キャッシュレスは「クレジットカード」「電子マネー」それに「コード決済」という3つのプレイヤーで進んでいます。このうちクレジットカードは、インフラの土台を支えるキープレイヤーという認識で一致しています。
では、電子マネーとコード決済はどうなのか。ライバルになるのか、補完しあえるパートナーなのか。いったいどちらなのでしょうか?(『達人岩田昭男のクレジットカード駆け込み道場』岩田昭男)
※本記事は『達人岩田昭男のクレジットカード駆け込み道場』2019年6月15日号の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。
消費生活評論家。1952年生まれ。早稲田大学卒業。月刊誌記者などを経て独立。クレジットカード研究歴30年。電子マネー、デビットカード、共通ポイントなどにも詳しい。著書に「Suica一人勝ちの秘密」「信用力格差社会」「O2Oの衝撃」など。
コード決済は電子マネーの敵じゃない?Suica中心に提携合戦勃発
楽天ペイで「Suicaチャージ」が可能に
今回の楽天とJR東日本(Suica)の提携は「楽天の一人勝ち」の気配が濃厚である。
楽天はここにきて強気だ。楽天スーパーポイントを拡散する戦略が次々と当たって、コード決済、共通ポイント市場を席巻する勢いだ。
楽天ペイメントとJR東日本(東日本旅客鉄道)が6月5日、キャッシュレス化の推進に向けた連携を発表。2020年春(予定)に、「楽天ペイ」アプリ内で「Suica」の発行やチャージが可能になる。チャージした電子マネーは全国の交通機関(鉄道約5000駅やバス約5万台)と、約60万の加盟店で利用できる。<中略>
機能面での特徴として、楽天ペイアプリからSuicaにチャージをすると、楽天スーパーポイントがためられる。
出典:「楽天ペイ」アプリからSuicaの発行、チャージが可能に 楽天とJR東日本の狙いは? – ITmedia Mobile(2019年6月5日配信)
一方、SuicaのJR東日本は共通ポイントに乗り遅れまいと、グループ統一ポイントの「JREポイント」を作ったが、これの評判がイマイチである。
ビューカードのサンクスポイントからの移行はともかく、肝心のSuicaポイントからJREポイントへの移行が思うように進まず、話題もめっきり減っている。
そのためJR東日本はポイントサービスの補強を急いでおり、検討の末、ポイントプログラムに強い楽天ペイメント株式会社の手を借りることになったのだ。
楽天にとっては大きなチャンス!
楽天とSuicaは加盟店開拓の営業で協力関係にあり、話は進めやすかったと聞いている。
提携の内容は、来春をめどに、楽天ペイでSuicaにチャージできるようになるとともに、チャージのたびに楽天スーパーポイントが貯まるというものだ。その他のことはまだはっきり決まっていない。来春まで1年かけて詰めていくというのである。
それにしても、楽天にとっては今回の提携は大きなブレイクスルーになるだろう。
楽天はこれまで楽天経済圏を作り、ウェブ中心の展開をしてきた。しかし、それでは限界があるとして、 共通ポイントとコード決済を使ってリアル分野への進出を試みようとしている。これはいわゆるO2O(オンライントゥーオフライン)戦略だ。