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まだ割安?岸田首相も小池知事も注力「省エネ住宅」推進政策の恩恵を受ける日本企業4社=田嶋智太郎

政府は“脱炭素”目標達成のため、「グリーントランスフォーメーション(GX)」を経済成長の起爆剤に加えた。「国策に売りなし」と言われるが、具体的に恩恵を受ける日本企業はどこか。注目すべき4社を紹介したい。(『田嶋智太郎の先読み・深読み!株式マーケット』田嶋智太郎)

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※本記事は有料メルマガ『田嶋智太郎の先読み・深読み!株式マーケット』2022年5月20日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:田嶋智太郎(たじま ともたろう)
慶応義塾大学卒業後、現三菱UFJモルガン・スタンレー証券勤務を経て転身。転身後の一時期は大学教諭として「経営学概論」「生活情報論」を担当。過去30年余り、主に金融・経済全般から戦略的な企業経営、地域金融機関改革、引いては個人の資産形成、資産運用まで幅広い範囲を分析研究。民間企業や金融機関、新聞社、自治体、各種商工団体等の主催する講演会、セミナー、研修等において、累計3,000回超の講師を務めてきた。これまでに数々のテレビ番組へのレギュラー出演を経て、現在はマーケット・経済専門チャンネル『日経CNBC』のレギュラー・コメンテーターを務める。主な著書に『上昇する米国経済に乗って儲ける法』(自由国民社)などがある。

注目度高まる「省エネ住宅」~政府の脱炭素基金創設で投資促進

このほど、政府は脱炭素目標の実現に向け、20兆円規模の基金を新設する。10年間にわたり「次世代送電網」や「省エネ住宅」などへ、企業や家庭の投資を促す仕組みを作る。

岸田政権は環境を重視して社会構造を変革するグリーントランスフォーメーション(GX)を経済成長の起爆剤に据える。基金と共にインフラ整備や補助制度の見通しを示し、企業が中長期で事業計画を立てやすくする。

経済産業省は脱炭素を達成するには、2030年時点で官民17兆円の投資が必要と試算する。足元の投資は4.8兆円にとどまる。24~33年度の10年間で150兆円に拡大する目標を掲げる。うち、20兆円規模を国が支出する方針である。

基金が支出する投資は、スマートグリッド(次世代送電網)がひとつの柱。また、生活関連では「省エネ住宅」や電気自動車(EV)など電動車の普及に必要な補助金などに活用する。

そこで、今回は「省エネ住宅」の実現に関わる企業にスポットを当てておきたい。

積水化学工業<4204>:省エネ住宅で単価上昇

「省エネ住宅」関連と言えば、まずは何といっても積水化学工業。お馴染みの「セキスイハイム」が省エネ住宅の浸透で単価上昇の追い風となっている。

同社が手掛ける「スマートハイム」は、政府が省エネルギー政策の一環として普及推進している「ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)=ゼッチ」住宅からもう一歩進んだエネルギー自給自足を目指す住宅。大容量ソーラー搭載でコンパクトかつ大容量の蓄電池も備わる。

また、まちづくり事業でも新規プロジェクトの販売が順調に進み、事業拡大の足取りは力強い。

23年3月期は売上高が前期比7.2%増の1兆2,416億円、営業利益が同12.5%増の1,000億円と見込まれる。なお、前期に巨額の減損損失を計上したこともあり、今期純益は同79.4%増が見込まれている。

積水化学工業<4204> 週足(SBI証券提供)

足元の株価は、コロナ・ショック時の安値から昨年3月高値までの上げに対する半値押しの節目水準まで調整したところで下げ渋り。予想PER=12.10倍、実績PBR=1.14倍、予想配当利回り=3.05%で割高感はない。当面の上値の目安は、一目均衡表の週足「雲」が位置する1,900─2,000円処と見ておきたい。

