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年末に来る日経平均「年初来安値」が絶好の買い場に?資産運用は必須、貯金だけでは“インフレ負け”確定=榊原正幸

2021年の日経平均株価の動きは、2018年と酷似しています。ここから短期的には株価が下落する可能性が高いと見ていますが、中長期的にはインフレによる株高が来るでしょう。つまり、資産運用をしなければインフレによって貯金の価値が目減りして、貧困まっしぐらと言えます。(『Prof.サカキの市況展望 プラス 教授に質問!』榊原正幸)

※本記事は有料メルマガ『Prof.サカキの市況展望 プラス 教授に質問!』2021年12月15日号を一部抜粋したものです。興味を持たれた方は、ぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:榊原正幸(さかきばら まさゆき)
会計学博士、税理士、マネー評論家。青山学院大学大学院国際マネジメント研究科教授、東北大学大学院経済学研究科教授を務めた経験から「MOTO教授(元・教授)」の肩書きで活動。資産形成のノウハウを発信し、60歳前後でリタイアする「21世紀の日本を生き抜く方法」を自らの経験と株式投資のプロの視点から提唱している。

年末にかけて日経平均は下落する?2018年の動きと似ている

かねてから当メルマガで指摘していますように、2021年の日経平均株価の推移は、特に年の後半において2018年の日経平均株価に推移に類似しています。

ここでそれを簡潔に確認してみます。

日経平均株価 週足(SBI証券提供)

<2018年>

・1月23日に最初の高値(24,129円)
・3月26日に安値(20,347円)、下落率 15.7%
・5月21日に高値(23,050円)、上昇率 13.3%
・その後、9月13日までボックス圏相場
・10月2日に年初来高値(24,448円)
・その後、10月24日から12月4日までボックス圏相場
★12月26日に年初来安値(18,948円)、下落率 22.5%

<2021年>

・2月16日に最初の高値(30,714円)
・その後、9月3日までボックス圏相場
・この間の8月20日に最安値(26,954円)、下落率 12.2%
・9月14日に年初来高値(30,795円)、上昇率 14.3%
・その後、9月29日から12月3日までボックス圏相場

このように、多少のズレはもちろんありますが、大枠において、年の後半は非常に類似した推移を辿っています。

そして、2018年には「★12月26日に年初来安値(18,948円)、下落率 22.5%」となっていますので、これに倣(なら)えば、今年も「年末に向けて下落」となることが予想されます。

2018年の3月までの下落率が「15.7%」だったのに対して、2021年の8月までの下落率は「12.2%」と2割ほどマイルドであったことを加味すると、ここから年末に向けての下落率も2割ほどマイルドになると仮定して、年末年始に向けての下落率は「18%」(22.5% × 0.8 = 18%)くらいになることが予想されます。

そうしますと、年末または年始に向けての最安値は「2万5,252円」(30,795円 × 0.82 = 25,252円)と算出されます。

日経平均はここから「年初来最安値」2万5,252円も

ここでの仮説通りに、今年の日経平均株価の推移が2018年のそれに類似すると仮定すれば、これから年末にかけて「年初来安値」が付くことになり、その水準は「2万5,252円」ということになります。

今年の株価推移が「なぜ2018年に類似しているのか」という肝心な点は不明です。ですから、この類似性がこれから解かれることもあり得ます。そうなれば、「2万5,252円」ほどまでは下がらないことも充分にあり得ますが、日経平均株価の週足チャートを見ますと現時点において、13週移動平均線が下向きになっていますので「先安感は否めない」といったところです。

FRBは22年中に計3回の利上げを想定していますし、恒大問題も破綻処理へと進んでいます。これらは株価の重しになります。また、オミクロン株については織り込み済みだと思いますが、年末に向けてもうひと波乱あるのかもしれません。

ですから、目先のところはある程度の株価下落を想定しておく必要はありそうです。

Next: 2022年は右肩上がりで株価上昇?中長期なインフレから生活を守るには



2022年は右肩上がりで株価上昇?

