「睡眠の質」ってなあに?質を高める方法はあるの?

2016.02.23
by Mocosuku
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最新の『生活時間調査』(NHK放送文化研究所、平成28年2月)によると、日本人の平均睡眠時間は、平日で7時間15分。

1995年以降、睡眠時間(平日)が短縮されてきた傾向が止まったようです。

24時間営業のお店、24時間テレビ、24時間サービスなど、大都会は今や「眠らない街」。

これを受けて、就寝時間が遅くなったり、睡眠時間が短くなったりする傾向が進んできました。

脳の疲労回復や肉体の損傷修復、成長ホルモンの分泌、さらに最近では記憶の整理・整頓など、健康にとって睡眠の重要性はますます高まっています。

睡眠時間の調整は睡眠「量」に関することですが、同時に「睡眠の質」を高めることも奨励されています。

睡眠障害

睡眠は健康や長寿にとって大切な生活習慣です。

しかし、日本人の5人に1人が不眠に悩み、3人に1人が睡眠障害を抱えていると言われています。

睡眠障害には「不眠」と「過眠」があります。どちらも睡眠の質は悪い例です。

4つの不眠タイプ

・入眠傷害:不眠の中で最も多く、寝つきが悪い、なかなか眠れないタイプ
・中途覚醒:夜中に何度も目が覚めて、すぐに寝付けないタイプ
・早朝覚醒:必要以上に早く目覚めて、それから眠れなくなるタイプ
・熟眠障害:眠りが浅く、熟睡できないタイプ

過眠

寝不足の「不眠」と反対に、寝すぎも「過眠」と呼ばれ、質の悪い睡眠に当たります。

高じて過眠症になると、夜眠っているのに日中に強い眠気が生じて、起きているのが困難になります。

かくれ不眠:寝不足と不眠症との中間状態

最近になって注目されてきた「かくれ不眠」もまた、睡眠の質が悪い状態です。

「かくれ不眠」とは慢性的な不眠ではなく、睡眠に悩みや不満を抱え、日常生活に影響があり、しかも、睡眠の重要性について認識が低い状態を指します。

特定非営利活動法人(NPO法人)日本ブレインヘルス協会に属する「睡眠改善委員会」による造語です。

かくれ不眠は単なる寝不足と不眠症との中間状態ともいえます。

「快眠」のメカニズム

入眠すると、まず眠りは深くなり、もっとも深い睡眠段階4までいくと、今度は徐々に睡眠が浅くなり、睡眠段階2まで戻ってきます。

これを「ノンレム睡眠」と呼びます。脳が眠っている「深い眠り」です。

そして次に「レム睡眠:REM(急速眼球運動)」と言って、脳は起きている浅い睡眠になります。

この一連のセットを「睡眠周期」と言い、1周期平均90分で、たとえば7時間睡眠する場合、一晩に約4~5回、この睡眠周期が繰り返されます。

朝、すっきり目覚め、昼間は必要以上に眠くならず、夜になると自然に眠くなって熟睡するという質の良い睡眠には、睡眠周期の充足が基盤となってきます。

そして、これに関与する「体内時計」、睡眠を促すホルモン「メラトニン」の作用、ひいては太陽の光を浴びたり、一定の時間に起き、朝食を食べるなどの「生活習慣」の果たす役割に、「睡眠の質向上のキーファクター」として最近では注目が集まっています。

厚生労働省健康局「国民健康・栄養調査報告」によると、平成24年に20歳以上で睡眠に不満を持つ人の割合は14.9%でした。

睡眠による休養が「あまりとれていない」または「まったくとれていない」と、睡眠に何らかの不満や問題を感じている人の割合です。

特に40歳台では約5人に1人が睡眠に不満を持っていました。忙しい勤労世代の睡眠の質がよくないことが伺えます。

睡眠の質を良くするには、「眠り方」ももちろん大事ですが、働き方や生活の仕方、ひいては生き方も併せて考える必要があるといえるでしょう。

執筆者:井上 愛子(看護師)
監修医:坂本 忍

 

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記事提供:Mocosuku

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