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中国政府系金融機関の「国家隊」、株式相場下支えの役割を縮小へ

国家隊」と呼ばれる中国政府系金融機関が、株式相場の下支えを縮小するもようだ。国営新華社系経済紙が11日伝えた。(『【DZH】中国株マーケット&ニュース』)

中国本土市場を買い支える「国家隊」が退却戦へ

「短期的な変動への関与を減らす」

中国国営新華社系の経済紙『経済参考報』が11日に掲載した論説によると、「国家隊」と呼ばれる政府系金融機関が、株式相場を下支えする役割を縮小するもようだ。

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相場の急落には引き続き対応するものの、短期的な変動への関与を減らすという。論文の執筆者である呉黎華氏は、国家隊の役割は長期保有であり、短期取引ではないと強調。

中国共産党中央政治局が4月29日に開いた会議で「株式市場の健全な発展を維持するため、市場の調節機能を十分に生かす」と表明したことについて、株式相場の上昇と下落は市場が決めることで、国家隊はA株市場の相場を主導しないことを意味するとした。

国家隊を構成するのは中国証券金融や同社傘下の10大ファンド、国家外貨管理局が全額出資する梧桐樹投資平台などとされる。

中国当局は2015年の相場急落に対応し、巨額の資金を株式市場に投じており、国家隊が実施を担ってきた。

上海総合指数 週足(SBI証券提供)

安信証券のデータによると、2015年末時点で国家関連機関が保有するA株1246銘柄の時価総額は1兆1200億元に上り、流通A株時価総額の2.7%を占める。今年3月末時点では、国家関連機関が保有するA株1221銘柄の時価総額は1兆元で、流通A株時価総額の2.8%に相当する。

Next: 11日の上海市場は「国家隊」失望で一時マイナス圏に沈むも小幅続伸



本土大引け:小幅続伸、4.7兆元規模の公共インフラ投資計画が支え(11日)

11日の中国本土株式市場で、上海総合指数は小幅に続伸。終値は前日比0.16%高の2837.04ポイントだった。上海、深セン両市場の売買代金は概算で3930億8300万元。

上海総合指数は続伸スタート後、前日終値付近でもみ合う方向感に欠ける展開。小幅にプラス圏で取引を終えた。国家発展改革委員会と交通部が鉄道や水利、空港など2016-18年で総額4兆7000億元規模の公共インフラ投資計画を明かしたことを好感する買いが優勢だった。前日の米株高や原油先物相場の反発も投資家心理の改善につながった。

一方、国営新華社傘下の『経済参考報』が11日、株式市場の健全で持続的な成長のためには、中国証券金融など中国政府系資金の「国家隊」が短期的売買を頻繁に行うことを控えるべきとの論評記事を伝えた。記事を受け、「国家隊」による相場下支え期待が後退し、マイナス圏に沈む場面も見られた。

上海総合指数 日足(5/11時点)(SBI証券提供)

A株市場では、金融株の中国工商銀行(601398)、中国人寿保険(601628)が買われ、相場を支えた。中国交通建設(601800)、中国鉄建(601186)など公共インフラ関連株も高い。航空株の中国国際航空(601111)も買われた。一方、証券株の海通証券(600837)、光大証券(601788)が軟調。上海電気集団(601727)も売られた。

上海B株指数は1.23%安の354.17ポイントと6営業日続落、深センB株指数は0.30%安の1062.33ポイントと反落した。

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【DZH】中国株マーケット&ニュース』(2016年5月11日号)より一部抜粋
※チャートと太字はMONEY VOICE編集部による

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