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PayPay100億円もその場しのぎ…日本で電子決済が普及しない本当の理由とは?=シバタナオキ

日本の電子決済が遅々として進まないのは、なぜでしょうか。今回は、「QRコード決済を流行らせるために国ができること」という観点で書いてみたいと思います。(『決算が読めるようになるノート』シバタナオキ)

※本記事は有料メルマガ『決算が読めるようになるノート』2018年12月18日号の抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:シバタ ナオキ
AppGrooves / SearchMan共同創業者。東京大学大学院工学系研究科技術経営戦略学専攻 博士課程修了(工学博士)。元・楽天株式会社執行役員(当時最年少)、元・東京大学工学系研究科助教、元・スタンフォード大学客員研究員。

QRコード決済を流行らせるために金融庁がするべきこととは?

多くのベンチャー企業も参入する、QRコード決済分野

最近は、ソフトバンクとヤフーの合弁会社であるPayPayが実施している、「100億円還元キャンペーン」での20%キャッシュバックが話題になっていますが、今日の記事は個々のプレイヤーがどのような施策を取るべきかという観点ではなく、あくまで日本という国としてQRコード決済を流行らせるにはどのようにすべきか?という観点で政策的な提言をしたいと思います。

QRコード決済の分野においては、前述のPayPayをはじめ、LINE、楽天、ドコモ、メルカリやOrigami、Pring、PayIDなど多くのベンチャー企業も参入し、市場の拡大に取り組んでいます。今回はなぜそれらの企業の比較や施策に対する考えではなく、敢えて国の政策という大きな枠組みで提言するかというと、QRコードなどのキャッシュレス決済を普及させるためには、既存のある大きなシステムの壁を乗り越える必要があると考えたからです。

QRコード決済は本当に便利なのか?

はじめに、QRコード決済というのは既存の決済手段と比べて、何がいったいどのように便利なのか?ということを簡単に整理しておきたいと思います。

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QRコード決済は、店頭で表示されたQRコードをユーザーのスマホで読み取るか、ユーザーのスマホのQRコード決済のアプリを開いて表示することで決済が完了します。実施に利用するユーザーの「使い勝手」という点では、既に存在するSuicaなどの非接触ICカードとほぼ同じように利用できると考えてよいでしょう。

大きく違うのは店舗から見た場合の手数料だと考えます。

※参考:レジに「Suica」を導入する費用はいくらかかるの?調べてみた!(EARLY TECHS)

Airペイを使えば、月額費無料で「Suica」を導入することが可能です。導入にかかる費用は、決済端末代金の1万9,800円のみです。あとはiPadを用意することと、決済ごとに3.24%の手数料を支払うのみです。

Suicaなどの非接触ICカードの端末を導入すると、初期費用がかかるだけではなく、決済ごとに3.24%というクレジットカード並みの手数料を店舗が負担することになります。

導入時に必要な端末費用は、プラットフォーム側が実施するキャンペーンなどで、プラットフォームが負担して無料もしくは上の例のように安価に提供される場合もあるかもしれませんが、店舗側から見ればこの手数料が小さくならない限り、積極的に現金決済を減らすモチベーションにはならないのではないでしょうか?

したがって、「国全体としてQRコード決済を普及をさせる」という観点で見れば、決済手数料をいかに小さくできるかという点に最終的には行き着くのだと思います。

以下の関連記事で、店舗側の普及策についての案を掲載していますので、ご興味のある方はぜひお読みください。

【関連】paypayが100億円の大型キャンペーン実施を発表!QR決済競争はどうなる=シバタナオキ

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