ウクライナの大統領選挙は国民の不満爆発の場となった。コメディ俳優のゼレンスキー氏が、現職のポロシェンコ大統領に圧倒的な差をつけて勝利したからだ。(浜田かずゆきの『ぶっちゃけ話はここだけで』浜田和幸)
※本記事は有料メルマガ『浜田かずゆきの『ぶっちゃけ話はここだけで』』2019年4月26日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にご購読をどうぞ。当月配信済みのバックナンバーもすぐ読めます。
国際政治経済学者。前参議院議員。米ジョージ・ワシントン大学政治学博士。『ヘッジファンド』『未来ビジネスを読む』等のベストセラー作家。総務大臣政務官、外務大臣政務官、2020年東京オリンピック・パラリンピック招致委員会委員、米戦略国際問題研究所主任研究員、米議会調査局コンサルタントを歴任。日本では数少ないフューチャリスト(未来予測家)としても知られる。
人気ドラマで大統領役を演じた俳優が現実に!影で演出したのは…
ウクライナ国民の不満が爆発
ぶっちゃけ、ウクライナの大統領選挙は国民の不満爆発の場となった。
というのは、「ゼー」の愛称で知られるコメディ俳優のゼレンスキー氏(41歳)が、再選を目指す現職のポロシェンコ大統領(53歳)に圧倒的な差をつけて勝利したからだ。
ゼーが選挙中、訴えたのは「人々に笑顔を!皆で幸せを掴もう!汚職にグッバイ!」というコメディアンならではの公約。
5年前に当選したポロシェンコ大統領はチョコレート会社を経営する大金持ち。その経営手腕が国家財政の立て直しに発揮されることが期待されたが、まったくの期待外れであった。
なぜなら、彼自身は親しい経済人を優遇し、美味しい汁をたっぷり吸ったわけだが、国内経済は疲弊する一方となったからだ。
しかも、特権階級が国家財産を食い物にし、不動産や有望企業は中国資本に買収され、至るところに汚職がまん延することに。
そのため、数百万人のウクライナ人が職を求めて国外に脱出してしまった。
その上、ウクライナ東部のクリミアを武力で併合したロシアとの戦争は出口が見えず、戦死者は既に2万人近くに達し、国民の間では政治不信と不満が限界に達していた。
ドラマで大統領を演じたコメディアン
そんな折、人気テレビドラマ『国民への奉仕者』で既存の政治家に嫌気がさし、議会に乗り込み、悪徳政治家や彼らを裏で牛耳る利権集団を叩きのめす学校の熱血教師役を演じたのがゼレンスキー氏であった。
視聴者はその都度喝采をあげ、ドラマの中では彼はとうとう大統領に選出され、次々に改革を進める役柄で国民の人気を博した。
多くの国民はこのテレビドラマに酔いしれ、厳しい現実社会への不満のはけ口にしていたようだ。