スマホの最悪な「4年縛り」、元を辿れば総務省の誤った指導のせい

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スマホを4年間の分割で販売する「4年縛り」が独占禁止法上、問題ないかについて4月13日、公正取引委員会が調査を始めました。「4年縛り」は、端末を購入した2年後に機種変更をしても、端末を返して同じプランを使い続ければ1台目のスマホ代金の残高が無料になる仕組み。これが顧客を囲い込み新規参入を阻む要因だと公取委が動きましたが、ケータイ/スマートフォンジャーナリストの石川温さんは、自身のメルマガ『石川温の「スマホ業界新聞」』で、そもそも4年縛り誕生の元凶は総務省の「規制」にあると指摘しています。

公正取引委員会で「携帯電話分野の意見交換会」スタート━━そもそも「4年縛り」の元凶は総務省ではないのか

4月13日、公正取引委員会にて「携帯電話分野に関する意見交換会」の第1回会合が開催された。原則、公開で行われる会合だが、第1回に限っては「非公開」。実際に公正取引委員会に取材に行ったが、冒頭にメディア向けの撮影があっただけで開始から3分ほどで退出を迫られてしまった。

今回の意見交換会では2016年8月に発表されたレポートから、市場ではどういった変化があったのかなど、新たな課題について話し合われるという。

撮影時には具体的な課題などの言及はなかったが、一般紙などはこぞって「4年縛りが議論の的になる」としている。

おそらく、総務省の検討会で「抜け穴がある」と指摘された販売奨励金や新しい料金プランや販売方法についても、議論された可能性が高い。また、この意見交換会では、総務省がオブザーバーとして参加しており、総務省としては手が出しづらい規制命令などを、公正取引委員会から出してもらうといったことも予想される。

今回、「4年縛り」が標的になろうとしているようだが、そもそも「4年縛りが誕生したのは、総務省による販売奨励金の規制が原因ではないのか。端末をユーザーが気軽に購入できるようにするには販売奨励金が最適な方法だ。しかし、それが規制されるのであれば、分割の期間を延ばして、1か月あたりの支払額を下げるしかない。

つまり、総務省販売方法に茶々を入れたからこそ誕生した「4年縛り」であるにも関わらず、それを総務省が公正取引委員会を使って規制しようというのは、あまりに野暮ではないか。

総務省が販売奨励金の規制に乗り出したときから、「そんなことをしたら、キャリアは割賦の期間を延ばすに決まっている。結果、ユーザーを囲い込むことにつながる」という指摘はあった。総務省は、先のことが全く読めずに、小手先だけで規制をしてくるから、結局、後手後手に回って、穴を埋めるだけの規制になってしまうのではないか。

携帯電話分野に関する意見交換会の参加メンバーも、携帯電話業界に詳しいとは思えない教授の先生ばかりで、議論の行方がかなり不安視される。

アメリカで、Facebookのマーク・ザッカーバーグが公聴会に呼ばれ、議員から質問攻めにあっていたが、議員がFacebookのことを知らず、トンチンカンな議論が多かったことが思い出された。

総務省公正取引委員会も、日本の通信業界に口出ししようと必死のようだが、もう少し、先の読める人たちを集めて、説得力のある議論を進めてはもらえないだろうか。

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