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日本が目を背ける原発処理水放出の「成績表」親日台湾ほか15カ国が輸入禁止、現実逃避の代償高く=浜田和幸

政府は福島第一原発の処理水を海洋放出することを決定した。しかし、現在でも福島沖で採れた魚からはセシウムが検出されている。世界15カ国が今だに近海でとれた水産物の輸入禁止を続ける中で、この対応は正しいのだろうか。(浜田かずゆきの『ぶっちゃけ話はここだけで』浜田和幸)

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プロフィール:浜田和幸(はまだ かずゆき)
国際政治経済学者。前参議院議員。米ジョージ・ワシントン大学政治学博士。『ヘッジファンド』『未来ビジネスを読む』等のベストセラー作家。総務大臣政務官、外務大臣政務官、2020年東京オリンピック・パラリンピック招致委員会委員、米戦略国際問題研究所主任研究員、米議会調査局コンサルタントを歴任。日本では数少ないフューチャリスト(未来予測家)としても知られる。

原発処理水、ついに東京ドーム1個分の125万トンに

ぶっちゃけ、福島の原発事故から10年経つが、第一原子力発電所の敷地内に溜まっている「処理水」は東京ドーム1個分の容積に相当する125万トンに達した。

現在も1日平均140トン増えており、2022年には1,000個のタンクは限界となる。

そこで東京オリンピックを100日後に控え、政府が出した結論は「希釈して海に流す」というもの。

これまで処理水は特殊な装置(ALPS)を使って浄化を重ね、トリチウム(三重水素)を除く大半の放射性物質はすでに除去されたとのこと。

しかし、トリチウムは水と一体化する性質のため、取り除くことは難しい。

そこで、菅首相曰く「放出する前に海水で100~1,700倍に希釈し、国や世界保健機関(WHO)が認める飲料水基準の7分の1まで薄めることで安全性を確保する」。

果たして、これで海の環境は守られるのだろうか。

世界15の国が今でも「輸入禁止」にしている

漁業関係者で作る全国漁業協同組合連合会の岸会長は「極めて遺憾で、到底容認できない。強く抗議する」と猛反発。

福島原発事故以来、風評被害に苦しめられてきた漁業関係者とすれば、「事前に了解がなければ、海洋放出は行わない」と政府や東京電力と約束していたが、その約束を反故にされたわけだ。

実は、今でも世界15の国は、福島など原発事故現場に近い海域からの海産物の輸入を禁止している。

15か国にはインドネシア、シンガポール、ノルウェー、ロシアやアメリカなど比較的緩やかな条件で禁止している国もあれば、韓国、中国、台湾、香港、マカオのように厳しい条件を課している国もある。

Next: 福島沖の魚からは今もセシウムが検出されている



福島沖の魚から今もセシウムが検出されている

というのも、福島県沖で獲れた魚からは、今年2月の時点でも安全基準を超える放射性物質のセシウムが検出されているからだ。

さらには、2012年にスタンフォード大学とニューヨーク州立大学が行った調査によれば、アメリカの西海岸サンディエゴの沖合で獲れたマグロからもセシウムが検出され、このマグロは福島沖から太平洋を横断してきたことが追跡調査でも判明している。

要は、地下水や雨水によって希釈されたと思われる放射性物質であっても、魚介類には影響が及んでいるというわけだ。

トリチウムは猛毒なのか?

日本政府は「トリチウムは各国の原発からも放出されており、危険性は少ない」との立場で、「このままタンクに貯めておく方が、地震等の災害が発生すれば、より危険度が増す」ということのようだ。

とはいえ、ノーベル賞を受賞した小柴教授ですら「トリチウムは猛毒」と断定していた。

ぶっちゃけ、コロナ騒動の陰で注目度は低いが、原発事故問題は根が深いことを忘れるわけにはいかないだろう。

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    image by:Boule / Shutterstock.com

    浜田かずゆきの『ぶっちゃけ話はここだけで』』(2021年4月16日号)より一部抜粋
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