1日4時間労働に変えたら2年でボロ儲け、ドイツ式働き方改革

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5月1日のメーデーでは各地で「長時間労働の撲滅」が訴えられましたが、ドイツには「週28時間労働制」を取り入れ順調に収益を伸ばしている企業があることをご存知でしょうか。今回のメルマガ『デキる男は尻がイイ-河合薫の『社会の窓』』では、著者で健康社会学者の河合薫さんがその企業の「労働時間削減への取り組みの歴史」を紹介、根底には「人間の力を信じた経営」へと舵を切ったトップの覚悟があるとした上で、ドイツと同じく高齢化と人手不足に悩みながらも、「人を信頼できない経営」が働く人たちを苦しめている我が国の現状を憂いています。

※本記事は有料メルマガ『デキる男は尻がイイ-河合薫の『社会の窓』』2018年5月2日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:河合薫(かわい・かおる)
健康社会学者(Ph.D.,保健学)、気象予報士。東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(Ph.D)。ANA国際線CAを経たのち、気象予報士として「ニュースステーション」などに出演。2007年に博士号(Ph.D)取得後は、産業ストレスを専門に調査研究を進めている。主な著書に、同メルマガの連載を元にした『他人をバカにしたがる男たち』(日経プレミアムシリーズ)など多数。

人手不足だからこそ「休もう!」。夢の週28時間労働

1日いつでも4時間だけ働けばいい――。こんな夢のような労働条件で、生産性を上げている企業があります。「ebm パプスト社」。従業員1万4,000人が働く、ドイツ南部の工業用通気システムを製造する世界的企業です。

今から4年前のこと。人手不足に悩んでいたパプスト社は、「働き方を変えよう。会社にいる文化から、結果の文化に変えよう。若い世代を呼び込むにはもっと自由が必要だ」と一念発起。手始めとしてシフト制を廃止し、「最低4時間出社してればオッケー!」と従業員に自由を与えたのです。

8時間労働は厳守ですが、いつ働くかは自由・残業した場合は「時間口座」に貯められるようにしました。「時間口座」とは、フランスなどで取り入れられている制度で、働く人たちは口座から残業時間をおろし有給休暇として使うことが可能です。

しかし、文化を変えるのは、容易ではありませんでした。上司がいるのに「帰れない」と社員はトップに直訴。みんなが会社で働いているのに家でやっていては「サボっている」と思われると不安がる人もいました。

それでもトップは「結果さえ出せばいいんだ。みんなで文化を変えよう!」と社員に言い続けた。「キミたちと一緒に会社を変えたいんだ。魅力的な会社にしよう!」とメッセージを送り続けました。

トップの熱意を「自分たちのことを信じてくれている」と受け止めた社員たちは、「よし! 会社を魅力的にするぞ!」と自分のペースで、自分がもっとも結果を出せる方法を考え、だんだんと自由な働き方は浸透していきます。

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