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急成長する国産「二次電池」業界、投資家が注目すべき日本企業4社とは?=田嶋智太郎

東京ビッグサイトで開催された「スマートエネルギーWeek」というイベントに足を運んだ。とくに興味を惹かれたのは『国際 二次電池展』だ。今、国産の二次電池は確実に進化している。投資家目線で注目したい日本企業4社について解説したい。(『田嶋智太郎の先読み・深読み!株式マーケット』田嶋智太郎)

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※本記事は有料メルマガ『田嶋智太郎の先読み・深読み!株式マーケット』2022年3月25日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:田嶋智太郎(たじま ともたろう)
慶応義塾大学卒業後、現三菱UFJモルガン・スタンレー証券勤務を経て転身。転身後の一時期は大学教諭として「経営学概論」「生活情報論」を担当。過去30年余り、主に金融・経済全般から戦略的な企業経営、地域金融機関改革、引いては個人の資産形成、資産運用まで幅広い範囲を分析研究。民間企業や金融機関、新聞社、自治体、各種商工団体等の主催する講演会、セミナー、研修等において、累計3,000回超の講師を務めてきた。これまでに数々のテレビ番組へのレギュラー出演を経て、現在はマーケット・経済専門チャンネル『日経CNBC』のレギュラー・コメンテーターを務める。主な著書に『上昇する米国経済に乗って儲ける法』(自由国民社)などがある。

進化する国産「二次電池」に注目

3月16日~18日に東京ビッグサイトで開催された「スマートエネルギーWeek」というイベントに足を運んだ。

広い会場内には、FC(燃料電池)、PV(太陽光)、スマートグリッド、バイオマスなど様々なテーマ別の展示があったが、とくに興味を惹かれたのは『国際 二次電池展』。

数ある出展ブースのなかでも、ひときわ目を惹く展示を行っていたいくつかの企業に焦点を当てて紹介したい。

今、国産の二次電池は確実に進化している。

注目企業その1:日本電気硝子<5214>

いま、対ロシア制裁の影響が取り沙汰されるなか、希少金属の供給懸念が台頭。そんななか、興味をそそられたのは「日本電気硝子」が展示していた全個体ナトリウムイオン二次電池である。

これは昨年11月にプレスリリースされたもので、オール酸化物全固体Na(ナトリウム)イオン二次電池の駆動に世界で初めて成功したという。

目立った特徴としては、まず現行のリチウムイオン二次電池に匹敵する高い実用性を有すること。そして、何よりリチウムやコバルト、ニッケル等の希少金属元素を全く必要としない。

また、安定な物質である「酸化物材料」で構成されているため、釘やナイフが刺さっても発火や有害ガスの発生がない。

同社の事業の柱は、FPD用ガラスと自動車用ガラス繊維。主な販売先は、韓国、台湾、中国の液晶パネル企業。車載や風力発電向けにガラス繊維が成長しており、21年12月期は
営業利益が85.6%増、純利益が83.0%増と好調だった。

22年12月期は、売上高が13%増の3,300億円、営業利益が12.9%増の370億円と、会社側は予想。おそらくかなり控えめな見通しであると見る。

日本電気硝子<5214> 週足(SBI証券提供)

現在株価は、予想PER=9.17倍、PBR=0.51倍、予想配当利回り=4.33%という水準にあり、割安感は強い(※編注:原稿執筆時2022年3月25日11:00)。一目均衡表の週足「雲」上限が強い下値サポートとして意識されており、先週からは切り返しの動きが見られている

Next: まだある「二次電池」で注目すべき日本企業



注目企業その2:日本特殊陶業<5334>

昨年5月に開発したことを発表した非焼結型・酸化物系個体電池でクラス最高水準の容量・サイスの固体電池を展示していた。この電池は不燃性で有毒ガスの発生もなく、過酷な環境下やより広い温度範囲での使用が可能。

