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10万円給付金は「パーッと使う」が大正解!ただし消費税おまえはダメだ=澤田聖陽

コロナ対策として全国民に一律10万円の現金給付が決まり、1日から各自治体でオンライン申請の受け付けが始っています。受け取ったらどうするのが正解か。元証券会社社長の澤田聖陽さんは「経済対策なのか、貧困対策なのか」を考える必要があると解説します。(『元証券会社社長・澤田聖陽が教える「投資に勝つニュースの読み方」』澤田聖陽)

※本記事は有料メルマガ『元証券会社社長・澤田聖陽が教える「投資に勝つニュースの読み方」』2020年4月21日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:澤田聖陽
新卒で証券会社に入社。その後、投資銀行事業、Fintech事業を手掛ける。2013年から2019年までSAMURAI証券株式会社の代表を務める。現在は、投資とコンサルティング事業を行いながら、複数の企業に顧問として携わっている。

「一律10万円給付」は好手

私は4月7日発行のメルマガで、「日本政府が公表した108兆円の経済対策は水増し発表だ」と切り捨てました。その中で「収入が減って厳しい状況に置かれた世帯に、一律30万円を支給する」という現金給付案があったのですが、国民の多くの層が対象とならないことや、対象者や申請手続きが複雑で分かりにくいこともあり、かなり評判が悪い状況でした。

さすがにあまりの評判の悪さに耐えられなくなったのか、改めて「一人10万円を給付し所得制限なし」という案を発表し、2020年度補正予算案を修正して閣議決定しました。

今回の案は国民一人当たり10万円を給付するという分かりやすい案です(4月27日時点で住民基本台帳に記載されている全ての人が対象となるようです)。世帯レベルで世帯主が申請する形で、申請については、郵送やオンラインで申請を受けるという方針のようです。

オンライン申請は、マイナンバーの専用サイト「マイナンバーポータル」を活用し、電子署名で本人確認ができる「マイナンバーカード」を持つ人が対象となると言われています。マイナンバーカードの普及率が14%程度と言われているので、現状の案のままだと郵送による申請が殺到しそうな気がしますが、政府が推進しようとしていたマイナンバー普及がこの給付金により進むのであれば、それは良い事だとは思います(逆にマイナンバーカードの申請窓口がパンクしないか心配ですが)。

「収入が減って厳しい状況に置かれた世帯に、一律30万円を支給する」という案では、全国の約5800万世帯のうち約1000万世帯が対象になると言われていました。単純に計算すると、財政支出規模は最大で30万円×1000万世帯=3兆円でした。

一方、今回の国民一人10万円では、日本の人口が1億2千万人とすると、10万円×1億2千万人=12兆円になります。

財政支出の予算としては4倍の規模となったわけです。財務省の抵抗がある中、今回公明党及び安倍総理はよくやったと個人的には思います(最初から単純にこの案で行くべきでしたが)。

「宵越しの金」にはなりにくい

財務省御用達エコノミストのような人は、一律で10万円配っても多くの部分が貯蓄に回るだけという人がいます。ただ12兆円が市中に現金として出回ったとしても、その3分の1も貯蓄に回らないのではないかと思います。

たしかに高齢者へ配られた一部のお金は貯蓄に回るかもしれませんが、30代~50代の子育て世代ではマクロで見ると貯蓄に回せるような余裕はなかなかないでしょうし、もっと下の世代は一時金を喜んで消費に使うでしょう。

仮に財務省御用達エコノミストの人たちが言うように多くが貯蓄に回ったとしても、それはそれだけ日本の国民に余裕があったということですので悪いことではありません。残念ながら今の日本にそこまでの余裕はないのではないかと思います。

貧困対策ではなく経済対策。だからこそ「もう一声」を

今回の給付案は、経済対策なのか貧困対策なのかという点ですが、10万円の給付については経済対策であるということで進めるべきだと個人的には思います。貧困対策は別の施策で行うべきだと思っています。

もともと失業保険という制度があるので、自宅待機になった人にエビデンスを出すことで失業保険を受けられるようにするとか、失業保険の給付の対象を時限的にでも拡げる等の方法があるのではないかと思います。

もっと厳しい状況に置かれた人には、生活保護を活用してもらうべきだと思います。その為には賛否両論あると思いますが、一時的にでも生活保護の給付審査を緩くすべきだと思います。その代わりに、時限的に給付が終了するような形にするという方法もあります。

現金給付については、緊急事態宣言により経済活動が制限され、その分の減少した需要を埋める経済対策なのです。

その意味では、一人10万円では不足で、個人的には50兆円ぐらい国債を発行して需要の減少分を埋める必要があると考えています。

消費税を「聖域」にしてはならない

ゴールドマンサックス試算では、4~6月期の日本のGDPは最大25%程度マイナスになる予定とのことです。日本のGDPが約540兆円ぐらいですので、4半期ベースでは135兆円、その25%が失われたとすると約34兆円の需要が減少するという予想です。

それを埋めるためには一人10万円でなくて、一人30万円ぐらい給付すべだと個人的には考えています。そうしますと予算規模で最大36兆円になります。もちろん財源は国債発行により行えばよいのです。主要各国もそのように資金調達をして経済対策を行います。非常時にプライマリーバランスがどうだ、財源がどうだといっている国は日本だけです。

当初貧困対策だと言って「収入が減って厳しい状況に置かれた世帯に、一律30万円を支給する」という案を推進しておきながら、逆累進性の高い消費税を下げないという財務省の欺瞞にそろそろ日本国民も気が付かなければいけません。

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image by:Sellwell / Shutterstock.com

元証券会社社長・澤田聖陽が教える「投資に勝つニュースの読み方」』(2020年4月21日号)より一部抜粋
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による

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