連日、緊迫の様を増していくウクライナ情勢ですが、点ではなく流れで見てみると、プーチンが欧州、米国を威嚇しているだけに過ぎないことがわかります。ロシアの主張にも正当性があり、米国が妥協しない限りプーチン演出の舞台は続き、エネルギー価格は下がることはなく、インフレも収まらないでしょう。(『角野實のファンダメンタルズのススメ』)
※本記事は有料メルマガ『角野實のファンダメンタルズのススメ』2022年2月7日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。
プロフィール:角野實(かどの みのる)
大学卒業後、金融機関に10年ほど勤務。独立して投資家の道へ。現在は企業経営者として活動、FX関連の執筆を多数行っている。
ウクライナ情勢は点ではなく流れで見る
現在のウクライナ情勢は点で見るのではなく流れで見るべきです。眼前の状況にみなさん右往左往されているようですが、ここに統計のような閾値を設定するのです。
ロシアがウクライナに侵攻して何のメリットがあるのか?を考えた場合、ほとんどコストばかりであり、メリットが見いだせない状況にみなさん、というか専門家風情が侵攻する、侵攻すると危機を煽るのです。現時点で合理的に考えてその可能性は低いだろう、と私は思います。そういう素人みたいな意見を出して侵攻、侵攻と本当にうっとおしい連中だなと思います。
今、寒すぎるということは数週間から数か月後には暖かくなりすぎるのでしょ、と考えれば特段、いまの寒さは気にならないものです。暖房という、我々には文明の利器があるのですから(笑)。
ともかく流れでみれば、今の問題がどうなるのかはなんとなく見えるものです。
流れで見るウクライナ問題
石油・ガス供給の不安定化
↓
インフレ
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ロシアに安定的かつ安価でのガスの提供を要請
↓
ロシア:経済制裁を解いてくれ
↓
欧州・アメリカ:クリミア半島の回復をしないと考えられない(お願いする立場でなんか偉そう、と思いませんか?笑)。
↓
ロシア:それではNATOをソ連崩壊前の状態に戻せ
↓
ロシア:偉そうだから、国境付近で軍事演習しよう←結果的にエネルギー価格の高騰
要は、欧州がロシアにインフレの根源的な部分である「ガス供給を安定させてくれ」とお願いをしているわけです。ロシアは「聞いてもいいけど、クリミア侵攻の経済制裁を解いてくれれば考えるよ」と言ったわけです。欧州は経済制裁をアメリカに相談しなければいかないので、アメリカにお伺いを立てたら「ふざけんな!」との回答(笑)。
Next: ウクライナ侵攻は経済制裁を解くためのプーチンの迫真の演技
ロシアに一方的に要求だけを出し続ける欧米
ロシアにとってクリミアはロシアの領土であり、それを以前の状態に戻すことが飲めないので、同様にアメリカにNATOを以前の状態に戻せと要求しただけです。つまり、どちらもできっこないことを要求しあっているだけの話なのです。このロシアの要求の部分ばかりがフォーカスされて、ロシアの経済制裁の話が消えてしまっているので、プーチンが血迷ったのか、という錯覚を与えているだけです。
こんなバカバカしいことでウクライナ侵攻というオプションを、プーチンは選択するとは思えません。しかし、お願いする立場の欧米に対し、面白くないという感情をむき出しにしているだけです。要求は何も通さないで、ガス供給だけを安定的に、という話です。自分に都合のよい話ばかりしているのは欧米、特にアメリカであり、頭がおかしい、と私は思っています。それでロシア侵攻を煽っているだけです(笑)。バカバカしいことこの上ないのです。
外交努力はロシアの望む「えさ」と「見返り」の協議
欧州を助けるために日本政府はガスの転売に協力すると表明していますが、その代わりにトランプ政権で設定されたアルミ鉄鋼関税の緩和を要求しています。
つまり外交というのは、何かに協力すれば、何か望むものを提供するというのが基本なのに、ロシアには一方的に要求するだけ、えさ、は何もなし、という状態で、何を解決させようとしているのかわかりません。誰ですか、外交上手のバイデンとか言っているのは?と思います。やっていることは、言い過ぎかもしれませんが、間抜けそのものです。
今の交渉は、おそらくロシアの望む「えさ」、「見返り」の協議です。その行方を双方が見守っているだけです。双方が外交努力を続けるといっているのはある程度の感触はある、ということです。
Next: ロシアが満足する回答を得るまでインフレは続く
エネルギー価格の上昇は避けられない
しかし、ロシアが望むものは多く手に入れられないことが予測されますので、おそらく長引きます。その間、軍事演習をたくさん行い、ますますエネルギー価格を高騰させ、要求を通す算段でしょう。
ゆえにインフレは収まらない、だろう、というのが私の見立てです。エネルギーが下がれば演習を行う、の繰り返しで、そのショーの見せ方の問題だと思います。つまり観客が飽きないように迫真の演技をこれからも行う、だけの話です。
カギは米国にあって、そのうち、短気なブリンケンが癇癪を起こしてまた中国の代表のようにぶち切れさせるのです(笑)。その結果、侵攻はしないでしょうが、ロシアが侵攻するという本当の迫真の演技をするのでしょうね、と私は思っています。
ロシアが満足するまでインフレは続く
つまり今回の侵攻の終結点は、アメリカがロシアを満足させるだけのものを提供できるか、否かの問題であり、時間がかかる、というだけです。その間にエネルギー価格は手が付けられなくなり、ますます高騰する、というだけです。
みなさん、マスクを思い出せばいいだけの話です。品薄になったマスクをネットで販売しようとしますか? しませんよね。ますます、買い占めが横行するのです。結果として、アメリカは相当、不利益な条件を呑まされるだけの話です。
こんなもの一発でロシアを満足させる回答をさせないと、ダメなのに、その根性と気合が足りない、ということです。バイデンとブリンケンにその根性と気合が私はない、とみています。プーチンは待っていれば、ロシアにとって良い状況になりますので、悠然としているでしょう。
要は膠着するだけです。
流れをみていればいずれ解決する、しかも、ロシア圧倒的な有利な条件で、というのはなんとなく現時点でわかっていることなのです。たぶん、ですよ、たぶん(笑)。
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- ISM非製造業指数の解説(2/4)
- ドルが強くなるお話しとADP雇用(2/3)
- ISM指数の解説(2/2)
- なぜ月の後半に株価は失速するのか?(2/1)
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- 名目金利と実質金利(11/7)
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『角野實のファンダメンタルズのススメ』(2022年2月7日号)より一部抜粋
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による
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