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60歳でやるべき3つの「老い支度」。年金暮らしが始まる前に老後生活の質は決まる=牧野寿和

現代では60歳になっても、隠居するにはまだ早い年齢です。ここから年金暮らしが始まるまでの期間が、老後の豊かさを決めると言っても過言ではありません。還暦以降にやっておくべき3つのことをお伝えします。(『【人生の添乗員(R)】からのワンポイントメッセージ』牧野寿和)

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プロフィール:牧野寿和(まきの ひさかず)
ファイナンシャルプランナー、牧野FP事務所代表。「人生の添乗員(R)」を名乗り、住宅取得計画やローンプラン、相続などの相談業務のほか、不動産投資、賃貸経営のアドバイスなども行う。著書に『銀行も不動産屋も絶対教えてくれない! 頭金ゼロでムリなく家を買う方法』(河出書房新社)など。

誰もが60歳から準備すべき3つのこと

60歳、還暦の年です。ひと昔前なら、55歳で定年退職して、「人生あと何年」と人生の終末期を迎える歳でした。

しかし現在では、人生100年と言われています。60歳を迎えた方のうち、実際に何人が100歳まで生きるのかは、不確ではあります。

ただ、この歳の方は、現在ではいわゆる「年金暮らし」を始めるには、まだ早い歳でもあります。

そこで今回は、60歳なら誰もが準備することになる、以下の3点について考えていきます。

(1)公的年金の受給の準備
(2)健康寿命
(3)老後の家計

(1)公的年金の受給準備

国から支払われる老齢基礎年金・老齢厚生年金のことを、「公的年金」といいます。受給は原則65歳からです。

ただし、詳細な規定がありますが、これまでに厚生年金を納めたことのある方は、少し前からいわゆる「特別支給」の厚生年金がもらえます。しかし、すべての方に受給されるのではなく、生まれた年で区切られています。

具体的に見ていきましょう。

なお、今年中に60歳になる方は、昭和36年(1961年)生まれです。

男性は、昭和34年4月2日から昭和36年4月1日まで、現在60歳の方のうち4月1日までに生まれた方は、64歳から受給できます。4月2日以降の生まれの方は、65歳からの受給になります。

女性の方は、昭和35年4月2日から昭和37年4月1日まで、今年中に60歳になる方は、すべて62歳からの受給です。

では、いくらもらえるかは、年金の見込額と保険料の納付記録が、日本年金機構のサイト「ねんきんネット」で、確認できます。また、誕生月に郵送される「ねんきん定期便」でも確認できます。

重要なことは、年金を受給するためには「申請が必要」ということです。年金がもらえる歳の誕生日の前日から申請できます。

誕生月の約3カ月前に、日本年金機構から申請のための書類が郵送されてきますので、熟読して申請の手続きを忘れないようにしてください。

Next: 健康寿命は74歳まで。男性平均は7年間、女性は13年間の介護費用が必要



(2)健康寿命

次に健康寿命についてです。

健康寿命とは、誰の手も借りずに自立した生活ができる期間のこと。この期間については、複数の機関のデータがあり、おおむね男女とも「74歳まで」といえます。

言いかえれば、日本の平均寿命は、男性81歳・女性87歳ですから、健康寿命から平均寿命の期間、男性7年間・女性13年間はひとりでは生活できない可能性があります。

それこそ、介護が必要な状態になってから、身体が思うように動かなくなってから「この先どうしよう」と考えていては遅いです。

家庭環境に適した対策を、事前に準備しておくことが大切です。

(3)老後の家計

老後の家計では、主な収入が年金となる家庭は特に、現役時代より収入が減ります。

しかし、支出は高齢になるほど、食費など減る項目はあるかもしれませんが、60歳以降も健康体であれば、急に減る要因はありません。

対策を打つとすれば、まず現在の家計収支を把握します。そして、老後の収入やそれまでに蓄えておく貯蓄を取り崩して、老後の生活での支出を賄うことが可能であればいいです。

しかし、70・80代で家計が破たんするなら、今から対策を打っておきます。

方法としては、老後の生活が持ちこたえることができる家計支出に、つまり、支出を減らすことに、今からしておくことです。

もうひとつは、収入を増やすことです。

どちらにしても、家計の収支の把握は、60歳からとは言えず。今すぐにやることです。

以上の3つを準備することは、簡単そうですが、実はかなり時間がかかります。今回ご提案した準備がまだの方は、老後の生活を描きながら、完了日も決めて、準備を始めてみてください。

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image by:bbuilder / Shutterstock.com

【人生の添乗員(R)】からのワンポイントメッセージ』(2021年10月6日号)より一部抜粋
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による

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