fbpx

日本人は本当に生産性が低かった。私たちの年収が世界最速で下がるワケ=吉田繁治

ポストコロナの日本で最大の課題となるのは「生産性の低さ」でしょう。世界の先進国と比較すると、生産性も年収も低水準にあります。日本政府がなぜか公開しない産業別の日米生産性比較、世界の世帯平均給与との比較データをもとに解説します。(『ビジネス知識源プレミアム』吉田繁治)

※本記事は有料メルマガ『ビジネス知識源プレミアム』2020年7月29日号の一部抜粋です。興味を持たれた方は、ぜひこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。

もはや瀕死の日本経済

安倍首相は国会の閉会後、7月は記者会見にも出てきませんでした。根底の原因は、経済ではアベノミクスの成果を誇ってきましたが、消費税増税とコロナでの経済停止が、国際基準では幻想だったGDPの虚妄を剥いだからです。このため、国民に顔向けができなくなりました。

コロナ禍で、円安が誘導していたインバウンド消費(3,000万人:4.8兆円)も消えました。オリンピック需要も(当方の見解では)無くなっています。

日本の最重要課題は「生産性の低さ」

1995年以降の、日本経済のもっとも大きな問題は、産業の生産性の低さです。

米国のニューヨークでは、人と人が近づく対面産業(小売り、外食、サービス業)以外では、ほぼ100%の職種でテレワークが可能です。ニューヨーク市が外出の禁止をしても、対面型産業以外の会社業務は停止しません。企業の業務では、1990年代からデジタル・トランスフォーメーション(DX)が図られてきたからです。

小売では、店舗のないAmazonがあります(売上の年率増加20%)。ウォルマートやターゲットもWEB販売と宅配をおこなっています(WEB販売増加は前年比70%)。百貨店の高級ファッションは、商品の手触りも必要でしょう。百貨店は、外出自粛で破産と破産寸前になっています。百貨店は米国でもDX(デジタル・トランスフォーメーション)を果たしていないため、店舗を閉じると、売上がなくなります。

以上から、都市封鎖による経済の停止度合いでは、ジョブ・ディスクプション型(業務方法と成果を、会社と契約する仕事の方法)で自宅PCからインターネットを介したテレワークができる米国よりも、メンバーシップ型で担当の個々の成果責任が明らかではない仕事をしている日本のほうがはるかに深くなっています。外出自粛で「会社に行かないと仕事ができない」からです。

人的生産性の日米比較

なぜか日本では取り上げられることの少ない「人的生産性」を米国と比較すると、以下のようになっています。

企業の付加価値 ÷ 労働人時数(労働時間)=人時生産性(=人的生産性)です。
GDPは、人的生産性 × 8時間換算労働者数です。

政府は、こういったデータを発表しません。都合が悪い経済の実態を示すからです。

Next: 偽りの株高が「日本の生産性は高い」という錯覚を生んでいる

1 2 3 4
いま読まれてます

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

MONEY VOICEの最新情報をお届けします。

この記事が気に入ったらXでMONEY VOICEをフォロー