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米国株式市場見通し:荒い展開継続、米CPIに注目

 

5月下旬にかけて主要株価指数は反発し、年初来安値を更新してきた弱い展開を脱出したようにも見えたが、6月に入っても市場は明確な方向感を見出せず、値動きの荒い状況が続いている。今月半ばに控える連邦公開市場委員会(FOMC)を前に来週は当局者がブラックアウト期間に入る。市場はすでに0.5ptの利上げを織り込み、想定通りの展開となる予定ではあるが、FOMCを前に様子見姿勢となり、動きづらい展開となるだろう。

来週の注目は10日に発表を控える5月消費者物価指数(CPI)だ。5月CPIの変動の大きいエネルギーと食品を除いたコア指数は前年同月比でわずかに低下すると予想されている。5月雇用統計では予想以上に非農業部門の雇用者数が増加し、労働市場の引き締まり継続を背景に、FRBが積極的な利上げを進めていく可能性が示唆された。市場はFRBによる積極的な利上げを警戒する一方、インフレがピークアウトしたとの期待もまだ併せ持っている。インフレの加速が改めて示されれば、警戒感が高まり、相場が大きく変動する可能性があるため注意したい。

経済指標では4月貿易収支、4月消費者信用残高(7日)、4月卸売在庫(8日)、週次新規失業保険申請件数(9日)、5月消費者物価指数(CPI)、6月ミシガン大学消費者信頼感指数(10日)などが予定されている。

企業決算では、食品会社のキャンベルスープやジャック・ダニエルなどを製造するアルコール飲料のブラウン・フォーマン、廉価商品専門小売のファイブ・ビロウ(8日)、電子署名ソリューション会社のドキュサインのほか、衣料品のレンタルサービスを提供するスティッチ・フィックスやレント・ザ・ランウェイ(9日)などが予定されている。

スティッチ・フィックスやレント・ザ・ランウェイは、衣料品レンタルのサブスクリプションサービスを提供しており、売上高の大半を会員のサブスクリプション料が占める。人々が外出を控えた新型コロナ禍では、おしゃれ着の需要が減少し業績は打撃を受けたが、足元では経済活動が正常化するなか、外出やイベントの機会が増えており、両社にとってビジネスを伸ばす好機になっている。前回決算でもビジネスの回復が垣間見えていたが、新型コロナ前の生活への回帰が一段と進むなか、増収のカギとなる新規会員の取り込みに成功しているか、会員数に注目したい。

(Horiko Capital Management LLC)

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