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トヨタ「EVシフト」に震え上がる欧米。トドメの大本命“水素自動車”で日本車が世界を制す=斎藤満

EVシフトは日独の優位性を落とすための罠

そして、もう1つ指摘されるのが、自動車業界においてかつてのリーダー米英が、第二次大戦で敗れた日独枢軸国に地位を奪われ、経済的な打撃を受けているとの認識です。

このため、日独が得意とするガソリン車を否定するために、脱炭素の下でのEV化促進につながったといいます。

自動車業界の主役の座から日独を引きずり下ろし、米国や中国など、誰でもが車を容易に作れる体制にしました。

この世界戦略の動きをいち早く入手した米国のテスラ社や、リチウム資源の豊富な中国が地の利を生かしてリチウム電池の生産と、これを搭載した電気自動車の生産を進めました。

内燃機関を利用するわけではないので、電池とモーターがあれば、通信会社でも電気メーカーでも、誰でも車を作れることになりました。そして日独の優位性が排除されます。

自動車の家電化

ここまでは米英の狙い通りで、EV化の中で日本の優位性は低下しました。そして家電の世界と同様に、日本の地位がアジアや新興国にとってかわられようとしています。

今やテレビやパソコンも含めて、エレクトロニクス関連製品は、コストの安いアジアの国に地位を奪われつつあります。自動車もEV化の下では同様の運命をたどるリスクがあります。

部品数が圧倒的に少なく、モーターと電池さえあれば、誰でもどこでも車を作れるようになっただけに、家電品以上に日独の優位性維持が難しくなります。

日本が生き残るための差別化

そうなると、日本の自動車関連業界は大きな打撃を受けます。

自動車産業のすそ野は広く、部品供給の関連企業まで加えると、自動車関連業界の雇用は550万人ともいわれます。製造業の付加価値生産の1割以上、輸出の中では約2割を自動車が占める巨大市場になっています。

そこへ部品点数が大幅に減り、下請け企業の需要が激減するだけに、EV化は日本の生産に大きなショックを与えます。

その点、日本の自動車業界が世界での地位を維持し、雇用を維持するうえでは、内燃機関を利用する水素エンジン車へのシフトが大きな意味を持ちます。これまでのガソリン・エンジン車の技術が生かせ、下請け企業の多くが維持できます。

また自動車の家電化をもたらすEV化では、電池の容量、制約から走行距離の限界があり、充電の時間コスト、充電スタンドの整備、EV用電力の生産におけるCO2排出抑制など、多くの課題があり、しかも電池の寿命を考えると、中古市場が小さくなります。

5年経過したEV車の買い手がどれだけいるのか、家電中古品市場がほぼないのを考えれば、想像ができます。

こうしたEVの弱点をカバーできるのが水素エンジン車ですが、ガソリンに比べると爆発力が小さく、より多くの水素が必要となり、水素の貯蔵タンクも必然的に大きくなりがちです。現時点では技術的に困難な点も少なくないのですが、技術開発が進むにつれて、こうした難点を克服し、コストダウン、軽量化が可能になると期待されます。

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