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コロナショックが証明「財政拡大→実物資産の値上がり」の法則。次の金融危機に備えよ=田中徹郎

21世紀に入ってからリーマン・ショック、コロナ・ショックと2つも危機が発生。今後もいつ起きるかは予想できません。金融危機が起きても生活に困らないよう、常に「備え」が必要です。(『一緒に歩もう!小富豪への道』田中徹郎)

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プロフィール:田中徹郎(たなか てつろう)
株式会社銀座なみきFP事務所代表、ファイナンシャルプランナー、認定テクニカルアナリスト。1961年神戸生まれ。神戸大学経営学部卒業後、三洋電機入社。本社財務部勤務を経て、1990年ソニー入社。主にマーケティング畑を歩む。2004年に同社退社後、ソニー生命を経て独立。

金融危機に強いのは「実物資産」

僕はこれまで3冊、実物資産投資に関する本を書いてきました。1冊目は2013年、2冊目は2016年、そして3冊目が2019年です。

この3冊は、いずれも実物資産投資の重要性を紹介したもの。以下のような指摘をさせていただきました。

・やってくる金融危機のたびに世界の政府は大規模な財政出動を行い、その財源を中央銀行が発行する紙幣によって確保してきた

・その結果起きた財政の悪化と紙幣大量供給によって、おカネに対する信頼感は低下し続けている

・これからも紙幣の相対的な価値は下がり、実物資産の価値は上がる

実際にこの3冊のあいだにも何度かの危機が起きましたが、その都度、実物資産への投資は有効に機能いたしました。

特に昨年のコロナ・ショック以降をみれば、この考えが正しかったことがわかります。

財政拡大は「実物資産の値上がり」につながる

パンデミック以降、世界は財政出動の規模を拡大し、各国の財政出動の総額は1,900兆円を超えました、日本はアメリカに次ぐ規模です。

コロナ後の「財政出動の規模」と「実物資産の値動き」をみると、両者の間には正の相関性があると考えてよいでしょう。

つまり「財政拡大 → 実物資産の値上がり」です。しかも、この間の実物資産をみると、株のような大きな価格変動はありませんでした。

では、今後はどうなのでしょう。

Next: 危機対策のマネー供給が危機を呼ぶ皮肉。個人はどう対応する?



大量にばらまかれたお金は、どこかでバブルを引き起こす

21世紀に入って20年が経ちましたが、私たちはすでにリーマン・ショック、コロナ・ショックという2つの金融危機を経験しました。

そして、危機対応として行ったお金のバラマキによって、世界に滞留するお金の量は急速に増えました。

大量にばらまかれたお金は私たちの欲望を刺激し、アチコチでバブルが起きやすくなっていると思います。

お金が株に流れ込めば株価の急騰です、そしてどこかで許容範囲を超え、いずれバブルは崩壊することになるでしょう。

お金が債券に流れ込めば、債券バブルとその崩壊です。

金融派生商品に流れ込めば、リーマン・ショック型の危機を招くことになります。

皮肉なことに危機対策として行ってきたマネーの大量供給によって、ますます金融危機は起きやすくなってしまったのではないでしょうか。

このように見てまいりますと、ふだん意識していないだけで、株にしろ債券にしろ、そして現金にしろ、ペーパーアセットの世界は随分と危うくなっていることがわかります。

特に紙の資産(=ペーパーアセット)は売買が容易なだけに、また売買コストが低いだけに、バブル化とその崩壊を招きやすいといえるでしょう。

予想できないから危機。「実物資産」を保有して備えるのは有効

では、次の危機はいったいどこで起きるのでしょうか。そして、その規模はどの程度なのでしょう。

人間に予知能力はないと僕は思いますし、もちろん僕も持っていません。

つまり、次の危機はいつ・どこで・どのような規模で起きるのか。予め予想することなどできないということです。

であれば、ヘタに予想しようなどとせず、平時から危機に備えておくほうがよほど利口というものです。

そのような観点で、資産の一定額を実物資産で保有することは、意味があると僕は思います。

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image by:AlexLMX / Shutterstock.com

一緒に歩もう!小富豪への道』(2021年10月14日号)より一部抜粋
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による

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