7日未明のFOMC議事録では、3月の0.25利上げ時に「多くの」当局者が0.5%利上げを考えていたが、ウクライナ戦争が勃発したことで、ブラードのみが0.5%利上げを主張するに至ったことが明らかになった。つまり、ウクライナへの武力行使がなければ3月も0.5%利上げだったということだ。(『新天地の株式投資日記』)
※本記事は有料メルマガ『新天地の株式投資日記』2022年4月7日号の一部抜粋です。興味を持たれた方は、ぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。実際に配信されたサンプル号もお読みいただけます。
プロフィール:新天地
祖父の影響で子どもの頃から株の売買を行う。証券会社で自己売買業務を経験後に退社、現在はデイトレーダー。メルマガでは主に脱初級・中級者向けに、東証・NYの市況(市場雑感)、相場の考え方、取引手法などを解説。一般に書かれることが少ない空売り戦略や取引アルゴリズムに関してもプレーヤーの立場から丁寧にフォローする。
FOMC議事録公開でグロース下げ幅広がる
6日のアメリカ市場も下げて引けた。
NYダウ:3万4,496 −144(−0.42%)
NASDAQ:1万3,888 −315(−2.22%)
FOMC議事録(3月分)要旨発表前から市場は昨日のブレイナード発言などを受けて「過去30年で最速の利上げと金融縮小」を覚悟しだした(グリーンスパンFRB議長が1994年に3%だったFFレートを94年2月から95年2月にかけてほぼ一年で6%まで引き上げたことがある。この時は7回の利上げが行われ、2度目の利上げと6度目の利上げで急落したものの、終わってみればトータルでは株価は上がっている)。
さらにFOMC議事録では3月の0.25利上げ時に「多くの」当局者が0.5%利上げを考えたがウクライナの戦争によって、ブラードのみが0.5%利上げを主張するに至ったことが明らかになった(つまりウクライナへの武力行使がなければ3月も0.5%利上げだった)。事前に知られていたよりもFOMCがインフレに対して強硬だったことが明らかになったことで、改めて金融縮小と早いペースでの利上げへの警戒感が強まっている。
何度も書くけど、必ずしも利上げ局面で株価が下がるわけではないが、予想より速いペースや大きな利上げ幅の時、株価は調整色を強めるという経験則がある。
債券市場で10年債は一時2.66%まで利回りを大きくした。またこれによって40年続いてきた金利低下トレンドラインを上に突き破ったと評価され始めてもいる(一方で2年10年の逆イールドは解消されてもいる)。
1年債や2年債の利回りからは、FRBが予定する年内6回のFOMCのうち、3回で0.5%利上げ、3回で0.25%の政策金利(FFレート)利上げを行う計算になるだろう。年末には2.5%のFFレートが期待されるということになる。さらにシティなんかは今年末2.75%を予想(4回の0.5%利上げ2回の0.25%利上げ予想)してるね。
マイクロソフトが3.6%安するなどGAFAMは売られた。
どうしてもナスダックが下がる時は指数に負けないためにも時価総額が大きな株から売られやすい。またアマゾンの下げが3.2%と大きくなっているのは労働組合問題(人件費などのコスト問題につながる)と個人消費減速懸念。
メタ3.7%安、アルファベット2.9%安ととにかく時価総額の大きな銘柄をリスクオフで売ってきたと言える。
エヌビディアが5.9%安、AMD2.9%下げ、クアルコム4.2%とロジックと通信半導体株への弱気リポート(バークレイズとJPモルガン)に端を発した半導体安も止まらない、一部アナリストが先週末に出してきたPCとスマホの需要減衰予測を市場がまだ消化しきれていない。どんどんと下げが広がっていく。
