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損保ジャパン4000人削減で最悪の労働搾取モデルが完成。業務自動化で年収250万減へ=今市太郎

損保ジャパンは従業員4,000人を削減し、買収したワタミの介護人材に回すことを発表。平均年収を250万円も下げる新たな労働搾取の方法を確立したと言えます。(『今市太郎の戦略的FX投資』今市太郎)

※本記事は有料メルマガ『今市太郎の戦略的FX投資』2019年7月2日号の抜粋です。興味を持たれた方は、ぜひこの機会にバックナンバー含め初月分無料のお試し購読をどうぞ。

配置転換で年収250万ダウン、日本型の労働搾取モデルが完成へ…

業務効率化で浮いた4,000人を介護人材へ

6月末、損保ジャパンがIT活用などにより、2万6,000人いる全従業員のほぼ15%にあたる4,000人を削減し、買収で手に入れたワタミの介護の人材に回すことが発表されました。

個人的なことで恐縮ですが、数年前国内のRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション:デスクワークの効率化・自動化の取り組み)が導入されるときに、そのプレゼンテーションキットをとあるベンダーさんから業務委託されて手伝ったことから、このRPAの導入が国内企業にどのような影響をもたらすことになるのか、非常に興味をもって見てきました。

そして「とうとうその日がやってきたのか」という思いでこの報道を見ていたわけです。

もちろん今回の4,000人の削減が、RPAの導入によるものだけなのかどうかはまったくわかりません。とはいえ、この規模の配置転換が起きるとすれば、RPAと呼ばれるロボティクス・ソフトウェアの導入が絡んでいるのはほぼ間違いないのではないかと思う次第です。

このRPA導入当初から国内外のコンサルティングファームは、RPAの導入が従業員の首切りにはつながらないということを強調してきました。確かに今回の損保ジャパンの発表内容は首切りや早期退職こそ出していないものの、新しい形の労働搾取の方法を確立したともいえる内容で、正直、愕然とする状況です。

平均年収「250万円引き下げ」の衝撃

損保ジャパン日本興亜は、もともと安田火災と日産火災が合併してできた損保ジャパンと、日本火災と興亜火災が合併してできた日本興亜損保が、さらにホールディングカンパニーの元で統合された会社。言い方は悪いかもしれませんが業界内では超一流とは言わないまでも、給与水準はそれなりに高いほうの会社であるといえます。

外部の転職ファームのデータによれば、平均年収は30代でほぼ600万円前後40代ならば700万円に手が届く程度ということで、月給は安いがボーナスの支給で業界平均並みを実現している状況であることがうかがえます。

しかし、今回の4,000人削減では平均してひとりあたり250万円の年収ダウンを見込んでおり、雇用は補償するかわりに否応なく賃下げを実現することで、それだけで100億円のコストダウンを実現すると言います。

通常は希望退職を募ることになるため、平均して1,000万円程度の退職金の上乗せがあるわけですから、4,000人削減とすれば一時的に400億円の現金資金を必要とします。

ところが雇用確保を全面に押し出すことにより、希望退職は一切募集せずこちらのコストも削減することに成功してしまったことになるわけです。

とはいえ、4,000人の無理やり配置転換は免れないわけですから、「嫌ならやめろ」ということを暗に示唆した政策であることは間違いなさそうです。

東芝あたりでは不必要人材を特別な部屋に集めて辞めるのを待つという地獄の間引きを実施中との報道もありますが、それに比べれば表面上は恩情の措置に見えるのかもしれません。

損保業界のホワイトカラーが明日から老人ホームの職員となって運営にあたれと言われて、本当にスムーズにジョブトランスフォーメーションができるのかという疑問も残ります。

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