子どもに「お金」の話をする家庭は多くありませんが、どんどん話していくべきだと考えます。子どもの自己実現のためにも必須と言えるでしょう。どう伝えればいいのかを解説します。(『億の近道』遠藤功二)
日本FP協会認定CFP、1級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)、MBA(経営学修士)。大学時代に借金に追われた経験からFPの資格を取得し、金融機関に就職。証券会社と外資系銀行で延べ1,000人以上の顧客を資産運用アドバイザーとして担当したが、組織のしがらみで顧客中心のサービスが提供できず、雇われFPとして働くことに限界を感じる。しかし、収入が途絶えることの恐怖から簡単には、会社から踏み出すことができず、ストレスを貯める日々を送る。FP資格やMBAをとっても、会社にお金で縛られていたら何もできない。「お金のためだけに働くつまらない生き方を他の人たちにはさせたくない。」という志を持ち、お金が原因で不幸になる人を少しでも減らすべく、教育特化のFPとして奔走中。
子どもにも「お金の話」をしよう
子どもには、どんどんお金の話をしていくことをおすすめします。
子どもにお金の話をするというと「昔は貝殻がお金だった(歴史)」とか「お金は経済を回すための道具だ(政治経済)」といった、いかにもお勉強チックな話になりがち。
しかし、家庭で話すなら、もっと現実的なことを話題にすることをおすすめします。その方が、深く考えていくことができるからです。
「うちは家を買うべきか、このまま賃貸で良いか。どう思う?」と聞いてみる
例えば、住宅費用の話です。
お子様に「うちは家を買うべきか、このまま賃貸で良いか。どう思う?」と聞いてみてください。大人の世界でも、「賃貸と持ち家どっちがいいの?」という問いに対する答えはありません。
専門家に相談するよりも、子どもと話す方が自身の答えが見つかるかもしれません。
賃貸だと身軽で自由ですが、老後に家賃がかかるのは大変です。持ち家を買って住宅ローンを背負うのは大変ですが、住みたい家に住めます。
「自由」を得て何をするのか。「住みたい家ってどんな家?」ということを家族で話してみてください。話がどんどん深まります。
Next: 「住みたい家はどんな家?」住宅費用の話題からお金の理解が深まる
住みたい家はどんな家?
今回は例として、住みたい家を掘り下げます。
「住みたい家」の定義にエコ住宅をあげる方は多いと思います。特にエネルギー価格が上昇している昨今ではなおさらです。
再生可能エネルギーの話と貯蓄の話は、実は関連づけられます。
地球の資源をひたすら掘って燃やしていけば、いつか足りなくなるのは目に見えています。貯蓄がいくらあっても、収入がなければ、すぐに資金ショートしてしまうことと同じです。
太陽光や風力が電気を稼いでくれれば、化石燃料(貯蓄)の取り崩しペースを緩やかにできます。サステナブル(持続可能)です。
このように、住宅費用の話から、サステナブルな社会の実現の話に発展できます。
サステナブルから個人資産の話へ
サステナブルは、個人資産の話にも広がります。
老後までに自分の資産をすべて食い潰すプランでは、子どもに何も引き継げません。一方で、高配当株やリートで不労所得を大量に作っておけば、サステナブルな資産を築いたことになります。
税引後の配当利回り4%の高配当株を1億円保有すれば、400万円の収入が得られます。
年金収入が手取り200万円だとしても、老後の収入は合計で600万円になります。これだけあれば、生きていけるでしょう。
さらに、その1億円を子どもたちに託し、子どもたちの代で2億円にすれば、不労所得は800万円になります。
年金収入200万円と合わせて1,000万円の収入があれば、かなり豊かな生活が送れます。
Next: 「お金」を知れば、親の資産をあてにせず自分の力で生きていける
親の資産をあてにしないお金の教育
ただ、このようにサステナブルな資産を子どもたちに引き継げるようにしたとしても、子どもたちがそれをあてにして働かなくなったらどうしよう……と悩む方もいると思います。
確かに、親の資産をあてにしている子が、成功するとは思えません。
だから、お金の教育が必要です。
お金は働いて稼ぐものだ、ということがわかっていれば、不労所得があっても堕落はしません。また、株は一瞬で価値が半分以下に落ちる資産です。配当生活は実はリスキーなので、働いた方が良いでしょう。
お金を稼ぐための仕事がやらされ仕事ではなく、自己実現の方法であれば、不労所得は仕事の邪魔にはなりません。
「自分は何がしたいのか」という問いの答えを見つけるためにも、株式投資によって世の中がどのように動いているかを学ぶことが大切です。
『億の近道』(2022年5月25日号)より一部抜粋
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による
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