SOX指数は2.3%下げ。レンジの下限が見え始めた。ここを守れるかどうかは相場全体への影響もかなり大きいだろう。
程度の差こそあれ、去年の秋にピークつけてるのが共通点になる。
Next: テスラは続落も、「まあコロナでは死なないか」
相場雑感
<テスラほかEVスタートアップ>
テスラが4.2%下げるなどEVも下げ止まらず。「ホンダGMショック」(27年にも3万ドルを下回る共同開発のプラットフォームによる普及車販売へ。テスラへの挑戦と受け止められている)が続くうえに、市場全体のリスクオフの流れが「まだ売上が立ってないけど将来性に期待して買われている」EVスタートアップにはモロ直撃弾になっている。
NIO3.5%安と続落。リビアン4.9%下げ、ルーシッド3.1%下げ、フォード2.7%下げ。
<フィンテック企業>
あとはいつも通りフィンテック企業がマネーゲームを交えて下げる。
ブロック5.2%安、ショッピファイ6.6%安、ペイパル4.4%安、アップスタート6.2%安。
金利上昇からの消費後退・景気懸念思惑もありホームデポ2%安、ビザ3%安、ディズニー2.2%安、セールスフォース4.4%など。
あとはGAFAMに続くテック企業もリスクオフの流れ。アドビ3%安、ネットフリックス3.1%安、など。GAFAM安に加えてこの辺がナスダック安の原動力かな。
<中国株>
中国株は今日も下げのターン。新しい材料が出たというよりはリスクオフでの売りが優った 。アリババ3%安、JDドットコムも3%安、ピンドュオドュオ3.2%下げ、百度も3.2%下げなど。
中国株については今さらながらコロナ懸念もあるし規制問題が解決されないことも重石かなあ(バロンズが昨日も記事を出している)。
<その他>
なお、カーニバル(クルーズ客船)は今週、会社史上最高の予約数を記録したとか。アメリカではパンデミック終焉はまだだけど、旅行需要はかなり高まっていると言えるね。
治療が普及してきて「まあコロナでは死なないか」という雰囲気が広がってる。
日本のHISが上がってるのもこういう流れなんだろう。
(筆者注:このメルマガは新天地の考え方を書いたもので、特定の銘柄及び指数に関する商品の売買を推奨または指示するものではありません。銘柄の値動きについては想定と違う場合もあります。投資される場合は読者の方独自の責任で行われるようお願いします。)
<初月無料購読ですぐ読める! 4月配信済みバックナンバー>
※2022年4月中に初月無料の定期購読手続きを完了すると、以下の号がすぐに届きます。
- NY雑感。FOMC議事録公開でグロース下げ幅広がる(4/7)
- 相場雑感。日本にもブレイナード爆弾が波及。下げた。(4/6)
- NY雑感月曜のツイッター上げに対してブレイナードのタカ派爆弾直撃でグロース売られる。半導体はJPM爆弾続く(4/6)
- 相場雑感。アメリカグロース高好感も円高で続かず。逆イールドの影続く。(4/5)
- NY雑感。マスクとTwitterが全てを吹き飛ばす。ただし相次ぐ警告。(4/5)
- 相場雑感。名実ともに新年度入りも小動き。6日夜のFOMC議事録気になる。(4/4)
- ウクライナ戦線の今月の見通し(4/4)
- ニュースが出た時に短期投資家はどう考えるべきか。(4/3)
- 逆イールドにはISM指数の影響も多かったんだな(4/2)
- NY雑感。雇用統計は失業率下がって債権売られる。ついに2年10年逆イールドも株は反応薄。(4/2)
- 雇用統計、雇用者は予想下回るも失業率改善。失業率見て2年と10年で逆イールド発生。(4/1)
- 相場雑感。4月1日(しかも株が上がってる時特有の)な売りと経済減速懸念の売り先行。(4/1)
- NY雑感。AMD格下げで売られる。フラットニングで銀行株安い。(4/1)
