは何か?

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政治家との深く長い関係が次々と明らかになり、改めて旧統一教会による霊感商法の被害や寄付の強要が問題視され、解散命令を下すべき対象ではないかとの議論がなされています。この問題に法律面と過去の事例から迫るのは、メルマガ『モリの新しい社会をデザインする ニュースレター(有料版)』の著者でジャーナリストの伊東森さん。文化庁宗務課長を務めた前川喜平元文科事務次官の解散命令の要件にあたるとする考えと、過去の2つの事例との違いから難しいとする現在の文化庁の担当者の言葉を引いて、まだまだ議論が続きそうなムードを伝えています。

旧統一教会に「解散命令」は出るのか?解散命令とは?過去にオウム真理教と明覚寺

旧統一教会の問題を巡り「宗教法人法」に基づく「解散命令」についての議論が、多方面でなされるようになってきた。日本テレビ系の「情報ライブ ミヤネ屋」の8月12回放送回では、全国霊感商法対策弁護士連絡会の紀藤正樹弁護士らが出演し、「解散命令」について議論。

番組では、これまでの教会の活動は、同法第81条が定める「著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為」および「宗教団体の目的を著しく逸脱した行為」をした可能性があり、解散命令を出せるのではないかとの問題提起がなされる。

一方、8月10日におこなわれた永岡桂子文部科学大臣の就任会見では、「旧統一教会の宗教法人格の剥奪もしくは解散命令を考えていないのか?」と記者から質問された大臣は、「憲法でも保障される信教の自由がある」としたうえで、「(宗教法人法は)宗教法人が自由で自主的な活動をする基礎を確保することを目的としており、宗教法人の規制や取り締まりを目的としていない」とし、さらに、「宗教法人法には手をつけず、何か社会的に問題が起こった団体に対して被害の救済をするのがよい」ともした。
旧統一教会に「解散命令」は出るのか…専門家は「弱みを握られている政治家は教会を生きながらえさせるのでは」と疑問視 | Smart FLASH(2022年8月14日)

宗教法人の解散命令とは

宗教法人の制度とは、宗教法人に法人格を与え、宗教団体が自主で自主的な活動を行うための財産や団体組織の管理の基礎を確保するための制度だ。
日本の宗務行政/解説 宗教法人制度の概要と宗務行政の現状 | 文化庁

他方、日本における宗教法人の認証は、宗教法人法にもとづく。ただ、いったん設立された宗教法人でも解散事由が生じると、解散させられる(宗教法人法43条)。解散すると、宗教法人はその本来の目的の遂行のための活動を終了し、既存の法律関係の整理と残余財産の処理のために手続き(清算手続)に入り、清算の終了をもって解散させられた宗教法人は消滅する。
西牧駒蔵「一宗教法人の解散命令について」

宗教団体が宗教法人になるためには、宗教法人法上の要件を満たした「宗教団体」でなければならず、また、宗教法人法の定めに沿った設立の手続を行う必要がある。ただ、「団体で宗教活動を行う際に法人格を取得するかどうかも自由です。当然,法人格を持たない団体(任意団体)のままでも、宗教活動を行うことができます。ただし,任意団体のままでは,法律上の権利義務の主体となれないため,不便に感じる場合もあり得ます」とも。
日本の宗務行政/解説 宗教法人制度の概要と宗務行政の現状 | 文化庁

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