宇宙空間や自動車の分散・バックアップ用電源、海洋機器、運輸用IoT、加えて火災や爆発を防止する機能が要求される機器などでの活用が期待される。

株式会社ispaceが進める民間月面探査プログラム「HAKUTO-R」にコーポレートパートナーとして参画し、2022年に月面で世界初となる固定電池の実証実験を行う計画。すでに各種環境試験をクリアしたフライトモデル電池の試作を完了し、打ち上げに向けて順当に準備が進んでいる。

同社は自動車用プラグ、排気系センサーで世界一。電子部品や医療機器、燃料電池なども手掛けている。売上高の割合は、自動車関連が79%、セラミック関連が9%。

足元は、補修用プラグと半導体関連部品が好伸。23年3月期は自動車減産が徐々に解消してきており完成車用プラグが復調、センサーも拡大する見通し。半導体関連も好調が持続している。

22年3月期は、営業利益が前期比70.9%増の810億円、純利益が同56.4%増の600億円に達する見込みで、過去最高を大幅に更新する見通しである。

日本特殊陶業<5334> 週足(SBI証券提供)

現在株価は、予想PER=7.06倍、PBR=0.94倍、予想配当利回り=4.91%と、かなりの割安水準にある(※編注:原稿執筆時2022年3月25日11:00)。一目均衡表の週足「雲」が強い下値サポートとして意識されており、先週からは強い切り返しの動きが見られている。

注目企業その3:三井金属鉱業<5706>

展示ブースでは、次世代電池として期待される全固体電池向け固体電解質「A-SOLiD(エーソリッド)」に加えて、固定電解質シート、全固体電池(モックアップ)も展示されていた。

昨年11月にエーソリッドの量産試験用設備からの供給開始をリリース。量産試験用設備での検証を完了し、固体電解質のサンプル供給を開始している。現在、協働しているマクセル株式会社などへのサンプル供給に加え、EV用途向けの要望も増加、評価も順調に進んでおり、当社の固体電解質を利用した顧客の開発が活発に進んでいる。

足元は、極薄銅箔がスマホ向け好調。亜鉛など金属価格高騰続き営業益上振れ。極薄銅箔はスマホの5G化や高性能化で1台当たりの使用量が増えている。

三井金属鉱業<5706> 週足(SBI証券提供)

現在株価は、予想PER=4.76倍、PBR=1.02倍、予想配当利回り=2.79%と、かなりの割安水準にある(※編注:原稿執筆時2022年3月25日11:00)。一目均衡表の週足「雲」が下値サポートとして意識されはじめており、先週からは強い切り返しの動きが見られている。

Next: 残りの1社は電子顕微鏡で世界首位のあの企業



注目企業その4:日本電子<6951>

計測検査機器を開発し、その技術を二次電池にも活かしている。リチウムイオン電池や燃料電池など、大気と遮断された環境で解析する必要がある材料に対して、日本電子の解析ツールには非曝露での試料作製や形態観察、元素分析が可能なシステムが構築されている。

同社は、電子顕微鏡で世界首位。半導体製造装置を拡大中。分析機器・医用機器も手がける。

23年3月期は、稼ぎ頭のマルチビームが期初受注残23台(21年度売上12台)。マルチビームの需要は、半導体回路の微細化が進むほど高まると見られている。昨年10月に稼働した武蔵村山新工場でのマルチビーム生産は初年度から黒字を達成している。

22年3月期の営業利益は前期比2.1倍の110億円、純利益は同2.4倍の90億円となる見込みで最高純益を更新する。

日本電子<6951> 週足(SBI証券提供)

現在株価は、20年3月安値=1,795円から21年12月高値=9,840円までの大幅な上昇に対して半値押しの水準を試し、先週から強い切り返しの動きが見られている。

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  • 進化する国産の二次電池に注目!(3/25)
  • 日本株の相対的魅力は高まる!(3/18)
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  • 3月本決算で好配当利回り&魅力の優待銘柄(3/4)

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2022年2月配信分
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2022年1月配信分
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image by:Herr Loeffler / Shutterstock.com

田嶋智太郎の先読み・深読み!株式マーケット』(2022年3月25日号)より一部抜粋
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による

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