生活苦にあえぐ元AV女優のシンママから、「もう風俗で働くしかないのでしょうか?」との相談を受けました。私は「ノー」と答えます。夜の仕事をせずとも這い上がる方法はあります。(『午堂登紀雄のフリー・キャピタリスト入門』午堂登紀雄)
※有料メルマガ『午堂登紀雄のフリー・キャピタリスト入門』好評配信中!興味を持たれた方は、ぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。
プロフィール:午堂登紀雄(ごどう ときお)
米国公認会計士(CPA)。1971年生まれ、岡山県出身。中央大学経済学部 国際経済学科卒。株式会社エディビジョン代表取締役。一般社団法人 事業創造支援機構代表理事。
「風俗で働くべき?」元AV女優シンママの切実な悩み
知る人ぞ知るAV女優として20代を過ごし、現在はシングルマザーとして小学2年生の娘と2人で暮らしているという30代後半の女性についてアドバイスを求められる機会がありました。彼女は元夫から養育費はもらっていません。現在の仕事は非正規で、コロナ禍の影響で低かった収入がさらに減っているとのこと。「この先、子どもの教育費が増えていくことを考えると、生活していけるか不安です。再び風俗など夜の仕事に戻るしかないでしょうか」といった相談内容でした。将来、自分の過去が子どもに知られるのが怖いとも言います。
そこで調べてみると、シングルマザーの貧困はかなり社会問題になっており、特にコロナ禍において顕著になっているようです。さらに風俗で働いても、相談者さんの年齢ではあまり稼ぎにならないとの情報も散見されます(熟女系では、丸1日働いても客は平均2人程度。7~8千円程度にしかならないのだとか)。
結論から言うと私は、この方は風俗に戻るべきではないと考えています。では、具体的にどうすれば、子育てや経済面も含めて生活を立て直せるでしょうか。それが本稿のテーマです。
そこでまずは、「なぜシングルマザーは貧困に陥りやすいのか?」を冷静に考えてみましょう。これは具体的に生活を立て直していく前提となります。
なぜシングルマザーは貧困に陥りやすいのか?
<子どもが幼くして離婚するケースが多い>
本来は夫婦2人で仕事も家事育児も分担してやるわけですが(家事育児をやらない夫でも、少なくともお金は稼いできてくれる)、シングルだとこれらすべてを1人でやらなくてはなりませんから、負担が大きくなります。そしてさまざまな取材・インタビュー記事を読むと、多くは出産後まもなく離婚している印象があります。
子どもが中高生ぐらいになればそれほど手はかかりませんが、たとえば保育園児であれば急に発熱してお迎えに行かなければならないとか、小学生でも低学年なら夜は遅くなれないとか、家に子どもだけを残して外出できないとか、何かと制約を受けます。
さらに若くして離婚ということは、社会人として半人前ゆえにまだ収入も低く、貯金も十分ではない状態で離婚しているわけです。
<パート・アルバイトの非正規雇用が多い>
シングルマザーはパートやアルバイト、派遣社員などいわゆる非正規の雇用形態の人が多く、収入は低く雇用も不安定です。
シングルマザーになる人は、なぜか出産に伴って仕事を辞めてしまう人が少なくないようです。むろん子どもの世話を重視したいなど理由は様々ですが、正社員を辞めて専業主婦になったりパートになったりします。
そのため今回のコロナの影響で飲食・アパレル・観光といった業態が苦境に陥ると、真っ先にシフトを減らされクビを切られるのもこうした人たちです。
また、前述の「子どもが熱を出して早退」「夜遅くまで残れない」という点がボトルネックとなり、ゆえに企業側もシングルマザーの雇用に躊躇しがちとなり、なかなか正規雇用を勝ち取れない傾向があります。
<養育費を受け取っていない>
離婚の場合、相手との話し合いで養育費を受け取るはずが、母子世帯で離婚した相手と養育費の取り決めをしているのは、2016年の調査では全体の42.9%と、5割以上の人が取り決めをしていないようです。
その理由として、DVや浮気などから逃れるため相手と関わりたくないという人や、相手に支払う能力・意思がないからと、養育費を受け取っていないのです。仮に取り決めをしていても、やがて振り込みがなくなり催促しても音信不通となってあきらめた、という人もいます。
そのため、生活・子育てにかかる費用をすべて自分1人で稼がなくてはならないと、これも負担になっています。
おおむねこうした状況・環境が、貧困状態に陥る要因の1つとなっているようです。
では、ここから這い上がって復活するためには、どういうことを意識すればよいのか。私なりの処方箋を提案したいと思います。