欧州各国では「政治家不要論」が台頭している。アンケートによると、4人に1人が「国家にとって重要な決定は人工知能に任せるべき」と考えているようだ。(浜田かずゆきの『ぶっちゃけ話はここだけで』浜田和幸)
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国際政治経済学者。前参議院議員。米ジョージ・ワシントン大学政治学博士。『ヘッジファンド』『未来ビジネスを読む』等のベストセラー作家。総務大臣政務官、外務大臣政務官、2020年東京オリンピック・パラリンピック招致委員会委員、米戦略国際問題研究所主任研究員、米議会調査局コンサルタントを歴任。日本では数少ないフューチャリスト(未来予測家)としても知られる。
スペインで「近い将来なくなる職業」首位は政治家。日本も不要?
もう政治家はいらない
ぶっちゃけ、欧州各国では「政治家不要論」が台頭している。
最近、スペインの大学が実施した欧州8カ国の国民を対象にした世論調査の結果を見ると、政治家という職業が「絶滅の危機」に瀕していることがよくわかる。
平均すると、4人に1人が「国家にとって重要な決定は人工知能に任せるべきだ。少なくとも人間の政治家よりはマシだ」と考えている。
この傾向はイギリスとドイツでは特に顕著で、3人に1人がそう思っているのである。
人間の政治家は役立たず?
英国ではEUからの離脱の是非を巡り、一向に方針が決まらない。このままでは日本企業も含め、英国から脱出する企業が増える一方だ。まさに、英国経済は破たん寸前といえる。
また、ドイツでもメルケル首相は自ら所属する政党の代表を退いたにもかかわらず、首相の座に居座っている。というのも、ドイツ銀行が計上した7,000兆円もの損失をいかに救済するか、という国家存亡の危機に直面しながら、誰も責任を取りたがらないからだ。
こうした国家的危機をもたらした責任はどこにあるのだろうか。
「大局観を持たず、自己保身に走る政治家に責任がある」と多くの国民が考えている。その結果、欧州の大半の国民は「人工知能(AI)に任せた方が安心できる」と思い始めているようだ。
ノルウェーで「AI政治」がスタートしている
欧州の中でもデジタル化が最も進んでいるノルウェーでは、AIを活用した新たな試みがスタートし、世界の注目を集めている。
何かというと、「国家がとるべき政策の選択肢の評価をAIに任せる」という試みである。
具体的にはシリア難民の受け入れ拡大の是非を問うケース。ノルウェーではシリア難民を人道的観点から受け入れているが、地元住民との摩擦が深刻化している。そこで、「今後も難民を受け入れるべきか否か」が大きな政治課題となってきた。
しかし、政治家には決断が難しいため、受け入れを継続した場合と中断した場合の政治・経済的・社会的なプラスとマイナスをAIの力で客観的に評価し、国家にとっても公正な判断をさせようというわけだ。
ノルウェーでは、各都市の細かな住環境や住民意識のデータが蓄積されている。
そのため、難民の受け入れに好意的な地域がどこか、どの程度までなら受け入れが可能かどうか、といった判断をAIの力で明らかにできるという。
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