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PayPay100億円もその場しのぎ…日本で電子決済が普及しない本当の理由とは?=シバタナオキ

日本で銀行間送金の仕組みとQRコード決済の普及に向けてのボトルネック

日本でFedwire・FedACHに相当するのが、「全銀システム」と呼ばれる銀行間をつなぐネットワークの中継センターのようなシステムです。
※参考:全国銀行データ通信システム(全銀システム)

全銀システムは、昭和48年4月に発足したオンラインのデータ通信システムで、日本のほとんどの預金取扱金融機関が参加しており、1営業日平均約675万件、約12.2兆円の取引(年間約16.5億件、約2,993兆円)が行われるなど、わが国の決済システムの中核として大きな役割を果たしています。

ここで書かれているように、1日あたり12兆円もの取引がこのシステムを経由されて取引されており、まさに日本の決済システムの総本山と言えるでしょう。一方でこのシステムを経由している限り、1回の取引毎に手数料がかかり、それが皆さんが負担する送金手数料やATM手数料としてユーザーに課金されているわけです。

冒頭で書いた日本の送金が「なめらか」になれない最大の理由は、この全銀システムの手数料にあると言えるのではないでしょうか?

(QRコード決済の決済手数料が既存のクレジットカードに比べて圧倒的に安価で、店舗から見ればQRコード決済を拒む理由がないと仮定すれば)自分のお金を銀行口座から電子マネー口座に移してしまえば、現金を持ち歩くことから解放され、「なめらか」な決済の世界になるわけですが、銀行口座から電子マネー口座にお金を移すのに手数料がかかるというのが最大のボトルネックになります。

現在は普及期間なので、各プラットフォームがこれらの送金手数料を負担するキャンペーンを行っているかと思いますが、中長期的に見るとユーザー自身の電子マネーと銀行口座の間の入出金に手数料がかかり続けるというのは、どう見ても持続可能性があるとは言えません。

さらに、店舗側から見た最大のボトルネックであるQRコード決済の手数料も、最終的には銀行からの送金手数料が転嫁されるので、送金手数料が無料に近くならないと、決済手数料を下げるのは難しいと言えるでしょう。

Next: どうしたら、日本でQRコード決済が普及するのか

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