1月6日に起こった議会襲撃事件は、アメリカの民主主義を脅かすものとなりました。問題は、SNSの検閲を行ったIT大手と、十分な検証なくトランプが扇動したと報じるメディアの対応にあります。(『元証券会社社長・澤田聖陽が教える「投資に勝つニュースの読み方」』澤田聖陽)
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※本記事は有料メルマガ『元証券会社社長・澤田聖陽が教える「投資に勝つニュースの読み方」』2021年1月18日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。
議会襲撃で露呈「民主主義の危機」
すでにご存じのとおり、1月6日にアメリカにおいて、一部の過激派による議会襲撃事件が起こりました。
言うまでもなく、民主主義社会において暴力は許されるものではありません。ただし、この後のIT大手やメディアの対応については違和感を伴うものが多く、それこそ民主主義の危機ではないかと思わせるものがありました。
まずメディアは、この議会襲撃事件を大きく非難しました。
前述のとおり、民主主義社会において暴力は許容されるものではありませんし、暴力行為が非難されることについては、多くの人が異論はないところでしょう。
問題は、この暴動をトランプ大統領が煽ったと細かな検証もせずに結論付けていた点です。
トランプ発言の検証は不十分
私は議会襲撃の前後のトランプ大統領のツイッター等での発言(すでに消されていますが)や、集会で発言したと言われている内容を検証してみました。
少なくともトランプ大統領が「議会を襲撃せよ」といった発言は無かったし、暴力を容認するような発言も見られませんでした。
「私たちは今回の選挙で勝った、しかも大勝利を収めた」
「私たちは盗みを止める」
「私たちは決してあきらめない。決して敗北を認めない。そんなことは起きない」
「死に物狂いで戦わなければ、もはや国を失ってしまう」
上記のような発言を集会で行ったとは報道されています。
また、以下のような発言も行ったようです。
「平和的かつ愛国的に、各自の意見を届けよう」
「私たちは議事堂に向かう」
トランプ大統領が扇動したと主張するメディアや民主党、一部の共和党議員は「私たちは議事堂に向かう」という一部の発言を切り取って、トランプ大統領が暴動を扇動したと主張しているように見える。
「私たちは議事堂に向かって歩き、勇敢な上院議員や下院議員に声援を送ろう。ただ、議員の一部に対しては大した声援はしないだろう」
上記のような発言もしており、これを見る限りでは暴力による議会襲撃を扇動したとは言えないように思えます。
トランプ大統領の発言を簡単にまとめてみましたが、このような検証さえもほとんどのメディアが行わず、結論ありきで「トランプ大統領が扇動したのだ」と決めつけて報道している多くのメディアの姿勢には疑問以上に、怖ささえ感じます。
アメリカのジャーナリズムは死んだ
ジャーナリズムは本来、できるだけ中立な立場から客観的事実を検証して伝えるのが役割だと考えています。
そういう意味では、すでにアメリカのメディアはジャーナリズムではなくなっており、自社が推進したい考えを客観的な事実のように流すだけの機関に成り下がったと言えるのかもしれません。
この4年間を見ても、メディアはその多くがトランプ大統領批判を繰り返してきました。その動きは、さながらトランプ大統領に対するリンチとも言えるような様相でした。
たしかにトランプ大統領は、過激な発言も多く、批判されるべき政策等が無かったとは言いません。
しかしメディアが行ってきた姿勢は「トランプ憎けりゃ袈裟まで憎い」とも言えるような、感情的かつ決めつけによるものが多かったように思えます。
SNSの検閲問題「3つの主張」
次にIT大手の対応についてですが、議会襲撃事件後に、ツイッターとフェイスブックを中心とするSNS大手がトランプ大統領の個人のアカウントをほぼ一斉に停止しました。
またツイッター等でトランプ大統領に肯定的なツイートをしている人たちのアカウントもアカウントロックされるような現象が起こり、トランプ大統領支持者の多くは「パーラー」という保守系と言われるSNSに移行しました。
それに対して、パーラーにAWS(アマゾンウェブサービス)というクラウドサーバーサービスを提供しているアマゾンは、パーラーに対するAWSの提供を停止すると発表し、実行しました。これによりパーラーは使用不可になってしまいました。
現在パーラーは自社でサーバーを確保するように動いているようですが、おそらく今までの投稿等のコンテンツは、ほぼ失われることになるでしょう。
アマゾンのAWSの提供停止は、後ほど論じるとして、まずSNSの検閲問題について話したいと思います。
SNSの検閲問題は、大統領選挙の前から盛り上げってきていた問題です。
SNS各社が投稿をどのように扱っていくかという問題については、人によってどうあるべきかという主張が異なりますが、大きく分けて以下の3つの主張があると思います。
- SNSはプラットフォームなので、一切の検閲をすべきではない
- SNSは「殺せ」とか「死ね」などの暴力的は発言、もしくはあきらかに他人を侮辱する発言等の社会的に明らかに許容できない投稿のみは検閲(これは検閲というか投稿チェックですね)すべきである
- SNSはフェイクニュースも含めてもっと積極的に検閲し、投稿削除すべきである
分断を煽るのは誰か? アメリカは衰退の危機にある
最初に私のスタンスを申し上げておきますと、SNSは(2)のスタンスで、少なくとも投稿チェックは行うべきだと思っています。
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『元証券会社社長・澤田聖陽が教える「投資に勝つニュースの読み方」』(2021年1月18日号)より一部抜粋
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による
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