※本記事は有料メルマガ『新天地の株式投資日記』2022年4月7日号の一部抜粋です。興味を持たれた方は、ぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。実際に配信されたサンプル号もお読みいただけます。
<こちらも必読! 月単位で購入できるバックナンバー>
※初月無料の定期購読のほか、1ヶ月単位でバックナンバーをご購入いただけます(1ヶ月分:税込5,500円)。
- 指標はやや株安要因かな?(3/31)
- 今日は21:30に最注目指標PCEデフレーター発表あり。(3/31)
- 相場雑感。中国景気懸念とアメリカの金利逆イールド懸念が下げ材料。PCEデフレータに最注目が集まる(3/31)
- 最高値圏でのリバウンドはボラティリティーの高さがもたらす危険信号。(3/31)
- NY雑感。ウクライナ和平期待ハゲて原油高からインフレ懸念、半導体グロースと消費売り。逆イールド懸念で銀行も安い(3/31)
- 相場雑感追加(3/30)
- 逆転の可能性?ウクライナの反攻のためにイギリスがより高度な兵器供与を検討か。(3/30)
- 相場雑感。円高進行で売られるも引け間際は配当再投資もあって下げ渋る。(3/30)
- NY雑感。「和平期待」でグロース買われる。マネーゲーム色も強い。(3/30)
- 相場雑感。原油安と権利取りの買いで上昇。200日移動平均で止まる。(3/29)
- NY雑感。原油安でグロース買われる。テスラは株式分割で大幅高。ただ忍び寄る「逆イールド」(3/29)
- 今後のウクライナ戦争の戦局を左右するS300とS300狩り(3/29)
- 逆イールド。 不況を呼ぶ不吉なシグナル。(3/28)
- 相場雑感。流石に10連騰ならず。アメリカ株先物安、その裏に米国国債利回り上昇と逆イールド。(3/28)
- NY雑感。まちまち、小動き、フラットニング(逆イールド)には超注目。(3/26)
- 相場雑感 よこよこ。(3/25)
- NY雑感。エヌビディアが強気のガイダンス。原油安と低失業が株高を後押し。アップルはiPhoneサブスクか?(3/25)
- 相場雑感。前場大幅安も終わってみればプラス。(3/24)
- NY雑感。石油と天然ガス高騰で株価は反落。買い戻しも一巡か。(3/24)
- 相場雑感(3/23)
- NY雑感「ショートカバー」「オプションに絡む買い」が相場を押し上げか。VIXが・・・(3/23)
- 軽油高に耐えられないトラック業者(3/23)
- 相場雑感。(3/22)
- NY雑感。パウエルタカ派発言で売られるも押し目買いで下げ渋る。(3/22)
- ウクライナ、善戦は「S300」だよりか?弾切れで失う南部。(3/19)
- なぜアメリカ株は利上げで急反発したのか?今後の注目点と併せて考える。(3/19)
- NY雑感(3/19)
- 7回の利上げ「織り込み済み」で今度はミシガン大学の消費者調査の5年インフレ期待に最注目すべし?(3/18)
- 相場雑感。戻り売りも5日続伸。(3/18)
- NY雑感。株価は昨日の余熱で上昇。ただコモデティ高への警戒ぶり返す。(3/18)
- 相場雑感。FOMC通過、和平期待、中国銘柄上場維持期待。(3/17)
- FT,数日以内の和平可能性を報道(3/17)
- 続きの続き(3/17)
- 続き(3/17)
- NY雑感。FOMCを織り込んで大幅高。中国株空に舞う。(3/17)
- ラブロフ外相和解への期待(3/16)
- 相場雑感。「買い直し」「買い戻し」で大きく反発。SBGも大幅反発。(3/16)
- NY雑感。原油安とFOMC前に買い戻しで大幅高(3/16)
- 相場雑感。ロシアと中国。新たな制裁も???(3/15)
- 停戦期待は高まる(3/15)
