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「一流企業の男と結婚しろ」毒親の言葉が子どもを生き地獄に落とすワケ=鈴木傾城

結婚した時は一流企業の社員であっても、3年後には転職してどこの馬の骨とも分からない人間になっているかもしれないのが今の時代なのだ。一生のうち、会社は何度か変わる確率の方が高い。「一流企業の社員と結婚しなさい」というのは、言ってみれば昭和と共に終わってしまった価値観であると言える。それは終身雇用と年功序列のシステムが機能していた時代の価値観なのだ。(『鈴木傾城の「ダークネス」メルマガ編』)

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プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)
作家、アルファブロガー。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」、主にアメリカ株式を中心に投資全般を扱ったブログ「フルインベスト」を運営している。

「一流企業の社員と結婚しなさい」という忠告

結婚相手を選ぶ中で、昔の親は自分の娘に「一流企業の社員と結婚しなさい」と諭すことが多かったと聞く。中小企業で働いている社員よりも、一流企業で働いている社員の方が「高給で、一生安泰で、平穏な暮らしが約束される」からである。

今はどうなのだろうか。

もし「一流企業の社員と結婚しなさい」という親の忠告がいまだに続いているのであれば、もうそれはいろんな意味で遅れている価値観であるのは間違いない。もう、そのような時代ではなくなっているのだ。とっくに終わっている。

第1に、一流企業もグローバルな競争に巻き込まれており、いつまでも一流でいられる保証はなくなってしまっている。ビジネスモデルが古くなると、一流企業であっても一瞬にして傾いて凋落する可能性がある。倒産することもあれば、身売りすることもある。

第2に、一流企業が高給とは限らなくなっている。名ばかりは一流であっても、時流に遅れた企業は賃金が安い。「一流企業は給料は安くてもボーナスは高いのだ」という話もあるのだが、業績が悪化したら真っ先に削られるのはボーナスである。

第3に、もはや終身雇用も年功序列も崩れてしまっている。いくら一流企業に勤めていても、業績が悪化すると普通にリストラされるようになった。そして、いったんリストラされたら同じレベル、同じ賃金の企業に再就職は難しい。

場合によっては非正規雇用でしか仕事が見つからないこともある。非正規雇用となれば、景気が悪化したら真っ先に切り捨てられる悲哀を味わうことになる。

「銀行員は固くて安全」の神話も崩れ去った

つまり、一流企業の社員と結婚しても、一生安泰だという保証はまったくない。「企業」も「人」も、以前に比べるとずっと流動的だ。

たとえば、つい数年前まで「銀行員は固くて安全」という神話があった。固いというのは採用の際に誠実で真面目な性格が重視されるという意味で「固い」というのもあるのだが、銀行という業種そのものも「決して凋落しない」という思い込みもあって「固い」と思われていた。

しかし、時代は変わった。世の中が急激にキャッシュレスに進んでいくと、小銭や紙幣を数える銀行員はいらなくなる。にも関わらず銀行は大勢を抱え、ATMを設置し、メンテナンスしなければならないので固定費が飛ぶ。

低金利が続くと銀行経営も儲からなくなる。そうした要因が複合的に重なって、今の銀行員の大量リストラにつながっている。

Next: もはや人生に安泰なし。結婚相手の肩書きが「ほぼ確実に」消える時代

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