「自分が頑張ればいい」「自分さえ我慢すればいい」を疑え
シングルマザーは責任感が強い人が多いようで、あまり他人に頼ることを良しとしない印象があります。また、自分だけで抱え込む気質ゆえに、友人・知人も少ない傾向があります。
しかし、貧困でつらいなら、他人に頼るという選択肢をしっかり持った方が良いと思います。というのも、親に精神的な余裕がないと、子に構う余裕、もっと言うと子の心に寄り添い、子が適切な自己肯定感を持てるよう十分な愛情を注ぐ余裕がなくなるからです。
子はとても敏感で、親の精神状態は子に伝わります。親が不安なら子も不安になりますし、親が情緒不安定なら子もそうなります。あるいは親がいつも家におらず、子は寂しい思いをして育つかもしれません。
それでは子も愛情不足で愛着障害を抱え、自己肯定感が低くなり再び親と同じくシングルマザー(ファーザー)の道を歩む、いわゆる貧困の連鎖となってしまいかねません。
その負の鎖を断ち切るためにも、親には余裕が必要です。
<実家を頼る>
そこでまずは実家を頼ることです。いったん実家に身を寄せて生活を立て直しましょう。
ただしシングルマザーの中には若くして妊娠し、親の反対を振り切って結婚して離婚した人も少なくないことから、親に頼れないと思っている人もいるようです。
しかしそんなプライドは1円にもならないし、自身の子どものためにもならないですから、つまらない意地を捨てて親に頭を下げることです。
親だって我が子が苦境に陥っているのを見過ごせる人は多くないでしょうから、生活が立て直せるまでは家にいていいよ、となる可能性もゼロではないでしょう。
実家は田舎だから仕事がないと思っても、たとえば介護業界はつねに人手不足です。そこで日銭を稼いで貯金しつつ、前述の通り頭脳を鍛え、起業もしくは都市部でのホワイトカラー正社員の道を目指すのです。
しかしシングルマザーの親もシングルマザーであることが少なくなく、前回のような毒親のケースもあります。
それで実家は頼れない場合は、以前「住所を失ってはいけない」でもご紹介した、製造業などで「寮付」の仕事を選ぶという方法もあります。ファミリー向けの寮を提供している企業もあります。
<行政に頼る>
そして、行政の支援制度に頼ること。
区市町村役場に相談に行けば、様々な支援制度を紹介してくれます。職業訓練なども受けることができます。それは制度として存在しており、利用するのは国民市民の権利ですから、恥ずかしいとか思わず堂々と相談に行くことです。
そして子どもがまだ小さく働き方に制約があるなら、保育園・病児育児託児所・24時間託児所・ファミリーサポートセンターをうまく活用することです。
シングルなら保育園入所審査の加点が高く、ほぼ間違いなく入れます。保育園料はタダ。延長保育も20時まで預けられますし、土曜日も預かってくれます。
子どもが保育園で熱を出したという場合、予約なしでも病児保育をしてくれる託児所がありますから、ちょっと仕事を抜けて子どもを迎えに行って預け替え、また仕事に戻ることができます。
自治体のファミサポ(ファミリーサポートセンター)に登録し、地元の人にお迎えをしてもらえるよう準備をしておくという方法もあります。
とにかく使える制度や施設はフル活用し、日中は仕事に専念できる環境を作ることです。