- NY雑感。EV安、半導体安、テクノロジ安がナスダック下げを牽引(3/15)
- 相場雑感。和睦期待はあるんだけれど・・・(3/14)
- イランの革命防衛隊がイラクにミサイル発射(3/14)
- NATO軍介入の確率はかなり大きくあがったと考える(3/14)
- 株式市場は戦争の悪影響を避けられない(3/13)
- NY雑感。和睦期待は一瞬で禿げる。消費者調査が冷水。中国ADR総崩れ。(3/12)
- 相場雑感。インフレ懸念と米中対立が影を落とす(3/11)
- NY雑感。CPIはマイナス評価に。長期金利上昇や停戦交渉不発も下落要因に(3/11)
- CPIは予想と一致、失業保険申請件数はやや多い(3/10)
- 相場雑感「テクニカルな下げ」の後のサプライズで大幅高。でもこれ続くかな?(3/10)
- 相場の高値圏では上下動が激しくなる(3/10)
- NY雑感。UAEが一転原油増産の姿勢でリスクオン強まる(3/10)
- 前の支持線が抵抗線になる(3/10)
- 相場雑感(3/9)
- NY雑感。アメリカのロシア原油購入禁止とロシアの輸出制限が波乱要因に(3/9)
- Yahoo!アメリカのファイナンスの記事(3/8)
- ヤヌコーヴィチ元大統領は8日に声明文を発表(3/8)
- 相場雑感。プットのデルタヘッジ売りと裁定解消売りで売買代金を伴った下げ。影を落とす原油高。(3/8)
- NY雑感の続き(3/8)
- NY雑感。対ロシア原油買い付け禁止見込みなどが下げを加速。商品価格急騰と消費者物価警戒もグロースに下げ要因(3/8)
- 王毅外相、仲介の姿勢は見せる(3/7)
- 続き(3/7)
- 相場雑感。G7(あるいはアメリカ単独でも)のロシア原油買付禁止報道で大幅安(3/7)
- これだけ原油が上がると(3/6)
- ロシア、24時間で10機の被撃墜。戦況はどこへ?(3/6)
- NY雑感。「オデッサ」が半導体を突き落とす。(3/5)
- 相場雑感。ザポロジエ原発を巡り急落。(結局原発は無傷でロシアが掌握)(3/4)
- つづき(3/4)
- NY雑感。EVと半導体下げ牽引。とくに新しい悪材料は出てないが・・。(3/4)
- 相場雑感。FRBの金融縮小スピード低下を好感。ただしウクライナ情勢は上値も抑え込む。(3/3)
- ロシア軍失敗まとめ(3/3)
- NY雑感、パウエル証言で3月は0.25%利上げに決定か。ロシアの態度軟化?もプラス。(3/3)
- ADP雇用統計(3/2)
- 相場雑感。アメリカの写真相場。金利低下と商品相場高を映す。(3/2)
- NY雑感。戦闘激化から経済制裁拡大懸念で売られる。企業の「自主的ロシア制裁措置」も相次ぐ。(3/2)
- 書き忘れ(3/2)
- 相場雑感。ひとまずリスクオフの揺り返し。ロシア関連の悪ふざけも。(3/1)
- NY雑感。制裁懸念で下げるも政策金利上げ速度低下期待もあり戻す。防衛関連人気。(3/1)
『新天地の株式投資日記』2022年4月7日号より一部抜粋
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による
初月無料お試し購読OK!有料メルマガ好評配信中
新天地の株式投資日記
[月額5,500円(税込) 毎週水・土曜日(祝祭日・年末年始を除く)]
発行者は証券会社の自己売買業務を経験後に退社。現在はデイトレーダー。メルマガはトレーダーの視点で東証とNYの市況解説(市場雑感)を中心に取引手法などを書いていきます。特に脱初級、中級の方向けに市場で何が起こっているのかと、取引手法や相場の考え方を書いていきます。また普段あまり書かれることが少ない空売り戦略や手法をプレーヤーの立場で書いていきます。法規制により、具体的な銘柄商品の売買の指示や助言などはありません。あらかじめご理解をお願いします。