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日本株を買い支えるのは日銀だけに非ず。トヨタほか自社株買い過去最大で株価上抜けは近い=矢口新

日本株を支えているのは日銀だけではない。個人・外人・機関投資家などが売り続けているなかで、企業がしっかりと日本株を買い続けている。企業のキャッシュ保有は歴史的な水準にあり、設備投資が低調なために、いつ、上抜けがあってもおかしくはない。(『相場はあなたの夢をかなえる —有料版—』矢口新)

※本記事は、矢口新氏のメルマガ『相場はあなたの夢をかなえる —有料版—』2019年9月24日号の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会に今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。配信済みバックナンバーもすぐ読めます。

プロフィール:矢口新(やぐちあらた)
1954年和歌山県新宮市生まれ。早稲田大学中退、豪州メルボルン大学卒業。アストリー&ピアス(東京)、野村證券(東京・ニューヨーク)、ソロモン・ブラザーズ(東京)、スイス・ユニオン銀行(東京)、ノムラ・バンク・インターナショナル(ロンドン)にて為替・債券ディーラー、機関投資家セールスとして活躍。現役プロディーラー座右の書として支持され続けるベストセラー『実践・生き残りのディーリング』など著書多数。

なぜ株式を売るはずの企業が買う?株主に還元せざるを得ない事情

自社株買いが増える事情

19年4-8月までの自社株取得枠の決議額は、前年比1.9倍の4兆9,785億円だった。5カ月間で6兆9,000億円台と過去最高を記録した昨年度の7割強に達した。18年9月から19年3月までの決議額は4兆3,559億円だった。

このペースを維持すると今年度は9兆円台に達する。決議額が上振れれば、初の10兆円の大台に乗ってもおかしくない。

自社株買いが増える要因の1つが、政策保有株式の圧縮だ。

持ち合い解消で「持たれている企業」が売却によるマイナスの影響を低減しようと自社株買いに乗り出すことが多い。リクルートホールディングスは三井物産やメガバンクなど13社による政策保有株の売却にあわせて、最大800億円の自社株買いを発表した。

また、政策保有株を「持っていた企業」による自社株買いもある。大日本印刷は保有していたリクルート株の売却資金や手元資金を自社株買いの原資に充当する。

自社株買いの効果を示したのがトヨタ株。同社は5月8日に5,000万株、3,000億円を上限とする自社株取得枠の設定を決議した。

取得期間は5月15日から9月30日まで。5月の取得額はゼロ。6月は上限額に対して18%まで買った。7月末時点で上限金額の5割近くまで買い進めた。8月になって取得額が上限の84%に達した。

トヨタ自動車<7203> 日足(SBI証券提供)

トヨタ自動車<7203> 日足(SBI証券提供)

TOPIXが1%の上昇にとどまった7月、トヨタ株は5%上昇した。8月は円高・ドル安に振れトヨタ株にとっては逆風。TOPIXは3%超下落したが、トヨタの下落率は1%に届かなかった。
※参考:自社株買い、初の10兆円視野 19年度、持ち合い解消で – 日本経済新聞(2019年9月21日配信)

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