Next: 高性能窓が好調「LIXIL」と建造物検査の増加に期待できる「ERI」



LIXIL<5938>:断熱窓が好調

同社は、今年1月に断熱性能が高い「リフォーム用の窓」を発表した。サッシの一部に樹脂を使い、ガラスも3枚用いるなど熱を通しにくい構造を採用したのが特徴。取り付け工事は1日で済み、1枚ガラスの窓と比べて熱の流出を約80%削減できるという。

併せて、新築住宅向けの高断熱窓「TW」も発表。2月に西日本、4月には東日本で順次発売が始まっている。「高性能窓」の出荷比率は21年3月期の段階で74%だったが、26年3月期までに100%を達成する目標も掲げる。

足元は、水回り品等が国内外でリフォーム需要の堅調な拡大に伴って伸びる。資材高の影響受けるが、価格転嫁による値上げ継続で増収増益基調が続く。23年3月期は、売上高が前期比6.4%増の1兆5200億円、営業利益は同12.3%増の780億円を見込み、回復基調が鮮明となっている。

LIXIL<5938> 週足(SBI証券提供)

足元の株価は、コロナ・ショック時の安値から昨年3月高値までの上げに対する半値押しの節目水準まで調整したところで下げ渋って切り返し。週足のMACDはマイナス圏でシグナルラインを上抜けてきており、強気転換のシグナルが灯る。

予想PER=13.72倍、実績PBR=1.16倍、予想配当利回り=3.66%で、まだまだ上値余地は十分に見込めると見る。

ERIホールディングス<6083>:住宅性能評価業務が拡大

建築基準法上の「建造物検査」を民間で唯一、全国で展開する。近年は、住宅着工の回復で確認検査が増加。適合義務対象の範囲が拡大していることに伴って省エネ判定業務が増勢を続けている。住宅性能評価は前半のグリーン住宅制度もプラス要因となる。

ERIグループでは補助金申請の際に必要な評価書・適合証などを発行。住宅金融支援機構がフラット35で新築住宅の省エネ基準適合を要件化し、フラット35(ZEH)を新設したことも追い風となる。

22年5月期の業績予想は、売上高が前期比9.8%増の158億円、営業利益は同4倍弱の16億円、純利益は同3.9倍の10億円(過去最高を大幅更新)を見込んでいる。続く23年3月期も省エネ判定業務などの伸び堅調で、増収増益基調が続く見通し。

ERIホールディングス<6083> 週足(SBI証券提供)

株価は、昨年7月半ば以降~11月にかけて急騰し、その後、今年1月に上げ幅の半値押しの水準まで統制して切り返している。目下は、一目均衡表の週足「雲」上限が下値サポートとして意識されている模様。週足のMACDがゼロ水準近辺から上向きつつあり、再浮上の気運は徐々に高まると見る。

予想PER=9.19倍、予想配当利回り=2.96%で割安圏にあると言える。

Next: まだある「省エネ住宅」を追い風に成長が見込める日本企業



日本アクア<1429>:断熱材の受注が順調に伸びる

硬質ウレタンフォーム使った住宅・建築物用の「断熱材」を施工・販売する。

原油の高騰は続くものの、原材料使用量を3割程度抑えた新ウレタン断熱材『ライト』の導入を促進することで問題を解消。期中にほぼ全面切り替え。大手ゼネコンを通じた受注が順調な伸びを示す。

22年12月期の業績予想は、売上高が前期比10.8%増の264億円、営業利益は同50.2%増の21億円、純利益は同54.1%増の14億円(過去最高更新)を見込む。市場のコンセンサス予想によれば、続く23年12月期も大幅な増収増益が期待される。

日本アクア<1429> 週足(SBI証券提供)

株価は、昨年12月にコロナ前の高値と顔合わせしたものの、そこで達成感が強まって一旦レンジ下限あたりまで調整。予想PER13.85倍、予想配当利回り=3.75%で割高感は感じられない。

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image by:Rammy_Rammy / Shutterstock.com

田嶋智太郎の先読み・深読み!株式マーケット』(2022年5月20日号)より一部抜粋
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による

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