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トヨタ「EVシフト」に震え上がる欧米。トドメの大本命“水素自動車”で日本車が世界を制す=斎藤満

トヨタ自動車は14日、「バッテリーEV戦略に関する説明会」で新発表の15車種を含むバッテリー電気自動車(BEV)16車種を披露しました。電動化投資を加速し、2030年までに30車種投入すると発表しています。ついにトヨタが動いたと話題になっていますが、日本の優位性を維持するためには、トヨタが同時並行で進めている「燃料電池車(FCV)」の成功こそが重要になってきます。(『マンさんの経済あらかると』斎藤満)

【関連】なぜ日本人の賃金は上がらないのか?本当に低かった生産性、「手取り13万」がトレンド入りする現実=原彰宏

※有料メルマガ『マンさんの経済あらかると』2021年12月15日号の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:斎藤満(さいとうみつる)
1951年、東京生まれ。グローバル・エコノミスト。一橋大学卒業後、三和銀行に入行。資金為替部時代にニューヨークへ赴任、シニアエコノミストとしてワシントンの動き、とくにFRBの金融政策を探る。その後、三和銀行資金為替部チーフエコノミスト、三和証券調査部長、UFJつばさ証券投資調査部長・チーフエコノミスト、東海東京証券チーフエコノミストを経て2014年6月より独立して現職。為替や金利が動く裏で何が起こっているかを分析している。

トヨタが水素エンジン車投入

世界でEV(電気自動車)シフトが進んでいますが、その中でトヨタの欧州法人が12月2日、突然水素エンジン車「GRヤリスH2」を公開しました。トヨタはすでにこの水素エンジン車で耐久レースにも参加していて、EV開発と並行して水素エンジン車の開発も進めています。脱炭素のなかでの自動車業界としての1つの選択肢として持っておきたい、と豊田社長は言っています。

もちろん、トヨタはEVの開発も進め、独自の電池生産体制も強化しています。

※参考:豊田章男社長、バッテリEV戦略説明会で2030年までに30車種のBEV投入を表明 レクサス「RZ」など16車種を一挙公開し電動化投資は8兆円に – Car Watch(2021年12月14日配信)

脱炭素社会の中で、温室効果ガスを排出させない自動車として、これまでは主にリチウム電池車の開発が進み、米国のテスラ社などが実用商品化しています。そして中国もEV生産に巨大な投資を進めています。

EVにおいて日本はやや出遅れ感がありますが、日本の選択として、大きな分岐点に来ていると思います。

脱炭素・EV化の裏表

今や世界的な潮流となった脱炭素、EV化の動きは逆戻りできないところまで進んでいます。地球温暖化を抑制するとの大義は世界で認識され、先般、英国グラスゴーでCOP26が開催され、この意向が再確認されました。

しかし、この動きの背後には様々な思惑、狙いがありそうです。

この潮流を作りあげるに際して大きな力を発揮したのが、米国のアル・ゴア元副大統領の「不都合な真実」でした。北極の氷や氷河が溶けだし、北極熊が氷から落ちるシーンは衝撃をともなって世界にアピールしました。温暖化を何としても阻止する必要を訴えました。

そしてゴア氏はその後、排出権ビジネスで経済的利益を上げています。この温暖化阻止に対応できないところは排出権を買い取る必要があり、世界に大きな市場ができる狙いを見事に先取りしました。

一部には温暖化を否定する考えもありましたが、世界の主流は温暖化が進み、世界の脅威になるとの考えに傾斜してゆきました。

Next: EVシフトは日独の優位性を落とすための罠。トヨタはそれでも屈しない

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