東京と大阪で開設されている新型コロナウイルスワクチンの大規模接種センターが、対象年齢を64歳以下に拡大し、16日から予約の受付を始めたと報じられている。
先週頃より、そのガラガラぶりが取沙汰されていた大規模接種センター。センターの運営にあたる防衛省は、1日当たりで東京会場は1万人、大阪会場は5,000人という接種能力を最大限生かすために、これまでは高齢者限定だった接種対象者を18歳以上に広げたようだ。
防衛省によると、予約に空きがある場合は、接種前日まで受付けているというが、予約には接種券が必要だという。
「なぜ、はしご外す」各自治体からは不満の嵐
早期のワクチン接種を待ち望んでいる中年世代以下の方にとっては、朗報ともいえるこのニュース。とはいえ大規模センターでの接種でも、各自治体から送られる「接種券」は原則的に必要で、ネット上では「でも、接種券が無いから受けれない…」という声が多くあがっている。
15日にあった報道では、現状64歳以下に接種券を送付済みなのは、東京都中野区など一部の地域にとどまり、大半の発送は6月中下旬以降になるとのこと。また、人口の多い自治体だと、64歳以下に送付といっても一斉に送る形ではないようで、例えば横浜市のサイトを見ると、6月中に送付されるのは「60~64歳」「50~59歳」という年齢層まで。他の年代はそれ以降に段階的に送られる予定で、最も若い年代の「12~19歳」への送付は7月下旬となるとのことである。
このような64歳以下への接種券の段階的送付は、5月下旬に厚労省が各自治体に「高齢者以外も6月中旬から発送を」と要請した際に、自治体の裁量で「年齢順」「氏名の50音順」など、地域の実情に合わせた段階的送付を推奨したことに端を発しているようだ。初期の高齢者接種において予約が殺到した件を鑑みてのことと推測されるが、その後大規模接種センターはすぐにガラガラな状態に。政府はその状況に慌てて接種対象年齢を引き下げたものの、その状況変化に自治体によっては対応しきれないところも出てきているというのが、このチグハグな状態を生んでいる原因のようだ。
このところSNS上には、各自治体でワクチン接種に関する業務を担当している職員のものと思われる裏アカウントをよく見かけるが、今回の「接種対象年齢の引き下げ」に関し、それらのアカウントからは「なぜ、はしご外す」「もうドン引き」などと不満の嵐で、政府の朝令暮改ぶりに相当憤っているようである。
もうドン引きです。今全ての人に接種券を送ったら基礎疾患のある人や高齢者施設従事者の優位性はなくなってしまいます。国が定めた優先順位があるからこそ接種券を全員に送りたくても送れないのです。自治体に苦情が殺到することを承知の上でこの所業とは何を考えているのかわかりません。 https://t.co/rfiABTuDYJ
— 某市役所コロナワクチン担当職員 (@X4uK8OWKugMvpVO) June 15, 2021
ワクチンの供給量が見込めなくてスタートが狂い、ここにきて、また供給量が6掛け。そのうえ、接種券保持者に限定した急な64以下の大規模接種受付。なぜ、はしご外すんですか。自治体をバックアップするんじゃないんですか。
— ワクチン担当のぼやき (@mL1LfrGfeYWI8jn) June 15, 2021
昨年の「特別給付金」の際も、住んでいる市町村によって給付されるタイミングに大きな差が出て、各自治体による「処理能力の差」を指摘する声が多くあがった。現在取沙汰されている接種券の送付についても同様の指摘がみられるが、今回の件に関しては政府の計画性の無さに寄るところが相当に大きいようだ。
接種率向上を妨げる若者の「ワクチン忌避」
このように各自治体からのブーイングも意に介さず、接種率アップにただただ躍起になっている感のある政府だが、今後全世代への接種を進めるにあたって、新たな妨げとなりそうな要素もここに来て指摘されている。それは「ワクチンを受けたくない」若者層の存在である。
