ビットコインは乱高下を繰り返しているが、今後はどう展開するのだろうか。昨年末からの急騰の背景にはもちろんイーロン・マスクや大手投資銀行とファンドの大量購入が影響しているが、それは主要な背景ではない。高騰の原因となっているのは、新型コロナウイルスのパンデミックである。(『ヤスの第四次産業革命とブロックチェーン』高島康司)
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12年で6,000万倍の上昇
いまビットコインが乱高下を繰り返している。当メルマガの読者からのメールでも、ビットコインの情報を知りたいとの希望も多かった。たしかに、今後の展開は気になるところだ。
いまビットコインを中心にした仮想通貨の上昇が止らなくなっている。仮想通貨全般が上昇しているが、それをけん引しているのは間違いなくビットコインだ。
わずか3カ月前の昨年の11月には140万円前後であったビットコインの相場は、2月22日には600万円を越えてしまった。史上最高値だ(※編注:原稿執筆時点2月22日。その後、同日夕方から急落し、23日夜には480万円まで下落。24日現在は530万円近辺で推移しています)。
ビットコインが始まった2009年には0.1円だったので、12年で6,000万倍の上昇だ。いったいなにが起こっているのか、驚いている読者も多いのではないだろうか。
イーロン・マスクの「買い」が上昇の主因ではない
ところで、ビットコイン急騰の背景だが、それははっきりしているようだ。
もちろん、「テスラ」や「スペースX」を創業したイーロン・マスクや、大手投資銀行の「JPモーガン」、そして大手投資ファンドの「ブラックロック」などの金融機関が資産の分散先としてビットコインを大量に購入したことがひとつに理由であるには違いない。
しかし、それは主要な背景ではない。
高騰の原因は、新型コロナのパンデミック
高騰の原因となっているのは、新型コロナウイルスのパンデミックである。
ビットコインの上昇トレンドは、新型コロナウイルスのパンデミックが始まった昨年の12月ころに始まっている。そして、パンデミックの拡大とともに上昇は加速していった。これは、パンデミックによる深刻な不景気と相場暴落を恐れた投資家が、資産の分散先として、ゴールドとともにビットコインを選んだことによる。
しかし、各国の巨額の景気刺激策による市場への資金注入により、行き場を失った資金が株式市場に集中して相場が急上昇しても、ビットコインの高騰は止ることはなかった。
この高騰は、株式相場の暴落を恐れた投資家が、資産の分散先としてビットコインを選らんだからではない。別な理由が背景になっている。
Next: パンデミックが終了すると、相場は下落する?
景気刺激策によるインフレ懸念
では、600万円台という途方もない水準に高騰した理由はなんだろうか?
さまざまな要因が考えられるだろうが、そのもっとも大きい理由は、各国の景気刺激策によるインフレ懸念である。
これからアメリカのバイデン政権は、日本の国家予算の2倍の200兆円に上る景気刺激策を発動しつつある。すでにトランプ政権のときに300兆円を越える刺激策を実施しているが、今回のものはこれに続く規模だ。こうした巨額の景気刺激策は、アメリカのみならず日本や欧州などすべての先進国が率先して実施している。
この政策が背景となり、株式相場が急騰しているわけだが、他方では通貨供給量が巨大化しているので、インフレ懸念が深刻になっている。近い将来、通貨価値が大幅に下落するのではないかという懸念だ。
資産を預金で保有すると、確実に目減りする。これはアメリカのみならず各国でささやかれている懸念だ。こうしたインフレ懸念が主な要因となり、資産価値を保全する目的でビットコインが買われているのだ。
パンデミックが終了すると、相場は下落?
しかしこれは、ビットコインの相場が将来下落する懸念も示唆している。
いまワクチン接種の拡大とともに、世界各国では感染者数が減少している。この傾向は今後も続き、パンデミックの終息とともに、各国で経済活動が全面的に再開される時期もやってくるに違いない。すると景気も回復し、これまで実施されてきた景気刺激策も終了することだろう。
それとともに、いまの中央銀行や金融機関による実質的なゼロ金利政策からの脱却も図られ、金利が上昇することだろう。
このような状況になると、かつてのようなインフレ懸念は大幅に緩和される。すると、それとともにビットコインの高騰も落ち着くのではないかという予測が成り立つ。
また、相場の下落を恐れたビットコインの売りが進み、一時的にせよ暴落する懸念も出てくるはずだ。
Next: ビットコイン相場「逆回転」はいつ訪れる?
反転の時期はいつか?
では、そうした相場の反転があるとしたら、それはいつになるのだろうか?
これに関しては、海外のメディアを中心にかなりの数の記事を筆者は読んでみた。すると、ワクチン接種の拡大によって新型コロナウイルスのパンデミックの拡大は止まったとしても、経済活動が全面的に再開されるまでには、2021年いっぱいはかかるという見方が一般的だった。
そして、現在の景気刺激策が終了し、金利が上昇してインフレ懸念がなくなるのは、2022年に入ってからとする見通しが多かった。
もちろん、この予測が当たるかどうかは分からない。各国の金融当局によるビットコインの厳しい規制が導入され、もっと早い時期に暴落するのかもしれない。
いずれにせよ、パンデミックを背景にしたインフレ懸念の成り行きというのは、今後のビットコインの相場を見るうえでの参考にはなるはずだ。
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『ヤスの第四次産業革命とブロックチェーン』2021年2月24日号より一部抜粋
※記事タイトル・リード文・本文見出しはMONEY VOICE編集部による
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昨年から今年にかけて仮想通貨の高騰に私たちは熱狂しました。しかしいま、各国の規制の強化が背景となり、仮想通貨の相場は下落しています。仮想通貨の将来性に否定的な意見が多くなっています。しかしいま、ブロックチェーンのテクノロジーを基礎にした第四次産業革命が起こりつつあります。こうした支店から仮想通貨を見ると、これから有望なコインが見えてきます。毎月、ブロックチェーンが適用される分野を毎回紹介します。