一方で、もしここでの「2018年類似説」が的中したとしましても、2018年の翌年(2019年)の日経平均株価は、ほぼ一辺倒に右肩上がりでしたから、年末年始に向けての下落の後には、比較的しっかりとした上昇局面がやって来る、ということもいえそうです。

それが、インフレによる株高ではないかと思うのです。

中長期的にはインフレの進行を懸念すべし

この「インフレ論」についても、かねてから述べてきています。

インフレの原因は、
・コロナ対策のジャブジャブ政策
・世界的な資源不足
・先進国における人手不足
・日本における一層のグローバル化の進展(日本以外の先進諸国は物価も賃金も右肩上がり)
など、枚挙にいとまがありません。

今月10日に発表された「企業物価指数」はオイルショックの時の数値を超える最高値(+9.0%)を付けました。

個人消費はというと、賃金が上がっていないことやコロナによる消費の手控えもあり、「消費者物価指数」は「+0.1%」という体たらくですが、「企業物価指数」が「+9.0%」もの高い上昇をしているのに、「消費者物価」に転嫁されないわけがありません。

企業はそんなに甘くありません。いつまでも原価高を吸収してくれるわけがありません。

そう考えると、2022年は「物価高の年」になるだろうということは容易に想定できます。これは「予想」ではなくて、「論理的な帰結」です。

それに、すでに色々なところで「値上げ」は進んでいます。

「値段が上がる」というわかりやすいパターンであればまだ善良なほうで、「値段はそのままだが、量が減っている」という「実質値上げ」は、ものすごくいろんなところで起こっています。

いつまでも「デフレマインド」に侵されていると、世界の潮流に乗り遅れるばかりです。

そして、この「インフレ」という事実を受け止めることによって、重要な事実が浮き彫りになります。

それは、「株式投資をしておかないとインフレ負けしてしまう」ということです。

Next: 資産運用をしておかないとインフレで生活が破綻する



資産運用をしておかないとインフレで生活が破綻する

株式投資だけではなく、不動産投資と金(ゴールド)の購入も有効です。

前回のこのメルマガでも「インフレ対抗力のある3大資産」として述べましたが、「株式・不動産・金地金」にインフレ対抗力があるというのは世界経済の常識です。

これら3つの資産うちのいずれか(または全部)に資金を移動しておかないと、「実質的な購買力」が下がってしまうのです。

日本人は「貯金(=銀行預金)」が大好きですが、これからは銀行預金が「インフレ負けの権化」と化します。

2022年の1月1日に、たとえば100万円の現金があったとします。これを銀行預金で持っていれば、2022年の年末においても、ほぼ100万円です(スズメの涙の利子は10円とします)。

一方、次のようなことを想定してみて下さい。

         2022年元旦  2022年の年末
缶コーヒー1本  :  100円      110円
金地金1グラム  : 7,000円     7,700円
日経平均株価  :28,000円     30,800円
名古屋市内の土地:坪単価100万円 坪単価110万円

そうです。いろんなものの価格が1年で10%上がっているのに、銀行預金だけがそのままの100万円です。これが「インフレ負け」です。

2022年1月1日には、100万円で比較的安いPB商品の缶コーヒーなら1万本買えたのに、2022年の年末には9,091本しか買えないのです。

「株式・不動産・金地金」のいずれかに資金を移動せよ

このような「インフレ負け」を起こさないようにするためには、「株式・不動産・金地金」のいずれかに資金を移動しておかないといけないのです。

銀行預金なんて、生活に必要な最低限の資金だけを置いておく場所でしかありません。

なお、たとえば株式投資で年間に10%(税引き後)の利益を得たとしても、その年に生活実感の物価が10%上がっていたら、それは「トントン」でしかないのです。儲かったと思ったら大間違いです。

そして、「インフレ負け」をしなかっただけでもヨシ!としなければならない、といったところなのです。2022年からは、そういう時代になっていくのです。

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  • 号外 「買い注文は手控えながら、安値を待つ」(6/19)
  • 第001号 PART2-2 書き下ろし原稿 「目指せ! 60歳でハッピーリタイア」(6/1)
  • 第001号 PART2 書き下ろし原稿 「目指せ! 60歳でハッピーリタイア」(6/1)
  • 第001号 PART1 「どうなる? 『東京五輪』」(6/1)

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image by:PERO studio / Shutterstock.com

Prof.サカキの市況展望 プラス 教授に質問!』(2021年12月15日号)より一部抜粋
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による

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