ニッセイ基礎研究所が今年3月に実施した調査によると、コロナワクチンの接種に関して24.1%が「すぐにでも実施したい」と考えているのに対し、約半数の51.2%が「しばらく様子を見てから接種したい」との意向、さらに15.9%が「あまり接種したくない」、7.5%が「絶対に接種したくない」と、世代を問わず“すぐにワクチンを打つ気はない”という人は結構多い模様である。その理由としては、副反応の恐れなどの「安全性への不安」がまず挙がるが、特に若者の間では「面倒だから」という理由も結構多いようだ。
さらにその“副作用”に関しても、若者層のほうがリスクが高いという話もチラホラと出てきている。先日もアメリカの疾病予防管理センターが、16~24歳の層で2回目のワクチン接種後に心臓に炎症を起こすケースが想定より多いというデータを発表。この現象はファイザー、モデルナの両ワクチンにおいて共通して見られるとのことである。
そもそもコロナによる死亡率は高齢者と比べて若者は低いということで、そうなれば数々指摘されているようなワクチンによる副作用のほうがよっぽど怖いと考える人が、今後若者層を中心に増えてもおかしくない。ワクチン接種自体を根本から否定するまではいかなくとも、しばらくの間は様子見を決め込もうとする人は増えそうな情勢だ。
今後控える衆院選では、菅政権によるコロナ対策の成否が大いに取沙汰されそうで、その際に“ワクチン接種率”が重要な判断材料となるのは間違いない。それだけに若者の“ワクチン忌避”の風潮は、政権にとって大きな悩みの種となりそうだ。
Next: 「接種率でそこそこの数字を作ってオリパラで世間を盛り上げとけば…」
ツイッターの反応
やっぱり発熱を始めとする重い症状が出たと。
身体の疲れがそのまま副反応として出てきてしまうから、ワクチンを打つ前の日からなるべく身体は酷使しないで元気な状態で打ちなよ、とまだ接種券すら届いてないけど言われたよ。— 羊 (@twstharu) June 16, 2021
64歳以下の方が市町村からコロナワクチン接種券発行してもらったというツイートが流れて来たので、私も市の窓口にダメもとで電話して大規模接種会場で受けたいと伝えたら、電話口で接種券番号を教えてくれた!接種券は郵送か窓口受け取りと言われたよ。私は明日窓口行ってくる!ありがとうTwitter!
— はのみ (@harunorimizu5) June 16, 2021
特別定額給付金の時しかり、これほど住んでいる自治体の事務効率や施策が住民生活に影響を与える機会って少ないのでは / “64歳以下 接種券が壁: 日本経済新聞” https://t.co/QjWfYaFTbu
— Masanori Kusunoki / 楠 正憲 (@masanork) June 15, 2021
「日本はワクチンがないわけでも、人々が打ちたくないと言ってる訳でもないのに、大規模接種はガラガラ」「えっ、紙の接種券が必要?なんじゃそら」
日本は事実上郵便が本人確認の手段として機能。韓国は住民登録(外国人登録)番号で一発照合。だから、そもそも土俵が違う。https://t.co/pP1mFfaJPq
— 吉方べき (@tabisaki) June 15, 2021
まぁ予想できていないでしょ❓
だから現時点で『絶対大丈夫だ!』とか『若者もづべこべ言わず打て!』なんて断言しない方がいいんですよ。
『長期副作用は分からない不安はありますが、その不安よりもコロナの不安が勝る場合は接種しましょうね』くらいの説明が無難だと思います。— Dr【内科医】 (@Drfm11) June 16, 2021
とにかく接種率でそこそこの数字を作ってオリパラで世間を盛り上げとけば、内閣支持率が回復して9月に衆議院の解散総選挙へ持ち込めると思ってるらしいですよ。菅政権と自民は。
— 正義のミタカ (@seigi_nomitaka) June 16, 2021
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Image by:防衛省・自衛隊ホームページ